1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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「かもしれんが、そんなことはどうでもいいことじゃ。それよりもお前さんの有益性じゃ」

「有益性?」

「アルデバランにとっては、お前さんは有益な存在じゃろうよ。人々の耳目を集めるSランクの中でもとびきりの経歴を持った少年英雄が解放軍の先頭に立ったならば、国民は大いに沸き立つというものじゃ」

「やっぱり攻め込むのか?」

「すぐには無理じゃ。準備がいる」

「空気を醸成するんだな?」

「それもある。だがもっと重要なことがある」

 俺は眉根を寄せた。

「それは?」

 バーン翁は不敵な笑みを湛えた。

「エルブリーズをけしかけるのよ」

 俺は驚き、目を剥いた。

「戦争を起こさせるってのか!?」

 バーン翁はゆっくりと首を横に振った。

「いや、それはさすがにやりすぎじゃ」

「だがけしかけるんだろう?」

「そうじゃ。だがエルブリーズとベルガンが全面戦争となれば、大変な事態となる。それは避けたい」

「じゃあどうしようっていうんだ?」

「ベルガンとの国境に、大軍を展開してもらうのよ」

 俺は軽くうなずいた。

「けん制してもらうってわけか」

「そうじゃ。国境沿いにエルブリーズが大軍を展開しようものなら、当然ベルガンも大軍で対峙し、睨みつけねばなるまい」

「そうなれば、アルデバランに割ける人数を減らせるってわけだな」

 バーン翁が満足げに微笑んだ。

「おそらく、これがベルガンには一番効くじゃろう」

「それと同時にアルデバラン領内で内乱を起こし、オルダナから俺たちが一気に攻め込む。そういうことだな?」

 またもバーン翁が満足げにうなずいた。

「大まかな戦略としてはそうだ。だがなにせ我らが目指すのは、アルデバラン奪還という大事じゃ。そうなると、もっと細かなところも詰めていかねばなるまいな」

「俺はそういう細かなことは……」

 正直、得意ではない。

 すると、バーン翁が呵々と高笑いした。

「わかっておる。その辺のところはわしらと、前にお前から聞いた、レノアとかいう参謀坊やと一緒にやるわい」

 俺は正直胸をなでおろした。

「レノアなら、そういうことは得意だと思う」

 するとそこで、ガッソの据わるソファーの後ろから、聞き覚えのある低い声が響いた。

「わたしも協力しよう。連絡係など、やれることは色々とあるだろうからな」

「ゼロス!いたのか?」

 ゼロスがソファーの背もたれの向こうから、にゅっと首を伸ばして俺を見た。

「ああ。話は聞かせてもらっていた。特に話に割って入る必要もないと思ったのでな。寝そべって聞いていたのだ」
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