1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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「お、来た来た」

 俺の思考を遮るように、レノアが言った。

 俺は声を発したレノアを見ると、馬車の後ろから外を覗いていた。

「どうした?なにが来たんだ?」

 俺が尋ねると、レノアが裏門の方を指さした。

 見ると、一両の大型馬車がゆっくりと裏門に向かっていた。

「あの馬車か?ずいぶん大きいな。荷馬車か?」

「そうだね」

 荷馬車が裏門の前でゆっくり止まると、ゴート公爵邸の警備員が二名、近づいていった。

 荷馬車の御者と、なにやら話している。

 そのうち、警備員のひとりが踵を返した。

 そして裏門に戻るなり、また別の待機していた警備員たちに指示を出した。

 慌ただしく動き出す警備員たち。

 するとしばらくして、突然裏門が大きな音を立てて開きはじめた。

「お!開いた!」

 俺が思わず口にすると、レノアがにんまりと笑った。

「さあ、今がチャンスだ」

 俺はうなずき、三人のラーズ族たちに指示を出す。

「さっき説明した通りだ。目的はふたつ。ひとつはゴート公爵邸の見取り図を描くこと。そしてもうひとつは、ゼークル伯爵、ワイズマンの両名の居場所を探ることだ」

 俺の指示に、ラーズ族たちがうなずいた。

 途端にラーズ族の姿が薄くなっていく。

 徐々に、徐々に色味が薄れ、終いには見えなくなった。

 俺はもう一度ラーズ族に声をかける。

「頼んだぞ!」

 すると、すぐ近くの床がドタドタと音がした。

 その音はすぐに馬車から道路へと移り、次第に音は聞こえなくなっていった。

「相変わらず凄いね。まったく見えないよ」

 レノアが感嘆の声を上げる。

 俺も同意する。

「本当にな。気配はわかるが、まったく見えやしない」

 するとレノアが苦笑した。

「君も凄いね。気配でわかるなんて。僕にはまったくさっぱりだよ。でもまあこれなら、上手くいきそうだ」

 俺はうなずくも、疑問がひとつ浮かんだ。

 それをレノアに投げかけてみた。

「ところであの馬車、偶然あのタイミングで現れたのか?」

 レノアは得意げな顔をする。

「い~や~、偶然じゃないね」

 俺は苦笑いを浮かべた。

「ということは、レノアの差し金ってわけか」

 レノアはさらに満面の笑みを浮かべて、言った。

「そのとお~り。僕が手配した荷馬車さ」

 裏門に止まった荷馬車を見ると、荷台からなにやら大荷物を下ろしている。

「どうやって裏門を開けたんだ?」

「陣中見舞いを届けさせた」

「陣中見舞いだって?」

 レノアは小首を横に傾け、ウインクした。

「ゼークル伯爵と近しいバレバ子爵という貴族の名前を騙って、豪華な食材を届けさせたのさ」
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