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第二章
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「しかも完全武装の兵が五十だ。多勢に無勢だったろうと思う」
ガッソは苦渋に満ちた表情をしている。
「しかし、それならガッソは何故怪我をしているんだ?アルフレッドとは別行動だったんだろう?」
ガッソは忌々しそうな表情に変わった。
「あっしのところにも来やがったんだ。重装歩兵が二十ばかりな」
「二十か……確かに多いが、ガッソなら行けそうな気もするが」
ガッソは肩をすくめた。
「それだけじゃなかったんだ」
「ガッソのところにも格闘家が来たのか?」
ガッソはゆっくりと首を横に振った。
「いや、格闘家じゃない。槍使いだ」
「槍使いか。間合いが長い分、ガッソにとってはやりづらいな」
ガッソはそこで下を向き、大きく息を吐き出した。
そして顔を上げるや、怒りに満ちた表情となっていた。
「カズマ、その槍使いはお前もよく知っている奴だよ」
俺は思わず、眉根をギュッと寄せた。
俺が知っている?まさか――
「ソウザか!」
ガッソは悔しそうにうなずいた。
「そうだ。あの野郎が襲ってきやがったんだ」
ソウザ・デグラント――銀髪の槍使い。カイゼル・グリンワルド麾下の部隊長だ。俺たちはアルデバラン脱出の際、散々こいつに苦しめられた。
そのソウザが――
「正直あっしは、奴から逃げるので精いっぱいだった。若の話を聞いたのは、それから数時間も後のことだった」
俺は鼻から息を大きく吐き出す。
「仕方ないさ。ああ見えて奴は相当に強い。しかも二十人の重装歩兵もいたんだろう?だったらまずは逃げることが先決だ」
ガッソはさも悔しそうに顔を歪めた。
「そう言ってくれて助かるぜ。だが、若には申し訳ないことをしてしまった」
ガッソはそこで視線をバーン翁に移した。
「申し訳ありませんでした、おやっさん」
バーン翁は鷹揚にうなずいた。
「そのソウザという奴は、カズマが言うからには相当に強いんだろう。だったら仕方のないことじゃ。気にするな。それより、何故バレたのかが問題だ」
ガッソは首を横に振った。
「わかりません。正直、うまくやっていた自信がありました。慎重に、綿密に焦ることなく取り組んでいたつもりでした」
「ふむ、となると……」
バーン翁は眉尻をピンと跳ね上げた。
「裏切り者がおるの」
するとガッソが勢い込んで言った。
「そんな!おやっさん、うちの商会に裏切り者なんているはずがねえ!」
だがバーン翁は鋭い視線で中空を睨みつつ言った。
「かもしれん。だがそうでないかもしれんぞ。まだ調べてはおらん以上、どちらの可能性もあるということよ。にも拘らず、感情に流され、軽々に判断するのは、お前の悪い癖じゃな」
ガッソは苦渋に満ちた表情をしている。
「しかし、それならガッソは何故怪我をしているんだ?アルフレッドとは別行動だったんだろう?」
ガッソは忌々しそうな表情に変わった。
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「二十か……確かに多いが、ガッソなら行けそうな気もするが」
ガッソは肩をすくめた。
「それだけじゃなかったんだ」
「ガッソのところにも格闘家が来たのか?」
ガッソはゆっくりと首を横に振った。
「いや、格闘家じゃない。槍使いだ」
「槍使いか。間合いが長い分、ガッソにとってはやりづらいな」
ガッソはそこで下を向き、大きく息を吐き出した。
そして顔を上げるや、怒りに満ちた表情となっていた。
「カズマ、その槍使いはお前もよく知っている奴だよ」
俺は思わず、眉根をギュッと寄せた。
俺が知っている?まさか――
「ソウザか!」
ガッソは悔しそうにうなずいた。
「そうだ。あの野郎が襲ってきやがったんだ」
ソウザ・デグラント――銀髪の槍使い。カイゼル・グリンワルド麾下の部隊長だ。俺たちはアルデバラン脱出の際、散々こいつに苦しめられた。
そのソウザが――
「正直あっしは、奴から逃げるので精いっぱいだった。若の話を聞いたのは、それから数時間も後のことだった」
俺は鼻から息を大きく吐き出す。
「仕方ないさ。ああ見えて奴は相当に強い。しかも二十人の重装歩兵もいたんだろう?だったらまずは逃げることが先決だ」
ガッソはさも悔しそうに顔を歪めた。
「そう言ってくれて助かるぜ。だが、若には申し訳ないことをしてしまった」
ガッソはそこで視線をバーン翁に移した。
「申し訳ありませんでした、おやっさん」
バーン翁は鷹揚にうなずいた。
「そのソウザという奴は、カズマが言うからには相当に強いんだろう。だったら仕方のないことじゃ。気にするな。それより、何故バレたのかが問題だ」
ガッソは首を横に振った。
「わかりません。正直、うまくやっていた自信がありました。慎重に、綿密に焦ることなく取り組んでいたつもりでした」
「ふむ、となると……」
バーン翁は眉尻をピンと跳ね上げた。
「裏切り者がおるの」
するとガッソが勢い込んで言った。
「そんな!おやっさん、うちの商会に裏切り者なんているはずがねえ!」
だがバーン翁は鋭い視線で中空を睨みつつ言った。
「かもしれん。だがそうでないかもしれんぞ。まだ調べてはおらん以上、どちらの可能性もあるということよ。にも拘らず、感情に流され、軽々に判断するのは、お前の悪い癖じゃな」
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