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第二章
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翁はひとしきり笑い終えると、表情を引き締めた。
「しかしそれもこれも、後のこと。まずはアルフレッド救出が最優先じゃ」
俺も厳しい表情となった。
「当然だな。だがどうする?やはりデガロー支店に突入するか?」
俺は再び、町の中心部にあるバーン商会の支店への突入を提案した。
だが翁は首を横に振った。
「まずは腹ごしらえだと言ったろう。ほれ、ちょうどメインディッシュが来たわい」
翁は顎を振り、左手を指し示した。
その顎の先には、山盛りの料理を携え、こちらに向かって歩いて来る給仕係がいた。
給仕係は俺たちのテーブルにたどり着くと、段取りよく料理を置いた。
「こちら、メインディッシュのオイマン海老のクリームソースでございます」
翁は満足げに微笑んだ。
「うむ。美味しそうじゃ」
「どうぞ、ごゆっくりお召し上がりください」
給仕係は言うなり、さっと立ち去っていった。
「ほれ、食おうではないか。冷めてしまうぞい」
翁は言うなり、すぐさまナイフとフォークを握りしめ、料理に取りかかった。
俺はそれを見て軽く肩をすくめるも、翁に倣ってナイフとフォークに手をかけた。
ま、確かに今後の方針は食事後でもいいか。
俺はそう思い、美味そうな湯気が沸き立つ料理に取りかかった。
「さて、腹ごしらえもすんだことじゃし、出るとするか」
翁は食べ終えるなり、そう言った。
すでに食べ終えていた俺は、思わず眉根を寄せた。
「店を出る前に方針を決めた方がいいんじゃないか?」
だが翁はすでに椅子から立ち上がろうとしていた。
「大丈夫じゃ。心配ない。わしについて参れ」
俺はさらに眉根をギュッと寄せるも、翁は立ち上がっただけではなくすでに歩き始めていたため、仕方なく後をついていくことにした。
ゼロスがその俺の後に続く。
カウンター席の向こうから店長が出てきた。
「翁、ご出立でございますか?」
翁は鷹揚にうなずいた。
「うむ。美味かったぞ。また寄らせてもらおう」
店長は深々とお辞儀をした。
「ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております」
「うむ。ではな」
翁はそう言うと、給仕係が明けた扉をくぐって店の外に出た。
俺は会計をしてないなと思うものの、出資しているわけだから別にいいのかと思い直し、翁に続いて店を出た。
すると、翁はすでにさっさと歩き出していた。
俺は思わず足元のゼロスを見た。
ゼロスはどうやらほんのりと笑っているようだった。
だが街中でゼロスと会話は出来ない。
俺は仕方なく肩をすくめると、バーン翁のあとを追った。
「しかしそれもこれも、後のこと。まずはアルフレッド救出が最優先じゃ」
俺も厳しい表情となった。
「当然だな。だがどうする?やはりデガロー支店に突入するか?」
俺は再び、町の中心部にあるバーン商会の支店への突入を提案した。
だが翁は首を横に振った。
「まずは腹ごしらえだと言ったろう。ほれ、ちょうどメインディッシュが来たわい」
翁は顎を振り、左手を指し示した。
その顎の先には、山盛りの料理を携え、こちらに向かって歩いて来る給仕係がいた。
給仕係は俺たちのテーブルにたどり着くと、段取りよく料理を置いた。
「こちら、メインディッシュのオイマン海老のクリームソースでございます」
翁は満足げに微笑んだ。
「うむ。美味しそうじゃ」
「どうぞ、ごゆっくりお召し上がりください」
給仕係は言うなり、さっと立ち去っていった。
「ほれ、食おうではないか。冷めてしまうぞい」
翁は言うなり、すぐさまナイフとフォークを握りしめ、料理に取りかかった。
俺はそれを見て軽く肩をすくめるも、翁に倣ってナイフとフォークに手をかけた。
ま、確かに今後の方針は食事後でもいいか。
俺はそう思い、美味そうな湯気が沸き立つ料理に取りかかった。
「さて、腹ごしらえもすんだことじゃし、出るとするか」
翁は食べ終えるなり、そう言った。
すでに食べ終えていた俺は、思わず眉根を寄せた。
「店を出る前に方針を決めた方がいいんじゃないか?」
だが翁はすでに椅子から立ち上がろうとしていた。
「大丈夫じゃ。心配ない。わしについて参れ」
俺はさらに眉根をギュッと寄せるも、翁は立ち上がっただけではなくすでに歩き始めていたため、仕方なく後をついていくことにした。
ゼロスがその俺の後に続く。
カウンター席の向こうから店長が出てきた。
「翁、ご出立でございますか?」
翁は鷹揚にうなずいた。
「うむ。美味かったぞ。また寄らせてもらおう」
店長は深々とお辞儀をした。
「ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております」
「うむ。ではな」
翁はそう言うと、給仕係が明けた扉をくぐって店の外に出た。
俺は会計をしてないなと思うものの、出資しているわけだから別にいいのかと思い直し、翁に続いて店を出た。
すると、翁はすでにさっさと歩き出していた。
俺は思わず足元のゼロスを見た。
ゼロスはどうやらほんのりと笑っているようだった。
だが街中でゼロスと会話は出来ない。
俺は仕方なく肩をすくめると、バーン翁のあとを追った。
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