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第二章
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「でも、エニグマやグラドゥスみたいに干渉している悪魔もいる。そうでしょ?」
僕の問いに、エニグマは複雑な表情となった。
「あんなのと一緒にされたくはないけど、まあそうなるね」
「数はどれくらいなの?」
「人間に干渉している悪魔の数?」
僕はうなずいた。
「そう。実際どれくらいいるのかわかる?」
僕とエニグマは互いの質問に答えなくてはならない縛りがかかっている。
だから、知っているなら答えられるはずだ。
僕はそう思って問いかけた。
だがエニグマは肩をすぼめ、静かに首を横に振った。
「いや、わからない。誰が人間界に興味があり、誰がないのかなんて僕にはわからないよ」
「じゃあ、知っているだけでいいよ。何人くらいの悪魔が、今現在人間界に干渉している?」
僕の問いに、エニグマが眉をひそめる。
「何故そんなことを気にする?」
「この先、僕が出会ってしまうかもしれないだろう?だからだよ」
僕の答えに、エニグマの目がスーッと細くなる。
そして探るような、それでいて刺すような視線を送ってくる。
僕はその視線をしっかりと受け止める。
すると、しばらくしてエニグマが口を開いた。
「君は、特異点という言葉を知っているかい?」
僕はゆっくりとうなずいた。
エニグマがそれを見て、同じように静かにうなずき返す。
「そう。知っていたんだ。そうだね。たぶん、君はその特異点だ。だけど……まさか君自身にその自覚があるとは思っていなかったよ」
特異点。レノアが言っていたことだ。僕は特異点なのだと。
あらゆる事象を引き寄せてしまう存在なのだと。
言われた時はそんなものかと思ったけど、その後もグラドゥスと出くわしてしまったことなどを考えると、レノアの考えは正しく思える。
それに、エニグマもそう思っているようだ。
「これだけ色々な事件に遭遇したり、滅多に出会わないはずの悪魔に、それも二人も出会ってしまったことなんかを考えると、やっぱり僕は特異点なんだなって自覚もするさ」
エニグマが、僕の言葉をゆっくり何度も噛みしめるようにうなずく。
「なるほどね」
「そうなると、僕は今後、その悪魔たちとまた出会ってしまうんじゃないかと思うんだけど」
エニグマが視線を落とし、少し考えてから言った。
「そうだな。確かにその可能性は高いのかもしれない。だけど、しばらくは問題ないと思うよ」
「何故?どうしてそう思うの?」
僕の問いに、エニグマがゆっくりと顔を上げて答えた。
「君が今後しばらくの間行き交うであろう範囲内には、他に悪魔はいないからだよ」
僕の問いに、エニグマは複雑な表情となった。
「あんなのと一緒にされたくはないけど、まあそうなるね」
「数はどれくらいなの?」
「人間に干渉している悪魔の数?」
僕はうなずいた。
「そう。実際どれくらいいるのかわかる?」
僕とエニグマは互いの質問に答えなくてはならない縛りがかかっている。
だから、知っているなら答えられるはずだ。
僕はそう思って問いかけた。
だがエニグマは肩をすぼめ、静かに首を横に振った。
「いや、わからない。誰が人間界に興味があり、誰がないのかなんて僕にはわからないよ」
「じゃあ、知っているだけでいいよ。何人くらいの悪魔が、今現在人間界に干渉している?」
僕の問いに、エニグマが眉をひそめる。
「何故そんなことを気にする?」
「この先、僕が出会ってしまうかもしれないだろう?だからだよ」
僕の答えに、エニグマの目がスーッと細くなる。
そして探るような、それでいて刺すような視線を送ってくる。
僕はその視線をしっかりと受け止める。
すると、しばらくしてエニグマが口を開いた。
「君は、特異点という言葉を知っているかい?」
僕はゆっくりとうなずいた。
エニグマがそれを見て、同じように静かにうなずき返す。
「そう。知っていたんだ。そうだね。たぶん、君はその特異点だ。だけど……まさか君自身にその自覚があるとは思っていなかったよ」
特異点。レノアが言っていたことだ。僕は特異点なのだと。
あらゆる事象を引き寄せてしまう存在なのだと。
言われた時はそんなものかと思ったけど、その後もグラドゥスと出くわしてしまったことなどを考えると、レノアの考えは正しく思える。
それに、エニグマもそう思っているようだ。
「これだけ色々な事件に遭遇したり、滅多に出会わないはずの悪魔に、それも二人も出会ってしまったことなんかを考えると、やっぱり僕は特異点なんだなって自覚もするさ」
エニグマが、僕の言葉をゆっくり何度も噛みしめるようにうなずく。
「なるほどね」
「そうなると、僕は今後、その悪魔たちとまた出会ってしまうんじゃないかと思うんだけど」
エニグマが視線を落とし、少し考えてから言った。
「そうだな。確かにその可能性は高いのかもしれない。だけど、しばらくは問題ないと思うよ」
「何故?どうしてそう思うの?」
僕の問いに、エニグマがゆっくりと顔を上げて答えた。
「君が今後しばらくの間行き交うであろう範囲内には、他に悪魔はいないからだよ」
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