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125 巨大化

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「ディヴァインシールド!」

 俺は瞬時に新たな盾を展開した。

 半透明な盾が瞬く間に現れる。

 だがトリストの攻撃は止まない。

 次から次へと剛撃が繰り出される。

 ガッギィーーーーーン!

 ガッギィーーーーーン!

 新たに展開されたディヴァインシールドに、瞬く間に大きな亀裂が入る。

「ちぃっ!」

 俺は次々にディヴァインシールドを重ねて展開させた。

 だがトリストは委細構わず、悪鬼羅刹の形相で豪腕を振り下ろす。

 ちぇっ!本当に我慢比べだな。

 それにしても、心なしかやはりトリストの身体が大きくなっていっている。

 それにまして腕力が上がっているのも確かなようだ。

「ディヴァインシールド五連!」

 俺はディヴァインシールドを五枚重ねて展開させた。

 初めてやってみたが、上手い具合に重なった。

 おかげで厚みがハンパない。

 ついにトリストの攻撃を軽く跳ね返せるようになった。

「ぐっ!」

 トリストが苦悶の表情を浮かべて一歩後ずさった。

「どうだ!これなら傷一つ付けられないだろう!」

 するとトリストが耳をつんざくような雄叫びを上げた。

 ウオオオオオオオオオォォォォォーーーーーーー!!!!

「ちぃっ!うるさいなあ」

 俺は思わず舌打ちした。

 トリストは鬼の形相もかくやといわんばかりの顔で、俺を睨んでいる。

 俺は目の前に展開する分厚い盾越しに、トリストを睨み返した。

 するとそこで、俺はトリストの異変に気付いた。

 ちょっと待て。

 みるみる大きくなっていってるぞ。

 おいおい、いくらなんでもデカすぎるだろ。

 このままじゃ天井突き破るぞ。

 するとトリストの牛のような頭が、ついに天井に届いた。

 メキッメキッと天井にひびが入る。

 ひびはどんどん広がっていき、網の目のようになった。

 ビシッ!ビシッ!

 ひびはさらに大きくなり、ついに大きな亀裂が何本も入った。

 すると瞬間、大きな音を立ててついに天井が崩れた。

 瓦礫がバラバラと崩れ落ちていく。

「マジか……」

 俺が唖然とした表情で見つめていると、さらにトリストが加速度的に大きくなっていく。

 やべえ。

 さっきの大きさであのパワーなら、今の大きさだったら……。

 しかも、まださらに巨大化は止まっていない。

 俺は引き攣った顔をして、さらなる巨大化を図るトリストを、呆然とした顔で眺め続けるのであった。
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