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第二章
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「やかましい!そんなこと、お前に言われんでも、誰もが知っておるわ!」
ソウザはやけくそなのか、自分の特技が逃げることであるのは周知の事実とばかりに開き直った。
「よいか、貴様ら!何が異名だ、そんなものどうでもいいわ!貴様ら何か勘違いしているようだが、俺様は別に逃げてもいいんだよ!」
ソウザは顎を上げて胸を張り、堂々と言い続ける。
「何故かわかるか!それは俺様が貴様らの指揮官だからだ!この駐屯地の司令官だからだ!貴様らを指揮監督する者が最初にやられては、軍は総崩れとなろう!だからこの駐屯地で一番偉い俺様は、貴様らを指揮監督するために逃げてもいいのだ!」
清々しいまでの卑怯者の弁は続く。
「だがひるがえって、お前たちは違う!お前たちは何があろうと、この場にとどまらねばならん!よいか、お前たちが逃げることは、指揮監督するこの俺様が絶対に許さん!もしも貴様らが逃げる姿勢を少しでも見せようものなら、軍法会議にかけるまでもなく、この場で即刻処刑するぞ!わかったか!」
実にひどい内容の激であった。
だがそれでも、いや、だからこそ兵たちの顔つきが変わった。
皆、歯を食いしばり、目を血走らせながら、じりじりと足を前に出す。
ソウザの日頃の行いや言動から、兵たちは今の言葉が本気であると感じ取ったのだろう。
軍法会議なしでの即時処刑なんて、普通は出来るはずがないのに、皆がそれを信じた。
よほど普段から、ソウザの悪辣な姿を見ていたのだろう。
最悪な内容の激ではあるが、どうやら士気だけは上がったようだ。
俺はため息を一つ吐き、蒼龍槍を構えた。
「仕方ない。やはりまとめてなぎ倒すしかなさそうだ」
俺の呟きに、バーン翁もため息を吐いた。
「ひどい奴じゃな。あのソウザとやら」
俺はうなずき、答えた。
「ああ。俺の知る限り、ダントツ一番の卑怯者だよ」
「ふむ。わしの長い人生でも、あれほどの卑怯者には会ったことはないかもしれん。あれは相当じゃな」
「そうなんだよ。本当に腹が立つ」
するとバーン翁の背に負われたアルフレッドが言う。
「俺もだ。なんとしてもあいつだけはぶちのめせ」
「そうしたいのはやまやまなんだけどなあ。なにせあいつ、逃げ足の速さは天下一品だからなあ」
するとバーン翁が言った。
「わしらのことは気にせず、お前さんはあのソウザを真っ直ぐに狙え」
「いや、しかし……」
俺は怪我をしているアルフレッドをちらりと見た。
だがバーン翁は自信たっぷりに言い放った。
「大丈夫じゃ。この建物を背にすれば、わしはいくらでももつ。だからお前さんは、一直線にあの卑怯者を討て」
ソウザはやけくそなのか、自分の特技が逃げることであるのは周知の事実とばかりに開き直った。
「よいか、貴様ら!何が異名だ、そんなものどうでもいいわ!貴様ら何か勘違いしているようだが、俺様は別に逃げてもいいんだよ!」
ソウザは顎を上げて胸を張り、堂々と言い続ける。
「何故かわかるか!それは俺様が貴様らの指揮官だからだ!この駐屯地の司令官だからだ!貴様らを指揮監督する者が最初にやられては、軍は総崩れとなろう!だからこの駐屯地で一番偉い俺様は、貴様らを指揮監督するために逃げてもいいのだ!」
清々しいまでの卑怯者の弁は続く。
「だがひるがえって、お前たちは違う!お前たちは何があろうと、この場にとどまらねばならん!よいか、お前たちが逃げることは、指揮監督するこの俺様が絶対に許さん!もしも貴様らが逃げる姿勢を少しでも見せようものなら、軍法会議にかけるまでもなく、この場で即刻処刑するぞ!わかったか!」
実にひどい内容の激であった。
だがそれでも、いや、だからこそ兵たちの顔つきが変わった。
皆、歯を食いしばり、目を血走らせながら、じりじりと足を前に出す。
ソウザの日頃の行いや言動から、兵たちは今の言葉が本気であると感じ取ったのだろう。
軍法会議なしでの即時処刑なんて、普通は出来るはずがないのに、皆がそれを信じた。
よほど普段から、ソウザの悪辣な姿を見ていたのだろう。
最悪な内容の激ではあるが、どうやら士気だけは上がったようだ。
俺はため息を一つ吐き、蒼龍槍を構えた。
「仕方ない。やはりまとめてなぎ倒すしかなさそうだ」
俺の呟きに、バーン翁もため息を吐いた。
「ひどい奴じゃな。あのソウザとやら」
俺はうなずき、答えた。
「ああ。俺の知る限り、ダントツ一番の卑怯者だよ」
「ふむ。わしの長い人生でも、あれほどの卑怯者には会ったことはないかもしれん。あれは相当じゃな」
「そうなんだよ。本当に腹が立つ」
するとバーン翁の背に負われたアルフレッドが言う。
「俺もだ。なんとしてもあいつだけはぶちのめせ」
「そうしたいのはやまやまなんだけどなあ。なにせあいつ、逃げ足の速さは天下一品だからなあ」
するとバーン翁が言った。
「わしらのことは気にせず、お前さんはあのソウザを真っ直ぐに狙え」
「いや、しかし……」
俺は怪我をしているアルフレッドをちらりと見た。
だがバーン翁は自信たっぷりに言い放った。
「大丈夫じゃ。この建物を背にすれば、わしはいくらでももつ。だからお前さんは、一直線にあの卑怯者を討て」
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