1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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「なんとでも言ってくれ」

 俺は階段にたどり着き、一気に駆け上がる。

 翁も負けじと続く。さすがはSランク。衰えを感じさせることは、まるでない。

 そのため俺たちは、瞬く間に二階へとたどり着いた。

「こっちだな」

 俺たちは、受付嬢から案内された真っ直ぐに伸びた廊下をひたすら歩いた。

 廊下はかなり長かったものの、しばらくして突き当りが見えた。

「衛兵が突っ立っているな。いや、憲兵かな」

「憲兵隊だからな。憲兵じゃろう」

「で、どうする?聞くまでもないか」

 翁は思った通りに不敵な笑みを浮かべた。

「一応聞こうかのう。答えなかったらば、ぶっ飛ばすまでよ」

「やっぱりな」

 俺は声を上げて笑った。

 正面扉を守るふたりの憲兵が、不審げに顔を見合わせている。

 次いで右の憲兵が右手を上げて言った。

「そこで止まれ!憲兵本部に何用か!」

 止まれと言われても、こちらに止まる気はない。

 翁も、俺と歩を同じくする。

「貴様ら!止まれと言っているのが聞こえんのか!?」

 俺たちは共ににやにやしながら、さらに進んだ。

 憲兵たちは業を煮やしたか、ついに腰に佩いた剣を抜き放った。

「止まらんと斬るぞ!」

 俺たちのにやにやと、歩は止まらなかった。
 
「くっ!」

 右の憲兵が腰を落とした。

 こいつは俺の獲物としよう。

「斬るぞ!いいんだな!」

 憲兵は言い終えるや、裂帛の気合を込めて剣を振り上げた。

 瞬間、俺は廊下を力強く蹴った。

 あっという間に間合いを詰め、左の拳を憲兵のどてっ腹にぶち込む。

 憲兵の口から一気に空気が吐き出されると同時に、横の壁に向かって身体が吹き飛んだ。

「やるのう」

 バーン翁は呟くと同時に前に出た。

 左の憲兵が慌てて剣を構える。

 だがそれより早く、翁は懐に飛び込んだ。

 そして掌底一閃。

 憲兵の顔面がひしゃげる。

 そして力をなくした憲兵は、膝から崩れ落ちた。

「一応聞くんじゃなかったっけ?」

 俺が問いかけると、翁が鼻で笑った。

「お前さんが早まったんじゃろうが。わしは仕方なくじゃ」

「仕方なくねえ~まあいいや。それじゃあ突入するか?」

「ま、こうなったら平和的には無理じゃな。力づくでいくとしよう」

 バーン翁の同意を得て、俺は大きく足を振り上げた。

 そして力を込めて扉を蹴破った。

 吹き飛んだ扉の向こうに、大きな部屋が見えた。

 ここが憲兵本部か。

 百人を超える憲兵たちが一斉に振り返る。

 そして俺たちの姿を見て、立ち上がった。

「なんだ貴様ら!」

 手前の憲兵が叫んだ。

 俺が翁を見ると、にやりと笑った。

「アルフレッド・バーンの保護者じゃと言えば、わかるかな?」
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