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第二章
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「別に問題ないんじゃない?バレたら大勢で襲ってくるだろうけど、そんなの蹴散らしちゃえばいいことだし」
バーン翁が吹き出すように笑った。
「おいおい、その大勢が万単位だったらどうするんじゃ?」
「それでも蹴散らすさ。アルデバラン脱出のときはアリアスを守らなきゃいけなかったけど、今アルフレッドを救出しても、あんたがついている。なら俺は、安心して敵を蹴散らしまくるだけでいい」
翁はさらに愉快そうに嬉々として笑った。
「お前さんは面白いのう。それに心強いわい」
「そうだろ?でも、俺だって心強いぜ」
「ふむ、わしらは、現状考えられる限りの最強タッグだからのう」
「そういうこと。さあ、そういうわけだからさっさと乗り込もうぜ」
五十メートル先の大きな建物は、いつの間にか目の前にきていた。
俺は、勇躍して建物の入り口に繋がる階段を昇る。
翁も年齢を感じさせない軽やかな足取りで、俺に続いた。
「さあ、鬼が出るか蛇が出るか。お楽しみといこうじゃないか」
俺は扉に手をかけると、勢いよく開けた。
中には、数百を数えるほどの、上裸のむくつけき男たちがいた。
「なんだここは……」
俺はそのあまりにむさくるしい様子に口を歪ませ、辟易した。
翁が俺に続いて中を覗き込んだ。
「なんじゃ、だだっ広くて体育館みたいじゃのう。どうやらここは、兵たちのトレーニング用にでも使われているようじゃな」
確かに男たちは腕立て伏せやら、なんやら筋トレのようなことをしているようだ。
だがその前に、このむわっとした空気はなんだ?気色が悪いなんてものじゃないぞ。
正直、入りたくない。こいつらの汗が蒸発した湿気にさらされるなんて、ごめんだ。
俺はこれ以上ないというくらいの嫌そうな顔を作った。
だが翁は、問答無用だった。
「入るぞ。ついて参れ」
「ええ~……ここじゃなくてもよくないか?」
「片っ端から聞きまくると言うたじゃろう」
「いや、でも……湿気が……」
「贅沢を言うな。アルフレッドを見つけるまで、しらみつぶしに探すんじゃ」
「ここにはいないだろう。中はただただだだっ広いだけだし、アルフレッドを捕まえておく場所なんてありそうもないぞ」
「わからんぞ。この地下におるかもしれんじゃないか」
「いやあ、いないって。他を当たろうぜ」
とことん嫌な俺であったが、翁は許してくれない。
「だめじゃ。しらみつぶしじゃと言うておろうが。さあ、とっとと入れ」
翁は俺の首根っこを摑まえるや、無理やり建物の中に引き入れた。
途端に気色の悪い湿気が全身にまとわりつく。
「ああああああああ……気持ちが悪いいいいいいいい」
バーン翁が吹き出すように笑った。
「おいおい、その大勢が万単位だったらどうするんじゃ?」
「それでも蹴散らすさ。アルデバラン脱出のときはアリアスを守らなきゃいけなかったけど、今アルフレッドを救出しても、あんたがついている。なら俺は、安心して敵を蹴散らしまくるだけでいい」
翁はさらに愉快そうに嬉々として笑った。
「お前さんは面白いのう。それに心強いわい」
「そうだろ?でも、俺だって心強いぜ」
「ふむ、わしらは、現状考えられる限りの最強タッグだからのう」
「そういうこと。さあ、そういうわけだからさっさと乗り込もうぜ」
五十メートル先の大きな建物は、いつの間にか目の前にきていた。
俺は、勇躍して建物の入り口に繋がる階段を昇る。
翁も年齢を感じさせない軽やかな足取りで、俺に続いた。
「さあ、鬼が出るか蛇が出るか。お楽しみといこうじゃないか」
俺は扉に手をかけると、勢いよく開けた。
中には、数百を数えるほどの、上裸のむくつけき男たちがいた。
「なんだここは……」
俺はそのあまりにむさくるしい様子に口を歪ませ、辟易した。
翁が俺に続いて中を覗き込んだ。
「なんじゃ、だだっ広くて体育館みたいじゃのう。どうやらここは、兵たちのトレーニング用にでも使われているようじゃな」
確かに男たちは腕立て伏せやら、なんやら筋トレのようなことをしているようだ。
だがその前に、このむわっとした空気はなんだ?気色が悪いなんてものじゃないぞ。
正直、入りたくない。こいつらの汗が蒸発した湿気にさらされるなんて、ごめんだ。
俺はこれ以上ないというくらいの嫌そうな顔を作った。
だが翁は、問答無用だった。
「入るぞ。ついて参れ」
「ええ~……ここじゃなくてもよくないか?」
「片っ端から聞きまくると言うたじゃろう」
「いや、でも……湿気が……」
「贅沢を言うな。アルフレッドを見つけるまで、しらみつぶしに探すんじゃ」
「ここにはいないだろう。中はただただだだっ広いだけだし、アルフレッドを捕まえておく場所なんてありそうもないぞ」
「わからんぞ。この地下におるかもしれんじゃないか」
「いやあ、いないって。他を当たろうぜ」
とことん嫌な俺であったが、翁は許してくれない。
「だめじゃ。しらみつぶしじゃと言うておろうが。さあ、とっとと入れ」
翁は俺の首根っこを摑まえるや、無理やり建物の中に引き入れた。
途端に気色の悪い湿気が全身にまとわりつく。
「ああああああああ……気持ちが悪いいいいいいいい」
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