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第二章
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アルフレッドが呆れたような声で言った。
どうやらアルフレッドには、言葉よりも力で見せた方が説得力があるようだ。
俺はさらに腕に力を、少しずつ込める。
「おほっ!こりゃ凄いわい。三つめも解けたわい。これなら、いけそうじゃな」
俺は軽く笑みを浮かべて、バーン翁に応えた。
そうして俺は、さらにゆっくりと力を込めていき、残り五つの魔法封印を解いた。
「見事じゃ!これほどの魔法封印を力づくで解くとは、驚きを通り越して呆れるほどじゃ」
バーン翁はそう言う通り、呆れた顔をしていた。
俺は苦笑を漏らす。
「力自慢なもんでね」
「ただの力自慢では、こうはならん。お前さんのは、恐るべき力じゃ」
バーン翁に、アルフレッドが続く。
「本当にな。まさか力づくとは……顔や姿が変わっても、お前の脳筋主義は変わっていないようだな」
「脳筋主義ってなんだよ」
俺が少しつっかかるような言い方をすると、待ってましたとばかりにアルフレッドが笑い出した。
「なんでも力づくで事態を解決しようとするところさ。お前の代名詞みたいなもんだろ」
俺はすかさず反発した。
「そんなことはない。俺だって考えたりするさ」
「そうか~?」
「特に今はそうだ。あのときの俺とは違うんだ」
「まあたしかに、姿かたちは違っているけどな。中身は大して変わってないんじゃないか?多少生意気になったくらいでさ」
俺は、腹立たし気に鼻から息を吐き出した。
だがそこでバーン翁が間に入った。
「これ、じゃれ合うのはここを脱出してからにせい。行くぞ」
バーン翁はさっと踵を返すや、さっさと歩き出した。
俺は肩をすくめて抗議の意思を指し示すも、これに関してはバーン翁の言うとおりだと思い直し、後に続こうと出口に向かって降り返ろうとした。
そのとき、アルフレッドの身体が揺れ動くのを見た。
俺は咄嗟に動き、アルフレッドの身体を抱きかかえた。
アルフレッドの顔が、俺の顔のすぐ真横にある。
どうやらかなり痛みがあるらしい。少し苦痛に歪んでいる。
俺はそんなアルフレッドに対し、心配そうに声をかけた。
「大丈夫か?」
アルフレッドは俺に体重を預けながらも、気丈に笑みを見せる。
俺は両腕に力を込め、アルフレッドが全体重をかけられるようにする。
「すまない。ちょっと身体がフラフラするようだ」
声が、先ほどよりも弱っている。
「結構こっぴどくやられたみたいだな?」
アルフレッドが俺の肩の上でこくりとうなずく。
「ああ。奴らの中に格闘家が三人いるんだが、そいつらが結構なサディストでな。かなり痛めつけられたよ」
どうやらアルフレッドには、言葉よりも力で見せた方が説得力があるようだ。
俺はさらに腕に力を、少しずつ込める。
「おほっ!こりゃ凄いわい。三つめも解けたわい。これなら、いけそうじゃな」
俺は軽く笑みを浮かべて、バーン翁に応えた。
そうして俺は、さらにゆっくりと力を込めていき、残り五つの魔法封印を解いた。
「見事じゃ!これほどの魔法封印を力づくで解くとは、驚きを通り越して呆れるほどじゃ」
バーン翁はそう言う通り、呆れた顔をしていた。
俺は苦笑を漏らす。
「力自慢なもんでね」
「ただの力自慢では、こうはならん。お前さんのは、恐るべき力じゃ」
バーン翁に、アルフレッドが続く。
「本当にな。まさか力づくとは……顔や姿が変わっても、お前の脳筋主義は変わっていないようだな」
「脳筋主義ってなんだよ」
俺が少しつっかかるような言い方をすると、待ってましたとばかりにアルフレッドが笑い出した。
「なんでも力づくで事態を解決しようとするところさ。お前の代名詞みたいなもんだろ」
俺はすかさず反発した。
「そんなことはない。俺だって考えたりするさ」
「そうか~?」
「特に今はそうだ。あのときの俺とは違うんだ」
「まあたしかに、姿かたちは違っているけどな。中身は大して変わってないんじゃないか?多少生意気になったくらいでさ」
俺は、腹立たし気に鼻から息を吐き出した。
だがそこでバーン翁が間に入った。
「これ、じゃれ合うのはここを脱出してからにせい。行くぞ」
バーン翁はさっと踵を返すや、さっさと歩き出した。
俺は肩をすくめて抗議の意思を指し示すも、これに関してはバーン翁の言うとおりだと思い直し、後に続こうと出口に向かって降り返ろうとした。
そのとき、アルフレッドの身体が揺れ動くのを見た。
俺は咄嗟に動き、アルフレッドの身体を抱きかかえた。
アルフレッドの顔が、俺の顔のすぐ真横にある。
どうやらかなり痛みがあるらしい。少し苦痛に歪んでいる。
俺はそんなアルフレッドに対し、心配そうに声をかけた。
「大丈夫か?」
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俺は両腕に力を込め、アルフレッドが全体重をかけられるようにする。
「すまない。ちょっと身体がフラフラするようだ」
声が、先ほどよりも弱っている。
「結構こっぴどくやられたみたいだな?」
アルフレッドが俺の肩の上でこくりとうなずく。
「ああ。奴らの中に格闘家が三人いるんだが、そいつらが結構なサディストでな。かなり痛めつけられたよ」
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