1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 突き放すようなゴート公爵の言葉であったが、レノアの顔は明るいままであった。

「今はお味方してくださらなくて結構です。いずれで、構いませんので」

 ゴート公爵が首を傾げた。

「よいのか?お前たちには敵が多い。帝国はもちろん、我がオルダナ王国内にも、たくさんおるぞ」

「存じております。ですが、それらは僕らで退けます。公爵のお手を煩わせるようなことは致しません」

「ふん、自信満々だな」

 レノアが肩をすくめる。

「我が軍は帝国相手ならともかく、オルダナ貴族相手ならば、恐るるに足りませんので」

「オルダナ貴族たちをどうするつもりだ?我もオルダナ貴族の一員なのだがな」

 レノアが笑顔で首を傾げた。

「一員は一員でしょうが、同じというわけではないでしょう。おべっかを言うわけではありませんが、ゴート公爵はオルダナきっての最大貴族。それも、他の貴族たちを圧倒するほどです。だから僕は停戦を申し出ているのです」

 ゴート公爵の目がギラリと光った。

「停戦だと?」

「そうです。停戦です」

「つまり、この状況をなんとかしたいというわけだな」

「はい。僕らは先程も申し上げたとおり、公爵と事を構えたくはないのです。それどころか、いずれはお味方していただきたいと思っています。ですから、ここは停戦ということにしていただけませんか?」

「ずいぶんと調子がいいではないか。我が邸宅に無断で侵入し、あまつさえ我が庇護下のゼークル伯爵を手中にしておいて言うことではない!」

 ゴート公爵の大音声が響き渡る。

 だが、レノアも負けていない。

「調子がいいことは重々承知!その上であえてお願いいたします。停戦していただきたい」

 ゴート公爵の目が鋭く細くなった。

「停戦するとして、ゼークル伯爵はどうなる?」

 レノアは敢然と言い放った。

「連れて参ります。この者は、アリアス王女殿下の命を三度に渡り狙いました。さらに、いたいけな女性たちをかどわかし、不当に監禁し、なおかつ言語に絶する苦痛を与え続けました。決して許すわけには参りません」

 ゴート公爵はあごを傲然と上げた。

「証拠はあるのか?」

 レノアが間髪を入れずに言った。

「あります!僕たちはその女性たちを保護しております。それに、暗殺未遂の下手人も捕えております!」

 ゴート公爵がレノアを睨みつける。

 レノアがその目を見返す。

 だがゴート公爵は、顔を横に背け、吐き捨てるように言った。

「たとえ、どのような証拠があろうと、ゼークル伯爵を渡すわけにはいかん」
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