1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 アリアスはまたもギャレットと顔を見合わせた。

「ほんとうに、貴方はカズマ……なの?」

 俺はうなずいた。

「殿下お待ちを!まだカズマと認めるには早計かと!」

 ギャレットは、いまだ信じてはいなかった。

 俺は粘り強く話すことを心がける。

「どう言ったら信じてくれる?」

「知らぬ!それはお前が考えい!」

 参ったな。どうすればいいのか。

 すると、ゼロスが助け舟を出す。

「わたしから説明しよう。いいかな?」

 ギャレットはギョッとした顔をする。どうやらまだゼロスの存在に慣れていないようだ。

「い、いや、お前から説明されても……」

「しかし、他に説明できる者がいない」

「それはそうだが……」

 ゼロスは、ギャレットに構わず話しだした。

「カズマはわたしが住む森で、悪魔と出くわしたのだ」

「あ、悪魔だと!?」

 ギャレットが驚きの声を上げる。

 だがゼロスは、淡々と話を続ける。

「その悪魔により、カズマの奥底に眠る、本当の自分を引き出されたのだ」

「ちょっと待って」

 アリアスが話に割り込んだ。

「話が突拍子もなさすぎるわ。悪魔ってなに?本当に悪魔なの?」

「そうだ。だが、カズマは以前にもその悪魔に会っていた。そうだな?」

 俺はうなずいた。

「そうだ。出会っている。そして、その悪魔にはレノアも会っている」

 するとアリアスが眉根をギュッと寄せ、怒りを込めて言った。

「わたしは聞いていないわよ」

「一度目に出会ったのは、ゼークル伯爵邸へ向かう途中のガラザスという宿場町でのことだ」

「つまり、その後はわたしとは会っていないから、言う機会がなかったと言うわけ?」

「そうだ」

「ねえちょっと、さっきからその言い方はなんなの?カズマと話し方が違い過ぎるわ!やっぱり貴方はカズマじゃない。カズマはそんな物言いはしないわ!」

 アリアスは俺の物言いに憤慨した。

 だが俺はこの言い方を変えるつもりはない。変えてしまったら、俺が俺でなくなってしまうと思えるからだ。

「人格が入れ替わったんだ。仕方がない」

「どういうことよ!」

「だからゼロスが言っただろう。俺の奥底に眠る、本当の自分が引き出されたんだ」

「それが、今しゃべっている貴方だっていうわけ?」

「そうだ」

「その上、顔も体格も変わったって言うの?顔つきはともかく、身体つきまで変わるなんてありえないわ!」

 ギャレットも同意する。

「その通りです!そのような面妖なことが起こるはずがありません!やはりこやつは偽物に間違いありません!」

 ダメだな、これは。

 と、俺の後ろから辛そうな声で何者かが言った。

「お待ちを……この者は紛れもなくカズマ本人にございます」

 振り向くと、そこには壁にもたれかかり、今にも崩れ落ちそうな様子のレノアがいた。
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