1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 すると、ようやく力が戻った。

 俺は腕に力を込めて回転を止めると、上半身を持ち上げて立ち上がろうとした。

 だが半ば持ち上げたところで、またも後頭部を激しく蹴られてしまった。

「ぐっ!」

 後頭部を蹴られたことで、顔面を床にしこたま打ち付けてしまった。鮮血が鼻からほとばしる。

 くそ、この野郎!やってくれたな!だがそれより、また脳震盪を起こしたらまずいぞ!

 だが今度は大丈夫だった。これもレベルアップか?

 俺は一瞬そう思うも、そんなことはどうでもいいとすぐさま思いなおし、とにかく立ち上がろうとする。

 だがそのとき、今度は目の前にどちらかの足が迫ってきた。

 俺は一旦力を弱めて上半身を下ろした。

 頭の上をするどい蹴りが通り過ぎる。

 よしっ!ここだ!

 俺は再びすぐさま力を入れて上半身を起こす。

 と同時に両足をかがめて膝をつく。

 そして勢いよく身体を起こして立ち上がろうとした。

 そこへ再び蹴りが迫る。

 俺は両腕をクロスし、胸元に迫る蹴りをブロックした。

 だが相手はふたりだ。

 俺は動物的な勘で、膝をかがめてダッキングする。

 すると、俺の後頭部を狙っていたであろう蹴りが頭の上を通りすぎた。

 よし!とりあえず距離を取ろう。

 俺は後ろ向きに強く跳んだ。

 別の蹴りが、俺の顔面を追ってくる。

 だがすんでのところでなんとか躱し、俺はとりあえず窮地を脱した。

「ぷふうぅ~」

 俺は唇を震わせ、息を吐き出した。

 今のはやばかった。こいつら、強い。

「小僧、意外としぶといじゃないか」

 モー・キンムーが言った。

「うるっせーな。俺のセリフを真似してんじゃねえよ!」

「ふん、真似しちゃいけない法律はないだろう?」

「うるせーって。黙れよ」

「ずいぶん鼻息が荒いようだが、その鼻から赤いものが垂れているぞ」

 モー・キンムーの言うとおり、俺の鼻からはとめどなく血が流れ続けていた。

「鼻血くらいどうってことねえよ」

 俺が強がりを言うと、キンムー兄弟が顔を上げて笑った。

「小僧、無理はしない方がいいぞ?」

 ラー・キンムーが嫌味たっぷりに言った。

「無理なんかするかよ。こんなの大したことねえぜ」

「鼻血小僧にいきがられてもなあ」

「誰が鼻血小僧だ!」

「お前に決まっているだろう」

 ラー・キンムーはそう言うと、隣に立つ弟と顔を見合わせて、またも高笑いした。

 俺の怒りは頂点に達した。

 と、どうやら鼻血が止まったらしい。

 俺は右手で鼻をぬぐうと、大きく息を吐き出した。

 そして腰を落として構え、キンムー兄弟を睨みつけた。

「こっからが本気だ。てめえら、ぐっちゃぐっちゃにぶちのめしてやるから、覚悟しろよ!」
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