1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 二階から三階、そして四階へ。

 四階の踊り場に到着するなり、見渡す。

 二階とは違い、前方に一本だけ廊下が走っている。

 俺は躊躇なく駆けだした。

 廊下の一番奥の突き当りにはゴート公爵の居室があり、その手前左側が、ゼークル伯爵にあてがわれた部屋だ。

 だがラーズ族の報告にあったとおり、突き当りのゴート公爵の部屋の前には二人の警備員が立っていた。

 いや、警備員じゃない。如何にも重そうな鎧を身に纏った重装警備兵だ。

 その彼らが俺に気付いた。

「何者だ!止まれ!」

 無論俺は止まらない。全速力で駆け続ける。

 だがそのとき、ゴート公爵の居室の手前右側の扉が勢いよく開かれた。

 その中から、幾人もの重装警備兵が姿を現した。

 何人だ?二、四、六、八、ちょっと待て。どれだけ沸いて出てくるつもりなんだ。

 結局、俺がたどり着いたときには、彼らの数は二十人を超えていた。

 面倒だが、やるしかない。

 俺は駆けてきた勢いのまま大きく足を前に踏み出し、裂帛の気合を込めて、蒼龍槍を振るった。

 金属同士がぶつかり合う甲高い音と、その金属が瞬間的にへこむ鈍い音が同時にいくつも鳴った。

 と同時に、幾人もの重装警備兵が宙を舞う。

 俺が蒼龍槍を振り切り、次の構えを取ったときには、重装警備兵たちは壁や天井に、勢いよく叩きつけられていた。

 だが敵はまだまだいる。

 重装警備兵たちが抜刀し、俺に向かって殺到する。

 俺は返す刀とばかりに、蒼龍槍で横殴りにする。

 再び重装警備兵たちが、凄まじい衝突音を伴なって吹き飛んでいく。

 俺は内心、「これで当然、ゴート公爵に気付かれたな」と思った。

 だがそんなことを考えている間に、次の重装警備兵たちが目の前に現れた。

 俺はそれを、同じ要領で吹き飛ばしていく。

 何度も、何度も。

 そこで、はたと気づいたことがあった。

 よく見ると、一度吹き飛ばしたはずの重装警備兵が、再び俺に対して向かってきているのが見てとれた。

 その証拠に、鎧が大きくへこんでいる。だから間違いない。一度吹き飛ばされたにもかかわらず、彼らは何度も向かってきているのだ。

 正直驚いた。今まで、こんなことはなかったと思う。

 よほど頑丈な鎧なのか。いや、実際大きくへこんでいる。特別製ってわけじゃなさそうだ。

 では、何故か。

 ゴート公爵への忠誠心ゆえか。

 それゆえ、彼らは何度吹き飛ばされても、俺の侵入を阻もうと立ち塞がっているのか。

 どうやら、ゼークル伯爵とは大違いのようだな。

 そのとき、正面の大扉が観音開きにゆっくりと開き始めた。
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