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第二章
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デュランドルを見るために集まってきた大群衆を掻き分け、数人の男たちが馬車に乗る俺たちのもとに駆け寄ってきた。
「失礼いたします。我々はバーン商会の者です。ご指示のあった広場は、あちらに確保しております」
先頭の男が、進行方向右手を指さし、言った。
だが俺たちは馬車の幌によって、その方向が見えなかった。
俺は立ち上がり、馬車から身を乗り出して、その方向を見た。
山のようにいる群衆たちの遥か先には、緑の芝生や生い茂る木々が鮮やかな広大な公園があり、その周囲は高い鉄柵に囲われていた。
「あれか」
「はい。あの公園全体を買い上げました。あれならばデュランドルであっても問題ないかと」
「充分だと思う。あれだけ広ければ、自由に歩き回れるだろうしな。それにしても、あれだけの広い公園を買い上げるとは、凄いな」
「別のもっと広大な公園を郊外に建設することを約定いたしました。さらにデュランドルがあの公園に入れば、王都の名物になると申しましたら、速やかに買い上げることが出来ました」
「さすがはバーン商会だな。ところであの鉄柵はかなり丈が高いが、新設したものか?」
「はい。もともと鉄柵で囲われていたのですが、丈も短く、なんといっても入り口が狭かったものですから、全面的に撤去しまして、新たに設けました」
「確かに、あの入り口ならデュランドルでも入りそうだな」
「はい。ところでオロチはいかがなさいますか?」
「そうだな……」
俺はそこで考えた。
「オロチもあの公園に入れよう。ついでにアリアス邸内にいる大型のレアモンスターたちも、あの公園に入れたらどうだろうか」
「充分に入ると思われます。あの公園は直径2キロはございますので」
「2キロか。相当だな」
「今後を考えまして、こちらを選定いたしました」
我が意を得たりだ。あれだけの広さがあれば、今後レアモンスターがさらに増えても当分問題ないだろう。
「ありがたい。なら、とりあえずデュランドルとオロチをあそこに入れ、後で他のレアモンスターたちを連れてくることにしよう」
「お願いいたします。レアモンスターたちは大人しいですが、我々ではここへ連れてくることは出来ませんので」
「了解だ。だがその前に、アリアスに会いたいんだが」
「アリアス王女殿下は、邸内にて皆様をお待ちになられていると聞いております」
「怪我の具合は聞いているか?」
「手に包帯を巻いておられるようですが、健康状態に問題はないとのことです」
「そうか。わかった。ありがとう」
俺はそう言って会釈をすると、あらためて彼方の公園を見て、今後のことを夢想した。
「失礼いたします。我々はバーン商会の者です。ご指示のあった広場は、あちらに確保しております」
先頭の男が、進行方向右手を指さし、言った。
だが俺たちは馬車の幌によって、その方向が見えなかった。
俺は立ち上がり、馬車から身を乗り出して、その方向を見た。
山のようにいる群衆たちの遥か先には、緑の芝生や生い茂る木々が鮮やかな広大な公園があり、その周囲は高い鉄柵に囲われていた。
「あれか」
「はい。あの公園全体を買い上げました。あれならばデュランドルであっても問題ないかと」
「充分だと思う。あれだけ広ければ、自由に歩き回れるだろうしな。それにしても、あれだけの広い公園を買い上げるとは、凄いな」
「別のもっと広大な公園を郊外に建設することを約定いたしました。さらにデュランドルがあの公園に入れば、王都の名物になると申しましたら、速やかに買い上げることが出来ました」
「さすがはバーン商会だな。ところであの鉄柵はかなり丈が高いが、新設したものか?」
「はい。もともと鉄柵で囲われていたのですが、丈も短く、なんといっても入り口が狭かったものですから、全面的に撤去しまして、新たに設けました」
「確かに、あの入り口ならデュランドルでも入りそうだな」
「はい。ところでオロチはいかがなさいますか?」
「そうだな……」
俺はそこで考えた。
「オロチもあの公園に入れよう。ついでにアリアス邸内にいる大型のレアモンスターたちも、あの公園に入れたらどうだろうか」
「充分に入ると思われます。あの公園は直径2キロはございますので」
「2キロか。相当だな」
「今後を考えまして、こちらを選定いたしました」
我が意を得たりだ。あれだけの広さがあれば、今後レアモンスターがさらに増えても当分問題ないだろう。
「ありがたい。なら、とりあえずデュランドルとオロチをあそこに入れ、後で他のレアモンスターたちを連れてくることにしよう」
「お願いいたします。レアモンスターたちは大人しいですが、我々ではここへ連れてくることは出来ませんので」
「了解だ。だがその前に、アリアスに会いたいんだが」
「アリアス王女殿下は、邸内にて皆様をお待ちになられていると聞いております」
「怪我の具合は聞いているか?」
「手に包帯を巻いておられるようですが、健康状態に問題はないとのことです」
「そうか。わかった。ありがとう」
俺はそう言って会釈をすると、あらためて彼方の公園を見て、今後のことを夢想した。
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