1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 ゼロスは軽くうなずいた。

「わかった。今すぐ出発か?」

「出来れば、すぐにでも出発したいと思っている」

 するとゼロスは、素早く四肢を立ち上げた。

「では行こう。わたしに準備は必要ない」

 俺は軽く笑うと、言った。

「俺もだ」

 俺はすかさず踵を返した。

 そして門に向かって歩き始める。

 ゼロスが音もなく後をついて来る。

 そうして俺たちは、オルダナ西部の避暑地、べラクーンへと出発する一歩を踏み出した。



「そうだ。バーン商会に寄らないとな」

 俺が、邸宅の門を潜り抜けたところで言った。

 まだ辺りにひと気はない。ゼロスが返した。

「何用だ?」

 俺はバーン商会への道に舵を切りつつ、答えた。

「その老人というのが、バーン商会を設立した創始者なんだ」

「ほう、それはそれは。ならば話を通しておいてもらわなければ、会うことも出来まい」

「以前に世話になったバーン商会の番頭に頼んでおいたから会えるとは思うが、いきなり行くわけにもいかないからな」

「確かお前は、バーン商会の跡取り息子と懇意なのだったな?」

 俺はゼロスに、過去のいきさつを思い出せる限りにおいて、すべて話している。

「アルフレッドだな。さっき話した番頭のガッソとともに、アルデバラン脱出の際には、命がけで共に戦ってくれた戦友だ。関係性としては現当主の息子にあたる。ちなみに創始者は現当主の父親だ。つまり、アルフレッドは創始者にとって孫にあたる人物だ」

「ならば問題なかろう。孫の友人なのだから、少なくとも会ってはくれるだろう」

「だといいな」


 五分ほど歩いた頃、遠くにバーン商会の看板が見えてきた。

「あれだ。バーン商会の支店だ」

 俺がそう言うも、ゼロスは答えなかった。

 周りにひと気があるためだ。ゼロスはひと気のあるところでは話さないことになっている。

 というのもしゃべるモンスターなど、こちらの世界においても皆無に等しいからだ。

 幸い連れて歩くだけなら問題はない。

 モンスターテイムしている冒険者などがいるためだ。

 だからよほど大型のモンスターでなければ、人々も騒ぎ出したりはしない。

 だが、話し出すとなれば話は別になる。
 
 突然街中でゼロスが話し出そうものなら、それを聞いた人々がパニックに陥ってしまうだろう。

 だからゼロスは、ひと気のあるところでは無言となった。

「すまない。助かるよ」

 俺は横を歩く、ゼロスを見下ろしながら言った。

 ゼロスは軽く笑みを浮かべ、うなずいた。

 そうこうするうちに、バーン商会のすぐ手前まで来た。
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