1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 ふらふらのレノアに肩を貸し、居館に入ろうとした俺たちだったが、見慣れた顔の執事たちが驚愕の表情を浮かべて俺を見ていた。

 俺はいぶかしむも、すぐに思い出した。

 俺の顔、身体は以前とはだいぶ変わっている。執事たちが戸惑うのも道理だ。

「なんといったらいいのか……数日ぶりだけど、俺はカズマ・ナカミチだ」

「いや、ですが……」

 執事は困惑の表情を浮かべている。

 すると俺の肩にだらしなくもたれかかっているレノアが、むくりと顔を持ち上げた。

「……あの、ちょっと事情があって……外見が変わってるけど、彼はカズマで間違いないです……」

 執事たちがさらに驚いた顔で俺を見る。

 俺は軽く溜息を吐く。

「そういうことなんで、いいかな?」

 執事は戸惑いつつも、俺たちを館の中へ招き入れた。

 こうして俺たちはなんとか館に入るも、レノアはひどい状態のため、控えの間で休むこととなった。

 ラーズ族も、別の一室を与えてもらい、そこで休ませた。

 そのため俺は、ゼロスと執事とともにアリアスの居室を目指した。

 先導する執事のあとを、俺たちは足早に追う。

 無事なのは知っているが、やはり心配が勝つ。

 俺たちは瞬く間に、アリアスの居室前にたどり着いた。

 居室の両脇には、衛兵が仰々しく立っている。当然だろう、襲われたばかりだ。通常ならばふたりのところ、六人も配備されている。おそらく心配性のギャレットあたりの仕業だろう。

 俺は衛兵たちに軽く会釈をし、執事が押し開けた扉の奥へと入っていった。

 室内に入ってきた俺の顔を見て、嬌声が上がった。

 だがそれはアリアスではなかった。

 侍女のメルアだ。

「え!カズマさん!?……あ、でも違うひと?え?どっち?」

 メルアが混乱している。メルアの後ろにいる同じく侍女のルイーズに至っては口に手を当て、怯えていた。

「カズマだよ」

 俺の返答に、メルアが目を剥いて驚いた。

「え!?本当に?……あ、でも、確かに……カズマさんの雰囲気が……でも声も違う……」

「いろいろあってな。声も顔も身体も、全部変わったんだ」

 メルアは目を剥いたままだ。

「そんなことが……でも、そうですね。確かにカズマさんですね」

「俺の言うことが信じられるのか?」

「ええ。よくはわからないけど……なんとなく……でも、言葉遣いまで変わったんですか?」

 俺はばつが悪そうに頬を指でかいた。

「……まあな」

「まあ、びっくり」

 メルアが両頬を包み込むように手のひらを当て、とても可愛らしく言った。

 俺はそれを聞いて、思わず笑ってしまった。
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