1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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「理解した……いや、理解したというか……その、一応話の内容はわかった」

 レノアが眉根をギュッと寄せながら、かなり困ったように言った。

 どうやら一応話の本筋については理解してくれたようだが、この話が真実かどうかを見抜ける自信がないといったところか。日頃冷静沈着なレノアらしくなく、迷いが顔にありありと出ていた。

「今言ったことが真実だ。俺は両親を……殺している」

 レノアがつばを飲み込んだ。当然だろう。彼は自分の父親をとても尊敬している。

 彼の父親は先の戦でベルガン帝国の急襲を受け、惜しくも命を落としてしまったが、とても優秀な頭脳の持ち主であり、アルデバラン王国の第一師団参謀長という要職を務めていた人物だ。レノアはその父の部下たちを国が滅びたにもかかわらず、死後譲り受けて現在に至っている。父親を尊敬しているからこそ、跡を継いだのだ。だから親殺しという一文は、彼にとっては到底許容できるものではないだろう。

 それはゼロスも同様だと思われる。ゼロスはつい先日、自らの一族を失ってしまった。そのときの悲しみはいかばかりか。彼は一族の者たちの骸を、とても大切そうに葬っていた。その中には近しい親族の者も何人もいた。そのときのゼロスの顔は、とても悲しみに満ちていたと思う。そんなゼロスだから、やはりレノア同様に親殺しという刻印は、許しがたいのではないか。

 だから俺は、改めてはっきりと言ったのだ。俺は親殺しだと。それでも今後、共に行動してくれるかを問うために。

 ふたりの顔は、沈痛であった。

 暗く沈み、影が射しているように見える。

 やはり、腹に落ちないか。まあそうだろうな。普通、すぐには理解できまい。

 それほどまでに、親殺しは重罪だ。法律的にも、倫理的にも。

「仕方がないことだったんだろう」

 レノアが絞り出すように言った。

 だが俺はすぐには反応せず、レノアの次なる言葉を待った。

 すると、また絞り出すようにレノアが言った。

「君は親に虐待されていたのだから、仕方がないさ。それに、殺されると思ったんだろう?」

 レノアの問いに、俺はゆっくりとうなずいた。

 それを見て、レノアもうなずき返す。

「なら、正当防衛だ。仕方がなかったんだよ」

 レノアが自分自身を納得させるかのように言った。

 傍らのゼロスも同意する。

「わたしもそう思う。世の中にはいくつかの道理がある。だが、その道理から逸脱する者は常にいるのだ。いや、カズマのことを言っているのではない。カズマの親こそ、その道理から外れた、忌むべき者たちなのだ」
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