131 / 138
131 消えたトリスト
しおりを挟む
「なんだってぇっ!!」
俺は思わず叫んだ。
「嘘だ!どう考えたって、奴は死んだはずだ!」
だめ押しのケルンドグスも喰らわせたんだぞ。
それでもピクリともしなかったんだ。
なのに消えただと!?
そんな馬鹿なことがあるものか!
リリーサが心配そうに俺をのぞき込む。
「本当に確実に倒したの?」
俺はすかさず答えた。
「ああ!間違いなく倒したはずだ」
俺は改めて先程のトリストの様子を思い起こした。
だが確かにトリストの身体に触って確認したわけじゃない。
見落としたのか?
本当はまだ生きていたのか?
するとリリーサが俺の顔をのぞき込みながら大声を出した。
「ねえ!ちょっと!とりあえず確認にいくわよ!」
俺は戸惑いながらも同意した。
「あ、ああ。そうだな。行こう」
するとリリーサが、ジトー侯爵に振り返って言った。
「ちょっと二人で行って見てくる。おじ様はネルヴァとレイナをとにかく回復させて!」
そう言いつつリリーサは既に駆けだしていた。
俺は慌ててその後を追う。
くそっ!
本当なのか?
トリストは本当に生きていたのか?
俺は自問自答しながら、全速でリリーサを追いかけた。
リリーサは飛ぶように走る。
追いかけるだけで精一杯だ。
左肩の傷口がうずく。
くそっ!
俺は必死で階段を駆け上った。
すると先を行くリリーサが階段を上りきり、そこにいたジトー侯爵の部下に問い掛ける。
「どっち!?」
部下たちは一様に中庭を指さした。
リリーサは無言でうなずき、そのままの勢いで中庭へと向かう。
俺は左肩を右手で押さえながらその背を追った。
するとジトー侯爵の部下たちが十人ほどで中庭にいた。
リリーサが大声で問い掛ける。
「そこなの!?そこで消えたの!?」
リリーサは問い掛けながら、あっという間に現場に到着した。
部下たちは皆厳しい顔でうなずく。
リリーサはうなずき返し、焼け焦げた芝生を睨みつけた。
俺はようやく追いつき、リリーサと共に芝生を見た。
「くそっ!本当に……いなくなりやがったのか……」
俺の力ないつぶやきを聞いた部下が答える。
「はい。我々は貴方の戦いを注視しておりました。そして貴方が戦い終え、地下に向かった後、トリストの身体がうごめいたのです」
俺はその部下を見つめ、その先を急かした。
「それでどうした!?」
部下は厳しい顔つきのまま、答えた。
「我々がうごめきに気付いた直後、霞が散るように、トリストの身体が虚空に消え失せたのです」
俺は思わず叫んだ。
「嘘だ!どう考えたって、奴は死んだはずだ!」
だめ押しのケルンドグスも喰らわせたんだぞ。
それでもピクリともしなかったんだ。
なのに消えただと!?
そんな馬鹿なことがあるものか!
リリーサが心配そうに俺をのぞき込む。
「本当に確実に倒したの?」
俺はすかさず答えた。
「ああ!間違いなく倒したはずだ」
俺は改めて先程のトリストの様子を思い起こした。
だが確かにトリストの身体に触って確認したわけじゃない。
見落としたのか?
本当はまだ生きていたのか?
するとリリーサが俺の顔をのぞき込みながら大声を出した。
「ねえ!ちょっと!とりあえず確認にいくわよ!」
俺は戸惑いながらも同意した。
「あ、ああ。そうだな。行こう」
するとリリーサが、ジトー侯爵に振り返って言った。
「ちょっと二人で行って見てくる。おじ様はネルヴァとレイナをとにかく回復させて!」
そう言いつつリリーサは既に駆けだしていた。
俺は慌ててその後を追う。
くそっ!
本当なのか?
トリストは本当に生きていたのか?
俺は自問自答しながら、全速でリリーサを追いかけた。
リリーサは飛ぶように走る。
追いかけるだけで精一杯だ。
左肩の傷口がうずく。
くそっ!
俺は必死で階段を駆け上った。
すると先を行くリリーサが階段を上りきり、そこにいたジトー侯爵の部下に問い掛ける。
「どっち!?」
部下たちは一様に中庭を指さした。
リリーサは無言でうなずき、そのままの勢いで中庭へと向かう。
俺は左肩を右手で押さえながらその背を追った。
するとジトー侯爵の部下たちが十人ほどで中庭にいた。
リリーサが大声で問い掛ける。
「そこなの!?そこで消えたの!?」
リリーサは問い掛けながら、あっという間に現場に到着した。
部下たちは皆厳しい顔でうなずく。
リリーサはうなずき返し、焼け焦げた芝生を睨みつけた。
俺はようやく追いつき、リリーサと共に芝生を見た。
「くそっ!本当に……いなくなりやがったのか……」
俺の力ないつぶやきを聞いた部下が答える。
「はい。我々は貴方の戦いを注視しておりました。そして貴方が戦い終え、地下に向かった後、トリストの身体がうごめいたのです」
俺はその部下を見つめ、その先を急かした。
「それでどうした!?」
部下は厳しい顔つきのまま、答えた。
「我々がうごめきに気付いた直後、霞が散るように、トリストの身体が虚空に消え失せたのです」
0
お気に入りに追加
1,900
あなたにおすすめの小説
転移術士の成り上がり
名無し
ファンタジー
ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。
異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜
スクールH
ファンタジー
家柄こそ全て!
名家生まれの主人公は、絶望しながら死んだ。
そんな彼が生まれ変わったのがとある成り上がりラノベ小説の世界。しかも悪役貴族。
名家生まれの彼の心を占めていたのは『家柄こそ全て!』という考え。
新しい人生では絶望せず、ついでにウザい成り上がり共(元々身分が低い奴)を蹴落とそうと決心する。
別作品の執筆の箸休めに書いた作品ですので一話一話の文章量は少ないです。
軽い感じで呼んでください!
※不快な表現が多いです。
なろうとカクヨムに先行投稿しています。
主人公を助ける実力者を目指して、
漆黒 光(ダークネス ライト)
ファンタジー
主人公でもなく、ラスボスでもなく、影に潜み実力を見せつけるものでもない、表に出でて、主人公を助ける実力者を目指すものの物語の異世界転生です。舞台は中世の世界観で主人公がブランド王国の第三王子に転生する、転生した世界では魔力があり理不尽で殺されることがなくなる、自分自身の考えで自分自身のエゴで正義を語る、僕は主人公を助ける実力者を目指してーー!
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
異世界で俺はチーター
田中 歩
ファンタジー
とある高校に通う普通の高校生だが、クラスメイトからはバイトなどもせずゲームやアニメばかり見て学校以外ではあまり家から出ないため「ヒキニート」呼ばわりされている。
そんな彼が子供のころ入ったことがあるはずなのに思い出せない祖父の家の蔵に友達に話したのを機にもう一度入ってみることを決意する。
蔵に入って気がつくとそこは異世界だった?!
しかも、おじさんや爺ちゃんも異世界に行ったことがあるらしい?
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる