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第二章

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「そうじゃな。それがまっとうな殴り込みというものじゃ。それでいこう」

 バーン翁は俺の提案を受け入れ、満足げに笑みを見せる。

 俺も笑みを返し、しばらく二人で笑い合った。

 
 そうこうするうち、右手側の視界が開けた。建物が無くなり、広範囲に緑鮮やかな芝生が広がっている。道路と芝生の間には金網が遮り、その上部には鉄条網が引かれていた。

「どうやらここらしい」

 俺がそう言うと、バーン翁はうなずいた。

「うむ。そのようじゃな。かなり広い土地のようじゃ」

「だいぶ向こうに大きな建物が見えるな」

「あそこに向かおう。誰かおるじゃろ」

「そうだな。で、聞いてみるわけだ。アルフレッドは何処だと」

「そうじゃ。誰かしら知っておるじゃろ」

「知っている奴を見つけるまで聞き続けるってわけだな?」

「そうじゃ。それが一番手っ取り早いわい」

「違いない。さて、何人目で教えてくれるかな」

「何人でもいいわい。わしらはアルフレッドにたどり着くまで、敵をぶっ飛ばし続けりゃいいだけじゃ」

「物騒な話だな」

「そりゃそうじゃ。殴り込みとはそういうものぞ」

 バーン翁は呵々と笑った。

 俺は苦笑し、しばらくあるいた。

 すると、ようやく建物にたどり着いた。

 建物の門前には重装備の衛兵が二人、槍を構えて立っている。

 だがバーン翁は足を止めず、門の中に入って行こうとする。

 と、衛兵が鋭く呼び止めた。

「何用か?」

 衛兵の問いに、バーン翁はやはり足を止めずに答えた。

「孫を取り返しに来た」

「孫だと?」

 衛兵たちは互いに顔を見合わせた。

 バーン翁はようやくそこで立ち止まった。

「知らんか?アルフレッド・バーンと言うんじゃが」

 衛兵たちは再び顔を見合わせた。

 がすぐに意味を理解し、二人は槍をバーン翁の前に交差させて立ちはだかった。

「貴様、何しに来た!?」

「だから言っておろう。取り返しに来たと」

 翁は言うなり、槍が十字に交差している部分をむんずと掴んだ。

 そして、目いっぱいに引いた。

 突然のことに衛兵は対応できず、槍を放してしまった上に前のめりに転んだ。

「か、返せ!」

 地面に突っ伏しながら衛兵が叫んだ。

「ほれ」

 バーン翁は即座に二本の槍を放り上げた。

 衛兵たちは慌ててそれをキャッチする。

「な、何をするか!」

「おぬしら、アルフレッドの居場所は知らんようだな?では用はない。通るぞ」

 バーン翁はすっと歩き出し、門の中に侵入しようとする。

 衛兵たちは再び槍を構えたものの、今度は交差させずにバーン翁に向けた。

「ゆるさんぞ、じじい!」
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