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番外編 前日談 (本編11話後推奨)
アレンの話
しおりを挟むお気に入り700突破のお礼です。
って書いてから寝たら1000超えててビビってます。
皆様本当にありがとうございます。
本編にまだ出てきていない所もありますのでネタバレが嫌な方は本編11話を読んでからが推奨です。
もうしばしお待ちください。
アレンがトオルとあう少し前の話になります。
♦♦♦♦♦
今日も今日とて、もう見たくもない山積みの書類とにらめっこをしている。
窓の外の演習場では部下の騎士や騎士見習い達が鍛錬をしており、とても羨ましい。
俺は座って書類仕事をするんて柄にあってない。俺もあっちに混ざりたい。
チラッと隣の部下を盗み見る。
「おい、アレン、手が止まってるぞ!
余所見をしてる暇があるならさっさとその書類を終わらせて次にいけ!」
クッソ…
なぜバレた?
「ヴェイン、俺はこれでもお前の上司だぞ?
もっと敬え、そして代わりにお前がやれ。」
ムッとして睨みつけながら部下、ヴェインに文句を言う。
俺の文句を聞いて、ヴェインが顔を上げ苛立ったような蒼い瞳で俺を睨みつけた。
「これは元々全てお前の仕事だろうが。
手伝ってやってるのに何様だ!
それに敬って欲しいなら仕事を完璧にこなしてから相応の態度を示してみろ。」
あ、やばい、かなりご立腹の様だ。
こいつは、ヴェイン・ブラン
俺の幼なじみであり、俺が預かっているイェーガー王国騎士団の副団長である。
「そもそも、上司だと?
お前が騎士団長に任命された時に散々ごねたせいで俺が副団長をやる羽目になったんだろうが!
俺にいつも尻拭いさせやがって……。
むしろ、お前が俺を敬え、感謝しろ!
幼なじみじゃなかったらとうに見捨てているぞ。」
ヴェインの声にどんどん怒気がはらんでいく。
ヴェインの話を聞いて騎士団長任命の時を思い出す。
しまった。
今のは失言だった。
そのことを持ち出されると弱い…。
俺達の村は、子供の頃、ドラゴンに襲われ壊滅した。
当時の騎士団が到着した時には俺とヴェインだけが生き残っていた。
その後、王都の孤児院で育った。
俺達は、親の仇であるドラゴンを倒すことだけを目標とし騎士になった。
そして、その目標を達成して騎士を辞めてのほほんと余生を生きようとした矢先、俺が竜の加護持ちだったこともあり国を救った英雄として祀り上げられ騎士団長に任命されてしまった。
もちろん、ごねた。
そもそも俺は人の上に立つ器ではない。
しかし、王はもちろんそれを許してはくれず、それにあのめんどくさがり屋の竜も手伝って騎士団長にされた。
俺がそうなったのにも関わらず
ヴェインは、ひらの騎士のまま。
しかも、辞めて冒険者になるなんて言い出したものだからせめて巻き込んでやろうと思い団長権限で副団長に任命したのだった。
「いや、その、あれはすまなかったと思ってる。」
「言葉はいらん。
わかったなら手を動かせ。」
「あぁ……。」
____________________________
「ふぅ、やっと終わった……。」
終わった書類を眺めながら息をつく。
外を見るともう真っ暗になっていた。
「おう、よくやった。宿舎に帰るか。」
ヴェインもちょうど終わったらしく声をかけてくる。
「………あぁ。」
途中、腹が減って飯を食いに行こうとしたらヴェインに椅子にロープで括り付けられ行かせて貰えなかった。
用意してあると言ってサンドイッチの包みを渡され、中を見ると野菜のみのサンドイッチだった時には泣きたかった。
こいつは、昔からずっとこうだ。
お前は、俺の母親かと言いたくなる…。
野菜を食べないと席すら立たせて貰えないんだぞ?
鬼か悪魔だ、いや、むしろドラゴンよりも邪悪だ。
やっと自室に戻りシャワーを浴びてベッドに横たわる。
「………くっ……疲れた……。
クソッ、ヴェインのヤツめ……。
俺を大事にいたわってくれる子が欲しい…。」
いっきに睡魔が襲ってきて眠りについた。
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