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本編
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アレンさんが朝食を持ってきてくれた。
正直、凄く気が重かった…。
サンドイッチとスープとコーヒーだったのだけど、パンがなぁ…。
凄くゴワゴワでカチカチなのだ。
どうやらこの世界では、イースト菌を使ったパンは発達してないらしい。
昔のヨーロッパみたいだな。
スープも茹で野菜とお湯を塩で味付けをしただけのようなものだった。
少しだけ日本に生まれて舌が肥えていることに恨みを感じてしまった。
住む所が決まったら天然酵母でも作って見ようと心に決めた。
あと、お米も恋しかった。
洋食のお店で働いていてメニューにご飯は無かったが、師匠が大のご飯好きで賄いは基本的に炊きたてご飯だった。
その影響か、基本的に米派になってしまった。
2日目にしてもう既に、卵かけご飯と味噌汁が恋しい……
この世界にお米無いのかな…
昨日の夕食もあまり食べれなかったのでお腹は空いていたし、また残してしまったらアレンさんに要らない心配をかけてしまいそうで必死に硬いサンドイッチをスープとコーヒーで無理矢理に飲み込む。
アレンさんは、相変わらずパンに肉を大量に挟んだでっかいサンドイッチを2つもペロリと平らげてていた。
申し訳程度に野菜が入ったスープを飲んでいたのは昨日俺が言ったことを気にしてだろうか?
そう思うと少し可愛く思えた。
でも、実際問題、アレンさんの偏食は料理が美味しくないことも原因の1つの気がする。
ちゃんと野菜の美味しさを知って貰ったら好き嫌いなく食べてくれるだろうか?
生活の基盤が決まって落ち着いたら美味しい野菜の料理でも作ってご馳走様してあげよう。
そんなことを密かに考えながらアレンさんを見ていると
「トオル?どうしたんだ?
そんなに見つめて?
あ、今日は、ちゃんと全部食べれたんだなよかった…」
「え?あ、はい。
お陰様で食欲は元に戻りました!
ご心配お掛けしました。」
「あぁ、本当によかった。
あと、さっき、なんだか不穏なこと考えてなかったか?」
ギクッ
アレンさん鋭いな。
「え?なんのことでしょう?
早くアレンに料理作ってあげたいなとは思ってましたけど。」
「本当か!
楽しみにしてる!」
本気で楽しみにしてくれてるようで、いい笑顔で言われてしまい、アレンさん野菜克服計画は少しづつ小出しにして行かないと罪悪感がやばくなってしまった。
______________
また昨日のようにマントを頭からすっぽり被されて宿から出る。
預けていた馬を連れてきてそのまま昨日とは反対側の門に向かって進む。
街の大通りを行くのだが昨日の夜とは違って、とても賑わっていた。
いろいろなお店が立ち並び活気が溢れている。
この街の住人は、みんな笑顔で幸せそうに暮らしていていい街なんだなと思う。
「明るくていい街だろ?」
俺の心を読んだようにアレンさんが声をかけてくる。
「そうですね。
みんな笑顔で活気がありますね。」
「ここは王都へ続く道の中でも1番治安がいい街なんだ。
色んな行商人や旅人が旅の疲れを癒すために立ち寄る。だからいろんな物が揃うんだ。
まぁ、ここで買える物は大概王都でも買えるけどな。」
「王都まではどのくらいかかるんでしたっけ?」
「俺1人で馬を走らせれば30~40分くらいだろうか。
今日は、2人で馬に乗るから恐らく1時間くらいじゃないか?
普段は見逃してしまう景色とかもトオルがいるおかげでゆっくり見れる。
ゆっくり楽しんで行こうな。」
俺が気にしないようにフォローをしてくれてるんだ。
アレンさんの優しさを感じ少しだけ胸がキュンとした………。
え?あれ?ちょっとまて?
なんだよ?
キュンって……?
昨日からちょっと変だ。
アレンさんにドキドキしたり、ズキッってしたり、愛しいって思ったり、キュンってしたり……。
乙女かよ……。
アレンさんは、男だし、俺も男だ。
そして、俺は女の子が好きだ。
きっとこれは、吊り橋効果とか、雛の刷り込みに近いものだろう。
そう思い勝手に納得することにした。
正直、凄く気が重かった…。
サンドイッチとスープとコーヒーだったのだけど、パンがなぁ…。
凄くゴワゴワでカチカチなのだ。
どうやらこの世界では、イースト菌を使ったパンは発達してないらしい。
昔のヨーロッパみたいだな。
スープも茹で野菜とお湯を塩で味付けをしただけのようなものだった。
少しだけ日本に生まれて舌が肥えていることに恨みを感じてしまった。
住む所が決まったら天然酵母でも作って見ようと心に決めた。
あと、お米も恋しかった。
洋食のお店で働いていてメニューにご飯は無かったが、師匠が大のご飯好きで賄いは基本的に炊きたてご飯だった。
その影響か、基本的に米派になってしまった。
2日目にしてもう既に、卵かけご飯と味噌汁が恋しい……
この世界にお米無いのかな…
昨日の夕食もあまり食べれなかったのでお腹は空いていたし、また残してしまったらアレンさんに要らない心配をかけてしまいそうで必死に硬いサンドイッチをスープとコーヒーで無理矢理に飲み込む。
アレンさんは、相変わらずパンに肉を大量に挟んだでっかいサンドイッチを2つもペロリと平らげてていた。
申し訳程度に野菜が入ったスープを飲んでいたのは昨日俺が言ったことを気にしてだろうか?
そう思うと少し可愛く思えた。
でも、実際問題、アレンさんの偏食は料理が美味しくないことも原因の1つの気がする。
ちゃんと野菜の美味しさを知って貰ったら好き嫌いなく食べてくれるだろうか?
生活の基盤が決まって落ち着いたら美味しい野菜の料理でも作ってご馳走様してあげよう。
そんなことを密かに考えながらアレンさんを見ていると
「トオル?どうしたんだ?
そんなに見つめて?
あ、今日は、ちゃんと全部食べれたんだなよかった…」
「え?あ、はい。
お陰様で食欲は元に戻りました!
ご心配お掛けしました。」
「あぁ、本当によかった。
あと、さっき、なんだか不穏なこと考えてなかったか?」
ギクッ
アレンさん鋭いな。
「え?なんのことでしょう?
早くアレンに料理作ってあげたいなとは思ってましたけど。」
「本当か!
楽しみにしてる!」
本気で楽しみにしてくれてるようで、いい笑顔で言われてしまい、アレンさん野菜克服計画は少しづつ小出しにして行かないと罪悪感がやばくなってしまった。
______________
また昨日のようにマントを頭からすっぽり被されて宿から出る。
預けていた馬を連れてきてそのまま昨日とは反対側の門に向かって進む。
街の大通りを行くのだが昨日の夜とは違って、とても賑わっていた。
いろいろなお店が立ち並び活気が溢れている。
この街の住人は、みんな笑顔で幸せそうに暮らしていていい街なんだなと思う。
「明るくていい街だろ?」
俺の心を読んだようにアレンさんが声をかけてくる。
「そうですね。
みんな笑顔で活気がありますね。」
「ここは王都へ続く道の中でも1番治安がいい街なんだ。
色んな行商人や旅人が旅の疲れを癒すために立ち寄る。だからいろんな物が揃うんだ。
まぁ、ここで買える物は大概王都でも買えるけどな。」
「王都まではどのくらいかかるんでしたっけ?」
「俺1人で馬を走らせれば30~40分くらいだろうか。
今日は、2人で馬に乗るから恐らく1時間くらいじゃないか?
普段は見逃してしまう景色とかもトオルがいるおかげでゆっくり見れる。
ゆっくり楽しんで行こうな。」
俺が気にしないようにフォローをしてくれてるんだ。
アレンさんの優しさを感じ少しだけ胸がキュンとした………。
え?あれ?ちょっとまて?
なんだよ?
キュンって……?
昨日からちょっと変だ。
アレンさんにドキドキしたり、ズキッってしたり、愛しいって思ったり、キュンってしたり……。
乙女かよ……。
アレンさんは、男だし、俺も男だ。
そして、俺は女の子が好きだ。
きっとこれは、吊り橋効果とか、雛の刷り込みに近いものだろう。
そう思い勝手に納得することにした。
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