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第二章
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「なるほどな。ではその町で今日は宿泊し、返事を待つってことか」
「そういうこと。さ、食べようよ」
レノアはすかさず手を伸ばし、巨大な肉の塊を両手で掴んで口いっぱいに頬張った。
「うんま~い!」
レノアがあまりにも美味しそうに食べるのを見て、俺も同じかたまり肉を手に取り、目いっぱいにかぶりついた。
「確かに、これは美味いな!」
「だろ?正直、これは絶品だよ。表面はカリッと、中はトロッとしていて最高だ!味付けもシンプルだけど、実に味わい深い!よほどの料理上手がいると見たね」
なんか、料理評論家みたいなこと言っているな。
だが実際に、この料理は美味い。
ゼロスも美味しそうに、口いっぱいに頬張っている。
俺たちは、次々に色々な料理に手を出した。
美味い。他の料理もみな絶品だった。
「はあ~、お腹いっぱいだ。もうさすがに食べられないよ」
レノアが、自らのお腹をポンポンと手のひらで叩きながら、言った。
俺も満足だ。充分すぎる、いや、最高のもてなしだった。
ゼロスも俺たちの足元で寝そべり、満足そうな笑みを浮かべていた。
「他にこの村でやることは?」
食後のお茶を飲みながら、俺はレノアに問いかけた。
レノアは首を横に振った。
「ないよ。全部済ませたから」
「そうか。なら出発するか」
「そうだね。でも、ゼロスは名残惜しいんじゃない?」
ゼロスは笑みを浮かべる。
「充分だ。村長とも、七十年前のことを語り合えたしな」
ゼロスと村長は、食事が運ばれて来る前、感慨深げに語り合っていた。
「なら行こう。あまりゆっくり帰ると、アリアスの機嫌を損ねるからな」
「確かにね。ゼロスもいいかい?」
レノアがゼロスに尋ねる。
ゼロスは間髪を入れずに答えた。
「無論だ。わたしも王都とやらを早く見てみたいのでな」
ゼロスの答えに、レノアがハッとした顔をした。
「そうか!ゼロスは王都は初めてなんだ」
「当然だ。わたしが人間界に干渉したのは、七十年前のこの村での出来事と、お前たちくらいのものだ」
「そうなの?他に人間と出会ったこととかはないの?」
「お前たちも知ってのとおり、我々は普段、あの森の奥深くにいる。このような森のはずれにまで来ることは、ほとんどないのだ。故に人間と交わることもない。あの森の我らが集落まで足を運ぶ人間など、お前たちくらいのものだからな」
確かに。あんな森の奥深くに他の人間が立ち入ることなんて、まずありえないな。
だがレノアが何かに気付いてハッとした。
「ならなんで、ゼロスは人語を話せるの?他のレアモンスターは、人語を解すことは出来るけど、喋ることが出来ない。その違いはなんでなんだろう?」
「そういうこと。さ、食べようよ」
レノアはすかさず手を伸ばし、巨大な肉の塊を両手で掴んで口いっぱいに頬張った。
「うんま~い!」
レノアがあまりにも美味しそうに食べるのを見て、俺も同じかたまり肉を手に取り、目いっぱいにかぶりついた。
「確かに、これは美味いな!」
「だろ?正直、これは絶品だよ。表面はカリッと、中はトロッとしていて最高だ!味付けもシンプルだけど、実に味わい深い!よほどの料理上手がいると見たね」
なんか、料理評論家みたいなこと言っているな。
だが実際に、この料理は美味い。
ゼロスも美味しそうに、口いっぱいに頬張っている。
俺たちは、次々に色々な料理に手を出した。
美味い。他の料理もみな絶品だった。
「はあ~、お腹いっぱいだ。もうさすがに食べられないよ」
レノアが、自らのお腹をポンポンと手のひらで叩きながら、言った。
俺も満足だ。充分すぎる、いや、最高のもてなしだった。
ゼロスも俺たちの足元で寝そべり、満足そうな笑みを浮かべていた。
「他にこの村でやることは?」
食後のお茶を飲みながら、俺はレノアに問いかけた。
レノアは首を横に振った。
「ないよ。全部済ませたから」
「そうか。なら出発するか」
「そうだね。でも、ゼロスは名残惜しいんじゃない?」
ゼロスは笑みを浮かべる。
「充分だ。村長とも、七十年前のことを語り合えたしな」
ゼロスと村長は、食事が運ばれて来る前、感慨深げに語り合っていた。
「なら行こう。あまりゆっくり帰ると、アリアスの機嫌を損ねるからな」
「確かにね。ゼロスもいいかい?」
レノアがゼロスに尋ねる。
ゼロスは間髪を入れずに答えた。
「無論だ。わたしも王都とやらを早く見てみたいのでな」
ゼロスの答えに、レノアがハッとした顔をした。
「そうか!ゼロスは王都は初めてなんだ」
「当然だ。わたしが人間界に干渉したのは、七十年前のこの村での出来事と、お前たちくらいのものだ」
「そうなの?他に人間と出会ったこととかはないの?」
「お前たちも知ってのとおり、我々は普段、あの森の奥深くにいる。このような森のはずれにまで来ることは、ほとんどないのだ。故に人間と交わることもない。あの森の我らが集落まで足を運ぶ人間など、お前たちくらいのものだからな」
確かに。あんな森の奥深くに他の人間が立ち入ることなんて、まずありえないな。
だがレノアが何かに気付いてハッとした。
「ならなんで、ゼロスは人語を話せるの?他のレアモンスターは、人語を解すことは出来るけど、喋ることが出来ない。その違いはなんでなんだろう?」
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