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番外編 前日談 (本編11話後推奨)
アレンの話4
しおりを挟む謁見の間に通される。
「アレン・ブラン、並びにヴェイン・ブラン、参上致しました。」
王様の前で跪く。
「おぉ、良く来た。
朝早くにすまないな。
楽にして良い。」
「有り難き幸せ。」
体制を楽にした所で
「昨日、私の夢の中にケツァルコアトル様がいらしてな。アレンに頼み事をしたから便宜をはかれと仰ったのじゃ。何か聞いておるか?」
隣のヴェインが本当だったのかと言う顔でこちらを見てくる。
「左様でございます。
昨夜、コアが私の夢に来まして、2~3日知らずの森に行ってこいと言われました。」
「おい、貴様、守護竜ケツァルコアトル様に対してそんな呼び方無礼であろう。」
控えていた大臣が声を上げる。
あいつ、宮廷魔導師のとこの大臣だっけか?
ヴェインを盗られたこと未だに根に持ってやがんな?
言い返そうとするが、王様に先を越される。
「控えよ。誰がそなたの発言を許した。
それに、そなたらはケツァルコアトル様を見たことがないから知らんだろうが、
アレンはケツァルコアトル様ととても仲が良いのじゃ。
守護竜様自身がそう呼ぶことを許しておるのにそなたが口を出す方が無礼であろう。」
「も、もうしわけございません。」
怒られた大臣は顔を真っ青にして黙り込んでしまった。
いい気味だ。
「して、知らずの森で何を?」
「それが、よく分からないのですが捜し物をしてこいと……。
しかも、捜し物が何かすらわからないそうです。行けばわかると言っていました。」
それを聞いた王様は、爆笑する。
「ほっほっほっほ。あの方らしいと言えばらしいよのう。
案外アレンに絡みたかっただけかもしれんな。最近、顔をだして無かろう?」
「はい。近頃は、書類仕事ばかりで時間があまりなくて……。」
ここぞとばかりに仕事を減らせと言っておこう。
王様は、控えている大臣達を見渡し
「左様か。それはいかんな。
守護竜様の機嫌を損ねてしまえば国の加護がなくなってしまうやもしれん。」
それを聞いた大臣達は全員顔を真っ青にしてしまう。
それだけ、コアの加護は国にとって大事なものなのだ。
大臣達の様子を見兼ねてか宰相が手を挙げる。
「陛下、発言をしても?」
「話せ。」
「でしたら騎士団に書類仕事をこなすものを増やしてはいかがでしょう?」
「それは良い考えだ。
良い者はおるかの?」
宰相は、しばらく考えたあとヴェインをチラッとみてから
「でしたら息子のラインハルトを貸し出しましょうか?なかなかの切れ者ですのでアレンの仕事をこなすことも可能かと。いかがでしょう、ヴェイン。」
何故、俺じゃなくヴェインに確認する?
ちなみにラインハルト俺達の4個下で俺とヴェインの昔馴染みだ。
公爵家の次男であり孤児院によく遊びに来ていた。
「よろしいのですか?
ラインハルト様が来ていただけるのならばアレンなど居なくても問題ないです。」
アレンなどってヴェイン酷くないか?
まぁ、実際問題、ラインハルトのほうが俺より数倍は書類仕事が速いだろうが……
「ラインハルトも昔馴染みのヴェインの為なら喜んで力を貸すと思います。」
俺は?
俺も昔馴染みなんだが?
「ありがとうございます。」
ヴェインが宰相にお礼を言っている。
事の成り行きを見守っていた王様は、話がまとまったのを見て
「いい提案がでてなによりじゃ。
アレン、そなたはケツァルコアトル様の頼み事を存分に聞いてこい。ヴェインもアレンを助けてやるのじゃぞ?」
と言ってくれる。
「「御意。」」
こうして俺は3日間の休暇と今後の書類仕事免除をもぎ取ったのだった。
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