料理人は騎士団長に食べさせたい

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本編

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馬に乗って王都へと進んだ。

あれ?そういえば魔物らしき物には1回も出会ってないな…。

のどかな平原が広がって居るだけだ。
チラホラ鳥などの生き物は見かけたが襲って来る様子もない。

ふと気になってアレンさんに聞いてみる。

「魔物ってこの辺にはいないの?」

「あぁ、この辺は竜の加護が強いからな。
滅多に魔物が出ることは無い。
王国の辺境は強い魔物が多いぞ?」


そうなのか。
やはり竜さまさまだな。
ということは、俺がアレンさんに会った森は辺境って事なのだろうか?
確か、魔物が出ると言ってた気がする。
まぁ、地図を見た訳でもないからこの国がどれだけ大きいかは分からないが…。

「知らずの森とか?」

「いや、あそこは特別だ。
昔からあの森は神隠しにあうと言われていてあんまり人が近づかないんだ。
原因は分からないが竜の加護が弱まってしまい魔物が出やすくなる。」

そんな危ない場所だったのか…
アレンさんが助けてくれなかったら今頃生きてなかったかもしれない…。
あれ?あそこが辺境じゃないなら加護の強い場所に囲まれてるってことだよな?

「魔物ってどっからくるの?」

「詳しくは解明されていないんだ。
魔素と言われる魔力の元が生き物に何らかの原因で過剰に集まった結果魔物になるって一般的には言われてるな。
魔物は、基本的に繁殖しない。
でも何故か増えるんだよなぁ。
だから騎士団の仕事が無くならないんだ。
全く面倒臭い……。」

アレンさん最後本音漏れてるよ?
騎士様がそんなこと言っていの?

「竜は教えてくれないの?」

「1度聞いたことがあるんだが、あいつ説明を面倒くさがってそれがこの世の理だしか言わないんだ…。」

言われた時を思い出したのがアレンさんが少しムッとしている。
拗ねてるアレンさん、可愛い……。


クソッ、またやってしまった。
アレンさんは、イケメンでかっこいいんだ。
なんだ可愛いって………。

………話を変えよ。

「あれ?知らずの森って人が立ち寄らないんでしょ?
アレン、なにしてたの?」

「あぁ、それが竜の頼みだよ。
ただ、呼び出した癖に面倒くさがってちゃんと説明してくれなくて、とりあえず知らずの森に行って捜し物をしてこいってさ。」

「捜し物?見つかったの?」

「いや、見つからなかった。
そもそも何を探すか分からないのに捜し物も何も無いだろ?行けばわかるしか言わないんだ。」

「え?なんとも曖昧な……。
でも、帰って来ちゃってよかったの?」

「あぁ、知らずの森にはちゃんと行ったからな。まぁ、お陰様でトオルに会えたから良しとしよう。
それに3日間休みを取ってたんだが、2日で終わったおかげで明日はゆっくり出来る。」

やっぱりおやすみだったんだ。
早くアレンさんの騎士姿見てみたかったけど明後日まで我慢か。

まぁ、明後日までに仕事が決まってればいいけど。


その後は、お互いがいろいろな話をしていた。
そしてついに王都が見えてきた。

「うわ!あれが王都?
凄い大きいね!
ティフィンの街の数倍はある!」

ついついはしゃいでしまった俺をアレンさんが揶揄うように笑う。

「広いから迷子にならないようにな?」

「アレン、俺のこと子供扱いし過ぎじゃない?俺だってもう24なんだから迷子になんかならないよ!」
ムッとしながら抗議する。

「すまない、王都は、治安はいい方だがいろんな人間が居る。
気をつけるに越したことはないからな?」

「まぁ、確かにそうだけど……
あ、そういえばアレンは、騎士団の宿舎に住んでるんでしょ?」

「あぁ、そうだ。それがどうかしたのか?」

「今日、寝るとこどうしよう?
宿に泊まろうにもお金ないし…
暖かいから野宿とか出来るかな?」

「ダメに決まってるだろ!」

いきなり大きい声で怒られびっくりする。

「え?だって男だし、平気じゃない?」
キョトンとしながら聞いてみる。

アレンさんは、呆れた顔でため息をついた。

「トオル、さっき、いろんな人間がいるって言っただろ?
トオルの世界ではどうだか知らんがこっちだと同性間の恋愛だって普通にあるんだぞ?

ましてや、トオルはこっちの人間からは幼く見える。
そういうのが好きなやつだって居るんだ。
それなのに野宿なんてしてみろ?

絶対に襲われるぞ?」

真剣な顔で言われ想像したら怖くなってしまう。
そっか。
こっちだと恋愛は異性だけじゃないのか。
カルチャーショックだ。

「そうなのか…。
心配してくれてたのにちゃんと聞いてなくてごめん。」

ちょっと反省する。

「分かればいい。
今日は、とりあえず騎士団の宿舎に連れていく。上手く行けば仕事も見つかるかもな。」
最後は、小さくて聞き取れなかった。

「ん?……あれ?俺、アレンにお持ち帰りされちゃうの?」

「ば、ばか、何を言ってるんだ!
別の部屋に決まってるだろ」

冗談を言ったつもりなのにアレンさんは顔を真っ赤にして抗議してくる。

あぁ、やっぱりアレンさんって可愛い。

わかった!このイケメンはかっこ良くて可愛い生き物なんだ。
そう理解することにした。

クスクスと笑って居ると、揶揄われたのがわかったらしく抱きしめている腰の手の力を強めて耳元で

「揶揄ったのか?本当に俺の部屋にお持ち帰りして朝までたっぷり可愛がってやろうか?」

と低くかっこいい声で呟かれてしまった。

「ひゃっ……んっ…ご、ごめんなさい.…もう勘弁してください……。」

耳元から身体がぞくぞくして身体が熱くなる。
心臓の鼓動が早鐘のようにバクバク鳴り、うるさい。

「心配してやったのに人を揶揄うからお仕置だ。これに懲りたらこういうことは辞めるんだな?」

俺の頭は沸騰寸前でガクガクと頭を縦に振ることしか出来なかった。



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