料理人は騎士団長に食べさせたい

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本編

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宿について部屋に入ってからやっとアレンさんはマントを脱ぐことを許してくれた。

部屋は2人部屋で結構広めの部屋だった。
ふかふかのベッドに腰掛けながら考える。

あれ?やっぱアレンさんお金持ち?
さっきだって門番さん達から様付けで呼ばれてたもんなぁ。

それにかなり敬われていたような…。

やばい、お礼なにをあげたら良いんだろう…
早く生活基盤を整えてお金を稼がないと…。

明日王都についたらアレンさんとはお別れだろうしまた会えるといいな…。

そんなことを考えながらぼーっとして居ると突然おでこにアレンさんの手が添えられた。

「え!?ア、アレン?」

驚いて固まっていると心配したような顔でアレンさんが顔を覗き混んできた。

「トオル、大丈夫か?
やはり少し無理をさせてしまったな。
身体は平気か?熱は無いようだな。」

アレンさんにの綺麗な瞳に見つめられ顔が熱くなっていくのがわかった。
メープルシロップや蜂蜜を思わせるその瞳はやはりとても綺麗でいつまででも見ていられる気がした。

「あ、いや、大丈夫ですよ。
ちょっと考え事をしてて…」

「トオル、ちょっと熱が出てきてないか?
何か食べ物を貰ってくるから横になってろ。」

こちらの返事も待たずにアレンさんが部屋から出ていってしまう。

触れられたおでこがチリチリと熱を持ってる気がした。




____________________________________


しばらくして部屋に戻って来たアレンさんは、2つのトレーを持って来た。

1つはスープとパン、サラダや小さめのステーキなどが乗っていた。

もう1つはデカい肉の塊?とパンだけだった。

アレンさんは、部屋の机の上にトレーを乗せながら聞いてくる。

「大丈夫か?動けなさそうならそちらに持って行くが?」

ベッドで食べるなんて行儀が悪いことは出来ない…
それに休んだおかげか森ではあんなに痛く動かせなかった身体がだいぶマシになり普通に歩く分には問題なくなっていた。

「いえ、行儀悪いのでそっち行きますよ。」
そう伝え、テーブルに移動する。

「身体だいぶマシになったみたいだな?
本当によかった。だが、無理は禁物だぞ?
食べたら今日はゆっくり休め。」

俺を気遣っての言葉に嬉しくなる。

「ありがとうございます!
というか、あれ?アレンのご飯は、肉とパンだけですか?」

俺のと見比べて、どう見ても色が少ない食事を疑問に思い聞いてみるとアレンさんは、バツが悪そうに苦笑いしながら

「いや、俺、野菜があんまり得意じゃなくてな……」
と小さな声で呟いた。

イケメンな騎士さんが叱られた子供のようにシュンとするのが面白くてついついクスクス笑ってしまった。

あ、しまった、失礼だったかな。
反省して笑いを堪えるが1度笑ってしまったのを引っ込めるのが難しかった。

アレンさんは、そんな俺を見て少しだけムッとしたような顔をして

「昔から野菜やら魚は苦手だったんだよ…
孤児院のシスターたちに散々怒られながら必死に食べたんだ。大人になった今くらい好きな物食べてもいいだろ…」
呟くようにそんなことをいう。

孤児院?気になったが聞いてもいいものかわからなく濁してみる。

「で、でも、それじゃ栄養が偏っちゃいますよ?
ご飯は、バランスよく食べないと色んな病気になっちゃいます。
騎士さんだって身体が資本なんですから気をつけないと…」

「わ、わかっては居るんだ。
トオルも、ヴェインみたいなこと言うんだなぁ…」

「ヴェイン?どなたですか?」

「俺の騎士仲間だよ…
いつも口うるさくて…
それ以外に関しては頼りになるやつではあるんだが…
とりあえず、今日は、せっかくヴェインも居ないんだし好きな物を食べるんだ!
ほら?トオルも冷めないうちに食べろ。」

そんなことをいいながら美味しそうに大きな肉を大きめに切ってかぶりついてしまう。

美味しそうに肉を食べる姿はまるで子供みたいで昼のかっこよさからは想像出来ず可愛いく愛しく思えた……。

ん?愛しいってなんだよ?
アレンさんは、男だぞ?
あ、あれか、普段かっこいい人が見せる可愛いところに萌えるっていうギャップ萌えってやつか…。

深く考えても分からないのでとりあえず納得しとくことにして、俺も料理に手をつける。

いただきます。

見た目は美味しそうだったのに想像したのと違い独創的な味だった……。
平たく言うとあまり美味しくなかった…。




♦♦♦♦♦


拙い文章ですが読んでいただきありがとうございます。
誤字、脱字等のご指摘、感想お待ちしてます。
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