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第二章
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「自信満々だな?」
俺は、歩き出したバーン翁と肩を並べながら、少し挑発するように言った。
だがバーン翁は、顎を上げて肩をそびやかした。
「当然じゃ。わしを誰だと思っておる」
バーン翁はそう言ってにやりと笑った。
ネーレウス号に近づくと、たくさんの者が出港準備に追われているのが見て取れた。
「何人くらいでこの船は動くんだ?」
「最低でも五十人は必要じゃな。だが通常は、その三倍の百五十人で航海しておる」
「本当に世界最速なのか?」
「無論じゃ。わが商会の技術の粋を結集して造らせたのじゃからな」
「武装は?」
「ない。わしは戦争をする気はないからな。それに、今回は武装なしの方が都合がいいじゃろう」
「確かにな。武装したままで、デガローに入港するのは難しそうだ」
「その通り。デガローは敵地じゃ。そのことを忘れてはならん」
「わかっているさ」
「うむ」
バーン翁が満足げにうなずくと、右手をサッと上げた。
見ると、乗組員と思われる者たちがバーン翁に向かって頭を下げている。
「わしに構わず、出港準備をしてくれ」
彼らはバーン翁の言葉を聞くや、無言でさっと踵を返し、作業に戻った。
統率が効いている。見事なものだ。これなら安心して航海を任せられそうだ。
「どれくらいでデガローに着きそうなんだ?」
バーン翁はすかさず答えた。
「およそ三日というところだな」
「三日か……速いんだろうが、アルフレッドのことを考えると、その間のことが心配だな」
するとバーン翁が俺の背中をバンと力強く叩いた。
「心配いらん!ベルガンもいきなり処刑なんて真似はするまい。まずは審議をするじゃろうて。その間にわしらはデガローに入れれば問題ない」
悪いことをした。アルフレッドの祖父であるバーン翁の方が、俺より心配なはずだ。
それにもかかわらず、バーン翁は呵々と笑っている。
俺は、バーン翁の器の大きさを嫌でも思い知らされた。
「さあ、そこから上るぞ」
バーン翁は船にかかる渡り板を指さした。
かなり急角度で掛かっているが、縄で出来た手すりも付いている。落ちることはなさそうだ。
俺は横を並走するゼロスに向かって問いかけた。
「ゼロスは渡れそうか?」
するとゼロスが、頭や尾、肩や腰から伸びた触手をひらひらとさせた。
「わたしにはこれがある。人間の腕と違い、七本もあるので、安定性は上だ」
「確かにそうだった。それなら心配ないな」
俺は笑いながらバーン翁のあとに続き、渡り板を昇り始める。
ゼロスもひらりと渡り板の上に乗るや、バランスよく渡り始めた。
俺は、歩き出したバーン翁と肩を並べながら、少し挑発するように言った。
だがバーン翁は、顎を上げて肩をそびやかした。
「当然じゃ。わしを誰だと思っておる」
バーン翁はそう言ってにやりと笑った。
ネーレウス号に近づくと、たくさんの者が出港準備に追われているのが見て取れた。
「何人くらいでこの船は動くんだ?」
「最低でも五十人は必要じゃな。だが通常は、その三倍の百五十人で航海しておる」
「本当に世界最速なのか?」
「無論じゃ。わが商会の技術の粋を結集して造らせたのじゃからな」
「武装は?」
「ない。わしは戦争をする気はないからな。それに、今回は武装なしの方が都合がいいじゃろう」
「確かにな。武装したままで、デガローに入港するのは難しそうだ」
「その通り。デガローは敵地じゃ。そのことを忘れてはならん」
「わかっているさ」
「うむ」
バーン翁が満足げにうなずくと、右手をサッと上げた。
見ると、乗組員と思われる者たちがバーン翁に向かって頭を下げている。
「わしに構わず、出港準備をしてくれ」
彼らはバーン翁の言葉を聞くや、無言でさっと踵を返し、作業に戻った。
統率が効いている。見事なものだ。これなら安心して航海を任せられそうだ。
「どれくらいでデガローに着きそうなんだ?」
バーン翁はすかさず答えた。
「およそ三日というところだな」
「三日か……速いんだろうが、アルフレッドのことを考えると、その間のことが心配だな」
するとバーン翁が俺の背中をバンと力強く叩いた。
「心配いらん!ベルガンもいきなり処刑なんて真似はするまい。まずは審議をするじゃろうて。その間にわしらはデガローに入れれば問題ない」
悪いことをした。アルフレッドの祖父であるバーン翁の方が、俺より心配なはずだ。
それにもかかわらず、バーン翁は呵々と笑っている。
俺は、バーン翁の器の大きさを嫌でも思い知らされた。
「さあ、そこから上るぞ」
バーン翁は船にかかる渡り板を指さした。
かなり急角度で掛かっているが、縄で出来た手すりも付いている。落ちることはなさそうだ。
俺は横を並走するゼロスに向かって問いかけた。
「ゼロスは渡れそうか?」
するとゼロスが、頭や尾、肩や腰から伸びた触手をひらひらとさせた。
「わたしにはこれがある。人間の腕と違い、七本もあるので、安定性は上だ」
「確かにそうだった。それなら心配ないな」
俺は笑いながらバーン翁のあとに続き、渡り板を昇り始める。
ゼロスもひらりと渡り板の上に乗るや、バランスよく渡り始めた。
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