1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 レノアはひとしきりゼークルを睨みつけると、視線を巻物に落とした。

「お前は三度、王女殿下の御命を狙った。その計画の全貌、そして実行犯たちの自白調書がこれだ」

 レノアはそう言って、再びゼークルに巻物の中身を見せた。

 ゼークルはそれを一瞥するや、鼻を鳴らした。

「知らんと言っているだろう。わたしの預かり知らぬことだ」

「自白があると言っている」

「ふん!下賤の者らの自白など、何の意味があるか!」

 レノアの目がスーッと細くなる。

 怒りを押し殺しているのだろう。

 レノアは一旦大きく深呼吸すると、さらに巻物を広げた。

「この巻物の後半は、お前のこれまでの悪行を羅列したものだ。うら若き女性たちの拉致監禁、そして筆舌に尽くしがたい蛮行の数々、善良な領民たちへの苛烈な施策などなどだ。はっきり言って、どれも吐き気をもよおすほどのものだ」

 するとゼークルが口の端を上げた。

「お前がどう思おうと好きにしろ。わたしの知ったことではない」

「では内容については認めるんだな?」

「そんなことは言っていない。お前の主観によって書かれたものなど、知ったことではないと言っている」

「これはわたしが書いたものではない。わたしの部下たちが書いたものだ」

「ならば同じことだ。お前の主観に沿って、お前の部下たちが書いたというだけのことだ」

「証拠がそろっていると言っている」

「知らんな。そんなものがあったとして、どうだというのだ?」

 レノアが厳しい表情ながら、少し首を傾げた。

「どういう意味だ?」

「そんなものがあったとして、どう使うのかと聞いている」

「決まっている。裁判で使用される」

 するとゼークルが、鼻でせせら笑った。

「裁判だと?貴族であるこのわたしがか?そんなことになど、なるはずがないわ!」

 レノアの表情が一層厳しくなった。

「特権階級だから、裁判になどならぬと?」

 ゼークルが勝ち誇ったように、蔑んだ笑みを浮かべた。

「当然だ。わたしは由緒正しき伯爵位を継し者だぞ。裁判になどかけられるはずがない。裁判などというものは、お前たちのような下賤な者どもを罰するためにこそ、存在しているのだ。我ら貴族には関係ない」

 レノアが怒髪天を衝くような怒りを見せた。

「黙って聞いていれば調子に乗って、聞くに堪えない妄言をぺらぺらと吐くな!」

 だがゼークルはどこ吹く風であった。

「わたしは事実を言っているだけだ。嘘だと思うなら、このわたしを裁判にかけてみるがよい。だが貴様の思い通りに事は運ばぬぞ。そんなことをすれば、オルダナ中の貴族たちが反対を唱えるに決まっておるわ!」 
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