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第二章

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「なんだと!」

 憲兵たちが途端に殺気立つ。どうやらそれだけで、来訪の意味が分かったらしい。

 俺たちは、平然とした顔で歩を進めた。

「止まれ!」

 ひとりの憲兵が高圧的に指図した。

 当然、俺たちは止まらなかった。

「くっ!貴様ら、ここが憲兵本部と知っての狼藉か!」

「知っておるに決まっておろう。わしはお前さんたちから、孫を取り返しにきたんじゃからな」

 バーン翁が平然と言う。

「やはり貴様、ヴィルヘルム・バーンか!」

 すると、憲兵たちが浮足立った。

 どうやらヴィルヘルム・バーンが、Sランクの強者だとわかっているらしい。

 部屋の後ろの方で、あわただしく動いている者たちが見える。

 そのうちの一人が、奥の扉を開けて部屋を出ていった。どうやら加勢を呼びにいったようだ。

 手前の者たちは殺気立つも、相手が相手だけに手をこまねいている。

「さて、わしがヴィルヘルム・バーンじゃとしたら、お前さんらどうする?逃げるかね?」

 バーン翁が、憲兵たちを煽る。

 憲兵たちは今にも飛び掛かって来そうな勢いで構えを取った。

「ふむ、面構えだけはよし。じゃが、行動が伴わんのう。睨んでいるだけではどうにもならんぞ」

 するとついに盤面が動いた。

 百を超える憲兵たちが、雪崩を打って襲いかかってきた。

「それでよい」

 バーン翁は一言つぶやくと、迎え撃つ。

 迫りくる憲兵たちを、ひらひらとステップワークで難なくかわしつつ、掌底を繰り出す。

 憲兵たちが次々と宙を舞い、室内の机や椅子などに激突して破壊した。

 すると、俺にも憲兵たちが向かってきた。

 俺は思わずニヤリと笑みをこぼしつつ、両拳を振るった。

 憲兵たちが血飛沫を上げて、次々倒れていく。

 憲兵たちはそれぞれの武器を手に襲いかかってくるも、俺たちは理不尽なくらいの力技でねじ伏せていった。

「相手にならんな」

 七十余りの憲兵を打ちのめした頃、バーン翁がつぶやいた。

 残りの三十強は、間合いを計っている。

「まあ、こんなもんでしょ」

「かもしらんが、面白くない。さっきから準備運動にもならんわ」

「もうだいぶやっつけてるけどね」

「それでもじゃ。つまらん。少しは骨のあるやつはおらんのか?」

 バーン翁は、残りの三十ばかりの憲兵たちに向かって問いかけた。

 すると丁度そのタイミングで、奥の扉が勢いよく開け放たれた。

 そしてその扉の向こうから、いかにもな武闘着に身を包んだ三人の男たちが姿を現した。

「あれがガッソやロトスが言っていた武闘家かな?」

 俺が問いかけると、翁がうなずいた。

「そうじゃろうな。ずいぶんと雰囲気を出しおる。生意気じゃな」
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