1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 どうやらお出ましのようだ。

 ちょうどそのタイミングで、レノアを背負ったゼロスが到着した。

 大扉が静かに開いていく。

 その扉の向こうから、二メートル近い長身のゴート公爵が、威風堂々とその姿を現した。

「貴様ら!我が屋敷に何用あって参ったか!」

 ゴート公爵の怒号に、重装警備兵たちがかしこまって道を開ける。

 その開けられた道を、ゆったりとした足取りでゴート公爵が進んでくる。
 
 俺は、横にきたレノアを見る。

 レノアは大きく深呼吸をした。

 そして息を吐き終えるなり、気合を込めて言った。

「ゼークル伯爵とワイズマンの身柄を引き取りに参りました!」

 ゴート公爵は俺たちの前で立ち止まり、言った。

「そのようなこと、わたしは受けてはおらん!」

「ですが、アリアス王女殿下の名において、両名を引き渡すよう書状を送ったはずですが?」

 どうやらそういった手続きは一応していたらしい。

 だがゴート公爵は鼻をフンと大きく鳴らし、俺たちを睥睨した。

「書状は確かに受け取った。だが同時に、当方より断りの書状を送ったはずだぞ」

 レノアは軽く首を傾げ、とぼけた表情を浮かべた。

「はて、こちらは受け取った覚えはありませんが?」

「とぼけるな。確かに送った。それに、アリアス王女邸に届いたことも、我が配下の者により確認済みだ」

 だが、レノアのおとぼけは続く。

「おかしいですねえ?僕は見ていないんですけどねえ」

「ふん、貴様が見ていようといまいと、わたしには関係ない」

「そうはいきません。僕たちとしては引き渡してもらえると思い、ここまで足を運んだのですから」

 するとゴート公爵がまなじりを決し、裂帛の気合で怒鳴り声を上げた。

「貴様らは書状を送っただけで返信の確認もせず!勝手に押し寄せたうえ!さらに無断で邸宅内に侵入し!このような乱暴狼藉を厭わずにする輩だということか!」

 だがレノアは揺れ動く柳のように、ゴート公爵の言葉を受け流した。
 
「突然襲いかかられましたので、降りかかる火の粉を払っただけにございます」

「我が居室の前まで侵入しておいて、よく言うわ!」

 ゴート公爵は吐き捨てるように言った。

「申し訳ありません。ですがここはゴート公爵の居室の前でありながら、ゼークル伯爵の部屋の前でもありますので」

 悪びれずレノアは言った。

 よし、ならば俺は――

 レノアの横にいた俺は、さっと踵を返して左へと移動した。

 そして蒼龍槍を後ろに引き、次いで前方に突き出した。

 蒼龍槍の三叉の先端が、豪華な意匠のゼークル伯の部屋の扉を直撃する。

 扉は見るも無残に、激しく四散した。
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