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本編
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何事もなく無事に王都に向けて出発した。
昨日と同じく馬の上でアレンさんに後ろから腰を抱きしめられながら進む。
近い……。
いや、馬の上だから当たり前なんだけど…。
なんだか昨日よりも更に近い気がする。
後ろと腰に感じる体温にドキドキしてしまう。
いや、違う。
これはアレンさんにドキドキしてるんじゃない。
断じて違う。
馬の上が思ったよりも高くて怖いせいだ。
吊り橋効果だ。
そうに決まってる。
いや、むしろ、そうに決定だ。
平常心平常心。
頭の中で自分にいい聞かせる。
王都に着いてしばらくすればお互い忙しいから毎日会うことは難しいだろう。
時間が経てば雛の刷り込みもマシになるはず。
………………………たまには会いたいな。
自分で考えてて凹むとか情緒不安定すぎるだろ。
頭の中で忙しなく議論を続けて居るといきなりアレンさんに声をかけられてびっくりしてしまう。
「トオル」
「ひゃい?」
あ、声裏返った。
「ん?ど、どうしたんだ?
すまない、いきなり声をかけてしまって。
びっくりさせてしまったか?」
「あ、いや、すみません。
ちょっと考え事してて。
どうしたんですか?」
「あ、いや、ゆっくり景色を楽しんでいこうって言っただろ?
あの先に見える山がわかるか?」
アレンさんが右の方を向きながら言う。
あ、そういえばそんなこと言ってた。
説明をしてくれるみたいだ。
右を向くと大きな山が広がっていた。
頂上付近だろうか?
前テレビで見たハワイのモンキーポッド?みたいな樹がそびえ立って居るのがわかった。
もちろんこれだけ離れていてもわかるのだからハワイの何十倍もあるのだろう。
「はい。凄い綺麗な山ですね。
それに頂上の所の樹凄い大きいですね?」
俺がそう伝えるとアレンさんは驚いた顔をした。
え?なんか不味いこと言った?
「トオル、あの樹が見えるのか?」
「え?」
なんだろう?実は見えちゃいけないものだったのだろうか?
俺、霊感とかないはずなんだけど……
びっくりして、気の抜けた声を返してしまう。
「そうか、トオルも見えるのか!?…。」
少し嬉しそうに興奮しながらアレンさんが説明してくれる。
「あの山には、この国を守護してくれている聖なる竜が住んでるんだ。
あの大きな樹を住処にしている。」
「え?竜ですか?ドラゴン?実際に存在するんですか?」
どうやらこの世界にドラゴンがいるらしい。
すげー!ファンタジーの世界だ。
「いや、ドラゴンじゃない、竜だ。
ん?トオルの世界にはドラゴンが居たのか?」
「いや、居ないですよ?
俺達の世界では、概念?みたいなのでドラゴンがあって、創作物の中の話でした。悪さをするドラゴンを退治する勇者の話とか、国を守ってくれるドラゴンの話とかありました。」
「悪さをするドラゴンを退治する勇者か……」
アレンさんは、何故か苦笑いをしていた。
「そうですね。
ドラゴンを倒した人をドラゴンスレイヤーって言ってみんなが尊敬するみたいな小説も読んだことありますよ?
あ、でも、この世界にはドラゴン居るんですもんね。じゃあ、ドラゴンスレイヤーも居るんですかね!
会ってみたいなぁ、かっこいいんだろうなぁ……。」
冒険物の小説は高校の時にハマって読み漁ったことがある。
強くてかっこいい主人公に憧れた。
是非とも居るなら会ってみたい。
あれ?
なんか、アレンさん顔赤い気がする。
どうしたんだろう?
「実際にはそんないいものじゃないさ……」
アレンさんが何か小さな声で呟くが俺には聞き取れなかった。
「ん?なんですか?」
聞き返すが何でもないと教えてくれなかった。
ただ、表情が少し暗い気がした。
昨日と同じく馬の上でアレンさんに後ろから腰を抱きしめられながら進む。
近い……。
いや、馬の上だから当たり前なんだけど…。
なんだか昨日よりも更に近い気がする。
後ろと腰に感じる体温にドキドキしてしまう。
いや、違う。
これはアレンさんにドキドキしてるんじゃない。
断じて違う。
馬の上が思ったよりも高くて怖いせいだ。
吊り橋効果だ。
そうに決まってる。
いや、むしろ、そうに決定だ。
平常心平常心。
頭の中で自分にいい聞かせる。
王都に着いてしばらくすればお互い忙しいから毎日会うことは難しいだろう。
時間が経てば雛の刷り込みもマシになるはず。
………………………たまには会いたいな。
自分で考えてて凹むとか情緒不安定すぎるだろ。
頭の中で忙しなく議論を続けて居るといきなりアレンさんに声をかけられてびっくりしてしまう。
「トオル」
「ひゃい?」
あ、声裏返った。
「ん?ど、どうしたんだ?
すまない、いきなり声をかけてしまって。
びっくりさせてしまったか?」
「あ、いや、すみません。
ちょっと考え事してて。
どうしたんですか?」
「あ、いや、ゆっくり景色を楽しんでいこうって言っただろ?
あの先に見える山がわかるか?」
アレンさんが右の方を向きながら言う。
あ、そういえばそんなこと言ってた。
説明をしてくれるみたいだ。
右を向くと大きな山が広がっていた。
頂上付近だろうか?
前テレビで見たハワイのモンキーポッド?みたいな樹がそびえ立って居るのがわかった。
もちろんこれだけ離れていてもわかるのだからハワイの何十倍もあるのだろう。
「はい。凄い綺麗な山ですね。
それに頂上の所の樹凄い大きいですね?」
俺がそう伝えるとアレンさんは驚いた顔をした。
え?なんか不味いこと言った?
「トオル、あの樹が見えるのか?」
「え?」
なんだろう?実は見えちゃいけないものだったのだろうか?
俺、霊感とかないはずなんだけど……
びっくりして、気の抜けた声を返してしまう。
「そうか、トオルも見えるのか!?…。」
少し嬉しそうに興奮しながらアレンさんが説明してくれる。
「あの山には、この国を守護してくれている聖なる竜が住んでるんだ。
あの大きな樹を住処にしている。」
「え?竜ですか?ドラゴン?実際に存在するんですか?」
どうやらこの世界にドラゴンがいるらしい。
すげー!ファンタジーの世界だ。
「いや、ドラゴンじゃない、竜だ。
ん?トオルの世界にはドラゴンが居たのか?」
「いや、居ないですよ?
俺達の世界では、概念?みたいなのでドラゴンがあって、創作物の中の話でした。悪さをするドラゴンを退治する勇者の話とか、国を守ってくれるドラゴンの話とかありました。」
「悪さをするドラゴンを退治する勇者か……」
アレンさんは、何故か苦笑いをしていた。
「そうですね。
ドラゴンを倒した人をドラゴンスレイヤーって言ってみんなが尊敬するみたいな小説も読んだことありますよ?
あ、でも、この世界にはドラゴン居るんですもんね。じゃあ、ドラゴンスレイヤーも居るんですかね!
会ってみたいなぁ、かっこいいんだろうなぁ……。」
冒険物の小説は高校の時にハマって読み漁ったことがある。
強くてかっこいい主人公に憧れた。
是非とも居るなら会ってみたい。
あれ?
なんか、アレンさん顔赤い気がする。
どうしたんだろう?
「実際にはそんないいものじゃないさ……」
アレンさんが何か小さな声で呟くが俺には聞き取れなかった。
「ん?なんですか?」
聞き返すが何でもないと教えてくれなかった。
ただ、表情が少し暗い気がした。
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