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2巻
2-3
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「卑怯だぞ、小僧!」
僕はゆっくりと立ち上がりながら、肩をそびやかして言った。
「戦いの最中に、無防備に覗き込んできたあなたが悪い!」
アルフレッドは、悔しそうな顔をするが、言葉は出てこないようだ。
鼻血は止まらない。おそらく鼻の骨が折れているのだろう。夥しい量の血が流れ続けている。
アルフレッドを心配したガッソが声をかけた。
「若、大丈夫ですかい?」
「大丈夫に決まっているだろ! たかが鼻を折られただけだ」
アルフレッドはガッソを見ずに答えた。
「いや、しかし……」
「いいから黙って見ていろ!」
アルフレッドは瞳に怒りの炎を燃やした。
そして鼻血に構わず両手を降ろし、僕に対して構えを取ろうとした。
だが突然、彼の肩が何者かに掴まれ、強引に振り向かされた。
アルフレッドを動かした者――アリアスは、彼をさらに上回る怒りの炎を瞳に宿して立っていた。
「この痴れ者! 恥を知りなさい!」
アリアスは叫ぶや、アルフレッドの鮮血噴き出す鼻をめがけ、怒りの拳を振り上げる。
アルフレッドは動揺していたのか、対処が遅れた。
そのためアリアスの拳は、アルフレッドのすでに折れている鼻に見事命中した。
拳がめり込む音とともに、アルフレッドが再び後方にのけぞる。
そして今度はたたらを踏むこともなく、そのまま後ろに倒れ込んだ。
アルフレッドは地面に大の字に寝そべると、ゆっくりとした動作で鼻を両手で押さえた。
「ざまあないわね! ふんっ!」
アルフレッドを見下ろすアリアスは、傲然と顎を上げて言い捨てた。
「参った参った。いくら不意をつかれたとはいえ、まさか俺が女にやられるとはな」
アルフレッドが鼻を右手で押さえたまま、自分を見下ろすアリアスに向かって言った。
「ふんっ! 立ちなさい! まだまだこんなもんじゃ済まさないわよ!」
アリアスは憤怒の表情で仁王立ちしている。
アルフレッドは腕を立て、少しずつ上半身を起こした。
「そうなのか? 何してくれるんだ? もしかしてキスのおねだりか?」
この台詞に、アリアスが怒りながらも頬を赤らめた。
「な! な、何を馬鹿なことを!」
アルフレッドが片眉をピンと跳ね上げた。
「おいおい、何なんだよその反応は。まさか……初めてだったとか言うんじゃないだろうな?」
すると、アリアスがこれ以上ないというくらい、さらに顔を赤らめて黙りこくった。
アルフレッドはそれを見て、目に見えて動揺した。
「あ、いや、まさかそうとは思わなくてだな……」
アリアスは怒りに身体を震わせている。
僕は、アリアスになんと声をかけていいものかと迷っていた。
と、突然アルフレッドが地面に胡座をかき、両手を膝の上に置いて深々と頭を下げた。
「すまない! そうとは知らず、申し訳なかった!」
傲慢そうに見えたアルフレッドが素直に頭を下げたことに驚いた。
それは、アリアスも同じだったらしい。
「今更謝ったって遅いんだから!」
アルフレッドは申し訳なさそうにする。
「ああ、そうだな。好きにしてくれて構わない。なんなら、さらに何発でも殴ってくれて構わない」
「な、何よそれ! なんでわたしがそんな野蛮なことをしなきゃならないのよ!」
アリアスは眉根を寄せて困ったような顔をした。
「たった今、俺を殴ったのはあんただろ?」
「それとこれとは話が別よ!」
アルフレッドは助けを求めるように、僕の方を振り返った。
「じゃあお前、この娘の代わりに俺を殴ってくれ」
僕はそんなこと言われてもと思い、ちらりとアリアスを見た。
すると、アリアスが慌てた。
「ちょっと待ちなさい! 何を勝手に話を進めているのよ!」
「だが、こんなもんじゃ済まさないと言ったのは、あんただぜ?」
アルフレッドは神妙そうな顔のまま言った。
「……もういいわよ。一発殴って少しはスッキリしたし」
ああ言えばこう言うアルフレッドに、アリアスが諦めた様子で言った。
すかさずアルフレッドが笑みを見せ、素早く立ち上がった。
「そうか! 許してくれるか! ありがとうな!」
あまりにも現金な態度に、アリアスが呆れ顔となった。
そして、大きなため息を一つつく。
「何よ、まったく……困ったやつね」
「あらためて、本当にすまなかった」
僕らは一旦宿へと戻ったのだが、アルフレッドは鼻に包帯を巻き終え、皆が落ち着いたところで、再びアリアスに向かって胡座をかいた姿勢で頭を下げた。
「もういいわよ。こっちも、勝手にあんたの妹の名を騙っていたんだし」
アリアスは肩をすくめて、さもそっけなさそうに答えた。
「そうだな。どっちもどっちだよな」
アルフレッドが急に居直ると、アリアスはカッと目を見開いた。
「ちょっと待ちなさいよ! あんたがしたことと、わたしたちのしたことは同格じゃないわよ!」
「そうか? 似たようなもんじゃないか?」
「違うわよ!」
「そうか……でもまあ、それは俺が頭を下げたことでチャラだな」
「そんなものでチャラになんてなってないわよ!」
アルフレッドは少し考える素振りをしたあと、懐から何かを取り出した。
「じゃあ、これをやるよ」
アリアスはそれを見て驚いた。
「これは……」
アルフレッドは笑みを浮かべた。
「正真正銘、バーン商会の通行手形さ。これさえあれば、どこの関所も簡単に通れるぜ」
「ありがたい……これがあれば……」
ギャレットがつぶやいた。
アルフレッドは満足げにうなずいた。
「あんたたちが持っていた証明書なんて、見る者が見ればすぐに偽物だとばれちまう。だがこれなら、どんなところでも問題ない。あんたたちにとっては、何よりの贈り物だろう?」
「……あ、ありがとう……遠慮なくいただくわ……」
まだアリアスは腹を立てていたが、これの有用さを考えたのか、不本意そうだが礼を言った。
「ああ! 遠慮なく使ってくれ!」
快活に返事をしたアルフレッドだが、すぐに真顔になった。
「じゃあ、これでチャラってことでいいな?」
「……いいわ。確かにこれはわたしたちにとって有用だもの。仕方がないからチャラにしてあげる」
アリアスは口を尖らせ頬を膨らますも、うなずいた。
「そうか! チャラにしてくれるか。そいつはありがたい」
アルフレッドは自らの膝をパーンと叩いた。
そこへ、彼のすぐ脇に控えていたガッソが、突然アリアスに向かって尋ねた。
「ところで、あんたたちはこっから先、どこへ向かうおつもりで?」
その瞬間、アリアスに緊張が走った。
それは、ギャレットたちも同じだった。
もちろん、僕も。
正直に答えたら、正体がバレるかもしれない。
かといって、この辺の土地勘がないアリアスには、嘘も難しいのでは?
いや、そもそもすでにバレている可能性も。
アリアスはどう答えるのだろうか?
僕が固唾を呑んで見守っていると、まさかのアルフレッドがガッソを制した。
「いいじゃねえかよ、そんなことはよ」
ガッソは少しの間を置いたあと、軽くうなずいた。
「そうですかい。若がそう仰るなら、それで結構です」
アルフレッドはまたも自らの膝をパーンと叩いた。
「よし! それじゃあ、これで話は終わりだ。いいよな?」
「ええ、そうね。これで終わりにしましょう」
アリアスはこれ以上探りを入れられたくないと思ったのか、すかさず応じた。
アルフレッドはそれを聞いて、バッと素早く立ち上がった。
配下の者たちも彼に続いた。
アルフレッドは僕らのことを一人ひとり見回すと、笑みを浮かべた。
「また会おうぜ!」
そして、配下の者たちを引き連れ、颯爽と部屋を出ていった。
部屋に取り残された僕らは、きつねにつままれたような気分だった。
「また会おうぜ? ……あやつ、そう言いましたか?」
ギャレットがつぶやいた。
「ええ、言ったわね。わたしは全っ然! 会いたくないんだけど……」
アリアスはすっと立ち上がった。
「疲れたから先に休むわね」
そのまま侍女のメルアとルイーズを連れて、僕たちのいる部屋を出ていき、それぞれにあてがわれた部屋へと行ってしまった。
「おい、カズマはどう思う? あやつ、どういうつもりだと思う?」
三人がいなくなってから、ギャレットが僕に話しかけてきた。
「ただの別れの挨拶なんじゃないかと思いますけど」
「他意はないと?」
「よくわからないんですが、彼の国ではいつもの別れの挨拶が、また会おうなのかもしれないし」
「つまり文化の違いというわけか。別れの際には、また会おうと言うのが決まり事だと?」
「いや、別に断言しているわけではなくて、そういうこともあり得るんじゃないかって話ですよ」
「そうだな。そう思うことにしよう。何せ、あんなやつと会うなど、二度とごめんだからな!」
ギャレットは、アルフレッドがアリアスにしたことをまだ許していないようだった。
実は僕も……許していないというか、なんていうか……よくわからなかった。
「カズマも疲れたろう? 我々もそろそろ明日に備えて休むとしよう。この部屋はカズマがこのまま使うといい。わたしは隣の部屋を使わせてもらうことにする」
ギャレットは僕の返事も待たずに、部屋を出ていった。
部屋に取り残された僕は、ベッドに仰向けになった。
そして、この異世界での奇想天外な日々を思い起こした。
「いっぱい色々なことがあったなあ……」
僕は異世界転移した日のことから、アリアスと出会って窪地を出た日のこと、そして蒼龍槍を操っての、ベルガン帝国の騎士たちとの壮絶な戦いなどを思い出していた。
「……でも、こっちの世界は楽しいな……あっちの世界は、僕には地獄だったし……」
僕はいつの間にやら睡魔に襲われ、眠りについた。
ミシッ。
……うん? ……何か聞こえた。
目を覚ました僕は瞼を開き、月明かりが差し込む部屋の中で最も影が濃い天井を見る。
するとすぐにまた、ミシッという音が聞こえた。だがそれは上じゃない。廊下だ!
僕は首をめぐらし、扉の方向を見た。
ミシッ。
間違いない。何者かが足音を忍ばせて廊下を歩いている。
僕は音を立てずにゆっくりと身体を起こすと、静かに床に降り、扉に近づいていった。
ミシッ。
まただ。また聞こえる。
僕は心を落ち着かせて、一歩一歩扉へと歩を進めた。
途中、壁に立てかけられた蒼龍槍を手にする。
ミシッ。
廊下を歩く何者かの足音が、どんどん大きくなっている。
ミシッ。
いる。何者かは今、僕の扉の前を通過しようとしている。
僕は取っ手にゆっくりと手をかけると、勢いよく扉を開いた。
そこには、全身を黒装束に包んだ怪しい男が立っていた。
男は驚いた表情を一瞬見せるも、すぐさま腰の短剣を抜き放った。
僕も蒼龍槍を構え、黒装束に対して突きを繰り出した。
しかし、男は俊敏な動きで身体をよじり、僕の突きを躱した。
僕は素早く廊下に出ると、周りを見回す。
そこには数人の黒装束の男たちが立っていた。
「敵だ!!」
僕はそこで、あらん限りの大声を発した。
他の黒装束たちが一斉に腰の短剣を抜き放ち、僕に突進してきた。
僕は蒼龍槍を操り――あっ!
狭い廊下で蒼龍槍が壁にぶつかった!
黒装束の短剣が襲いかかってくる!
僕は慌てて身体をひねって短剣を躱した。
次々に繰り出される短剣。
僕はそれを必死の思いで躱していく。
しまった! 廊下で蒼龍槍は使いづらい!
こんなことなら、剣を持ってくれば……いや、剣は部屋にはなかった。
ていうか、こんなこと考えている場合じゃない。とにかく避けなきゃ!
僕が這う這うの体で退きつつ黒装束の短剣を躱していると、バタバタと音を立ててギャレットが廊下に出てきた。
「どうしたっ! 敵かっ!」
ギャレットもさすがは王女の護衛隊長を任ぜられるだけはあり、すでに剣を抜き放っていた。
「なにやつ! これ以上の狼藉、このギャレットが許しはしない!」
ギャレットは素早く僕の前に出ると、器用に剣を操って黒装束の男に斬りかかる。
だが黒装束の男も腕利きであったらしく、ギャレットの鋭い斬撃にも怯むことはなかった。
二合、三合と切り結ぶが、互いに決定打を打てずに膠着状態となった。
僕はその間に体勢を立て直した。
今度は槍をできるだけ短く構え、ただひたすらに正面を突くという方針に切り替えた。
幸い、狭い廊下であるため、敵も周りを取り囲むことはできない。
僕はギャレットの横に並び、槍を激しく突いた。
だが攻撃が突き一辺倒なため、予測がしやすいのだろう。なかなか思うようにはいかなかった。
やっぱりここでは槍は使いづらい。
僕は多少イライラしつつも他に武器はないため、仕方なく槍を突きまくった。
このままでは……
僕がこの状況に焦りを感じはじめた頃、聞き覚えのある快活な声が廊下に響き渡った。
「また会ったな! 加勢するぜ!」
なんと、アルフレッド・バーンが、配下の者を引き連れ、廊下の先に現れた。
「アルフレッド!」
僕が思わず声を出すと、アルフレッドが勇躍して黒装束に突進を仕かけた。
アルフレッドと僕たちは黒装束の男たちを挟み撃ちする形となった。
黒装束たちは慌てるも、すぐに後ろの数人がアルフレッドたちに対処するため振り返った。
そこへアルフレッドが急襲する。
「遅いっ!」
アルフレッドは黒装束の繰り出す短剣を素早く屈んで躱すと、右拳を下から勢いよく突き上げ、電光石火のスマッシュを炸裂させた。
黒装束の男が血飛沫を上げて宙を舞う。
「まだまだっ!」
アルフレッドは次の標的を見定めるなり、身体の重心を急速に右に振って、凄まじい威力の左フックを繰り出した。
黒装束の男はその拳に短剣を合わせようとするも、間に合わない。
次の瞬間、アルフレッドの左拳が黒装束の右わき腹にめり込んだ。
「ぐぶっ!」
黒装束は口から血反吐とうめき声を漏らしつつ、壁に向かって吹き飛んだ。
凄まじい音を立てて黒装束の身体が壁にぶつかり、めり込む。
凄い!
素手の格闘術で、短剣を持った男たちを相手にあっさり勝利している。
そこへ、またも凄まじい音を立てて黒装束が弾け飛んだ。
今度はガッソがショルダータックルをぶちかましたのだ。
哀れこの黒装束は、これまでの中で一番ひどい有様で廊下に寝そべる羽目となった。
勝てる! このままいけば一気に押し切れる!
僕がそう思った瞬間、一人の黒装束が窓をぶち破って外に逃れた。
すると、残った黒装束たちも次々に窓に殺到した。
僕らは彼らを追撃しようと詰め寄るも、一歩遅かった。
残った黒装束たちは、窓から一斉に逃げてしまった。
アルフレッド配下の者らが追撃しようと窓に向かうが、アルフレッドが制する。
「追うな!」
配下の者たちは一斉に足を止めて振り返った。
「深追いは禁物だ。どんな罠が張り巡らされているかわかったもんじゃないからな」
冷静なアルフレッドの言葉に、配下の者たちは無言でうなずいた。
かくして廊下の戦いは終わりを告げた。
僕はひとまず大きなため息をつく。
心に落ち着きを取り戻してから、アルフレッドに言った。
「ありがとう、アルフレッド」
アルフレッドはにんまりと笑った。
「なあに、気にするなよ。また会おうって言っただろ?」
僕は思わず笑ってしまった。
「言ったけど、いくらなんでも早すぎないかな?」
「だが、そのおかげで助かったろ?」
アルフレッドが肩をすくめる。
僕は思わずギャレットと視線を合わせた。
ギャレットが不本意そうに口を歪める。
僕はそれを見て、つい笑ってしまった。
そしてあらためてアルフレッドに向き直ると、笑顔で大きくうなずいた。
「どうかしましたか?」
アリアスが奥まった部屋から顔を出した。
彼女には最も上等な部屋があてがわれており、寝室は続き部屋のその先であった。
そのため僕の大声もよく届かず、今の段階で顔を覗かせたのだろう。
「ただ今、賊が現れまして……」
ギャレットがすかさず膝を折って報告する。
アリアスは驚いたものの、廊下の惨状を見て納得した様子だ。
だが、すぐにもう一つのことに心をざわめかせたようだ。
「アルフレッド……」
いるはずのない男が目の前で笑みを浮かべていたため、アリアスは口を手で押さえて驚く。
「よう! また会ったな」
もう鼻の包帯をはずしていたアルフレッドは、左手の指を二本立ててこめかみに当て、すぐに離すというなかなかキザな挨拶をした。
「どうして彼がいるのです!」
アリアスは頬を膨らませてギャレットに言った。
「畏れ多いことですが、賊が侵入いたしまして、それにカズマが気づき応戦。次にわたくしも参戦しました。ですが、敵は強敵でありまして、苦戦していたところをバーン商会の方々が駆けつけてくださったという次第です」
アリアスは、ギャレットの説明を聞いているときも、ちらちらとアルフレッドを見ていた。
そして聞き終えるなり腰に手を当て、アルフレッドに向かって言った。
僕はゆっくりと立ち上がりながら、肩をそびやかして言った。
「戦いの最中に、無防備に覗き込んできたあなたが悪い!」
アルフレッドは、悔しそうな顔をするが、言葉は出てこないようだ。
鼻血は止まらない。おそらく鼻の骨が折れているのだろう。夥しい量の血が流れ続けている。
アルフレッドを心配したガッソが声をかけた。
「若、大丈夫ですかい?」
「大丈夫に決まっているだろ! たかが鼻を折られただけだ」
アルフレッドはガッソを見ずに答えた。
「いや、しかし……」
「いいから黙って見ていろ!」
アルフレッドは瞳に怒りの炎を燃やした。
そして鼻血に構わず両手を降ろし、僕に対して構えを取ろうとした。
だが突然、彼の肩が何者かに掴まれ、強引に振り向かされた。
アルフレッドを動かした者――アリアスは、彼をさらに上回る怒りの炎を瞳に宿して立っていた。
「この痴れ者! 恥を知りなさい!」
アリアスは叫ぶや、アルフレッドの鮮血噴き出す鼻をめがけ、怒りの拳を振り上げる。
アルフレッドは動揺していたのか、対処が遅れた。
そのためアリアスの拳は、アルフレッドのすでに折れている鼻に見事命中した。
拳がめり込む音とともに、アルフレッドが再び後方にのけぞる。
そして今度はたたらを踏むこともなく、そのまま後ろに倒れ込んだ。
アルフレッドは地面に大の字に寝そべると、ゆっくりとした動作で鼻を両手で押さえた。
「ざまあないわね! ふんっ!」
アルフレッドを見下ろすアリアスは、傲然と顎を上げて言い捨てた。
「参った参った。いくら不意をつかれたとはいえ、まさか俺が女にやられるとはな」
アルフレッドが鼻を右手で押さえたまま、自分を見下ろすアリアスに向かって言った。
「ふんっ! 立ちなさい! まだまだこんなもんじゃ済まさないわよ!」
アリアスは憤怒の表情で仁王立ちしている。
アルフレッドは腕を立て、少しずつ上半身を起こした。
「そうなのか? 何してくれるんだ? もしかしてキスのおねだりか?」
この台詞に、アリアスが怒りながらも頬を赤らめた。
「な! な、何を馬鹿なことを!」
アルフレッドが片眉をピンと跳ね上げた。
「おいおい、何なんだよその反応は。まさか……初めてだったとか言うんじゃないだろうな?」
すると、アリアスがこれ以上ないというくらい、さらに顔を赤らめて黙りこくった。
アルフレッドはそれを見て、目に見えて動揺した。
「あ、いや、まさかそうとは思わなくてだな……」
アリアスは怒りに身体を震わせている。
僕は、アリアスになんと声をかけていいものかと迷っていた。
と、突然アルフレッドが地面に胡座をかき、両手を膝の上に置いて深々と頭を下げた。
「すまない! そうとは知らず、申し訳なかった!」
傲慢そうに見えたアルフレッドが素直に頭を下げたことに驚いた。
それは、アリアスも同じだったらしい。
「今更謝ったって遅いんだから!」
アルフレッドは申し訳なさそうにする。
「ああ、そうだな。好きにしてくれて構わない。なんなら、さらに何発でも殴ってくれて構わない」
「な、何よそれ! なんでわたしがそんな野蛮なことをしなきゃならないのよ!」
アリアスは眉根を寄せて困ったような顔をした。
「たった今、俺を殴ったのはあんただろ?」
「それとこれとは話が別よ!」
アルフレッドは助けを求めるように、僕の方を振り返った。
「じゃあお前、この娘の代わりに俺を殴ってくれ」
僕はそんなこと言われてもと思い、ちらりとアリアスを見た。
すると、アリアスが慌てた。
「ちょっと待ちなさい! 何を勝手に話を進めているのよ!」
「だが、こんなもんじゃ済まさないと言ったのは、あんただぜ?」
アルフレッドは神妙そうな顔のまま言った。
「……もういいわよ。一発殴って少しはスッキリしたし」
ああ言えばこう言うアルフレッドに、アリアスが諦めた様子で言った。
すかさずアルフレッドが笑みを見せ、素早く立ち上がった。
「そうか! 許してくれるか! ありがとうな!」
あまりにも現金な態度に、アリアスが呆れ顔となった。
そして、大きなため息を一つつく。
「何よ、まったく……困ったやつね」
「あらためて、本当にすまなかった」
僕らは一旦宿へと戻ったのだが、アルフレッドは鼻に包帯を巻き終え、皆が落ち着いたところで、再びアリアスに向かって胡座をかいた姿勢で頭を下げた。
「もういいわよ。こっちも、勝手にあんたの妹の名を騙っていたんだし」
アリアスは肩をすくめて、さもそっけなさそうに答えた。
「そうだな。どっちもどっちだよな」
アルフレッドが急に居直ると、アリアスはカッと目を見開いた。
「ちょっと待ちなさいよ! あんたがしたことと、わたしたちのしたことは同格じゃないわよ!」
「そうか? 似たようなもんじゃないか?」
「違うわよ!」
「そうか……でもまあ、それは俺が頭を下げたことでチャラだな」
「そんなものでチャラになんてなってないわよ!」
アルフレッドは少し考える素振りをしたあと、懐から何かを取り出した。
「じゃあ、これをやるよ」
アリアスはそれを見て驚いた。
「これは……」
アルフレッドは笑みを浮かべた。
「正真正銘、バーン商会の通行手形さ。これさえあれば、どこの関所も簡単に通れるぜ」
「ありがたい……これがあれば……」
ギャレットがつぶやいた。
アルフレッドは満足げにうなずいた。
「あんたたちが持っていた証明書なんて、見る者が見ればすぐに偽物だとばれちまう。だがこれなら、どんなところでも問題ない。あんたたちにとっては、何よりの贈り物だろう?」
「……あ、ありがとう……遠慮なくいただくわ……」
まだアリアスは腹を立てていたが、これの有用さを考えたのか、不本意そうだが礼を言った。
「ああ! 遠慮なく使ってくれ!」
快活に返事をしたアルフレッドだが、すぐに真顔になった。
「じゃあ、これでチャラってことでいいな?」
「……いいわ。確かにこれはわたしたちにとって有用だもの。仕方がないからチャラにしてあげる」
アリアスは口を尖らせ頬を膨らますも、うなずいた。
「そうか! チャラにしてくれるか。そいつはありがたい」
アルフレッドは自らの膝をパーンと叩いた。
そこへ、彼のすぐ脇に控えていたガッソが、突然アリアスに向かって尋ねた。
「ところで、あんたたちはこっから先、どこへ向かうおつもりで?」
その瞬間、アリアスに緊張が走った。
それは、ギャレットたちも同じだった。
もちろん、僕も。
正直に答えたら、正体がバレるかもしれない。
かといって、この辺の土地勘がないアリアスには、嘘も難しいのでは?
いや、そもそもすでにバレている可能性も。
アリアスはどう答えるのだろうか?
僕が固唾を呑んで見守っていると、まさかのアルフレッドがガッソを制した。
「いいじゃねえかよ、そんなことはよ」
ガッソは少しの間を置いたあと、軽くうなずいた。
「そうですかい。若がそう仰るなら、それで結構です」
アルフレッドはまたも自らの膝をパーンと叩いた。
「よし! それじゃあ、これで話は終わりだ。いいよな?」
「ええ、そうね。これで終わりにしましょう」
アリアスはこれ以上探りを入れられたくないと思ったのか、すかさず応じた。
アルフレッドはそれを聞いて、バッと素早く立ち上がった。
配下の者たちも彼に続いた。
アルフレッドは僕らのことを一人ひとり見回すと、笑みを浮かべた。
「また会おうぜ!」
そして、配下の者たちを引き連れ、颯爽と部屋を出ていった。
部屋に取り残された僕らは、きつねにつままれたような気分だった。
「また会おうぜ? ……あやつ、そう言いましたか?」
ギャレットがつぶやいた。
「ええ、言ったわね。わたしは全っ然! 会いたくないんだけど……」
アリアスはすっと立ち上がった。
「疲れたから先に休むわね」
そのまま侍女のメルアとルイーズを連れて、僕たちのいる部屋を出ていき、それぞれにあてがわれた部屋へと行ってしまった。
「おい、カズマはどう思う? あやつ、どういうつもりだと思う?」
三人がいなくなってから、ギャレットが僕に話しかけてきた。
「ただの別れの挨拶なんじゃないかと思いますけど」
「他意はないと?」
「よくわからないんですが、彼の国ではいつもの別れの挨拶が、また会おうなのかもしれないし」
「つまり文化の違いというわけか。別れの際には、また会おうと言うのが決まり事だと?」
「いや、別に断言しているわけではなくて、そういうこともあり得るんじゃないかって話ですよ」
「そうだな。そう思うことにしよう。何せ、あんなやつと会うなど、二度とごめんだからな!」
ギャレットは、アルフレッドがアリアスにしたことをまだ許していないようだった。
実は僕も……許していないというか、なんていうか……よくわからなかった。
「カズマも疲れたろう? 我々もそろそろ明日に備えて休むとしよう。この部屋はカズマがこのまま使うといい。わたしは隣の部屋を使わせてもらうことにする」
ギャレットは僕の返事も待たずに、部屋を出ていった。
部屋に取り残された僕は、ベッドに仰向けになった。
そして、この異世界での奇想天外な日々を思い起こした。
「いっぱい色々なことがあったなあ……」
僕は異世界転移した日のことから、アリアスと出会って窪地を出た日のこと、そして蒼龍槍を操っての、ベルガン帝国の騎士たちとの壮絶な戦いなどを思い出していた。
「……でも、こっちの世界は楽しいな……あっちの世界は、僕には地獄だったし……」
僕はいつの間にやら睡魔に襲われ、眠りについた。
ミシッ。
……うん? ……何か聞こえた。
目を覚ました僕は瞼を開き、月明かりが差し込む部屋の中で最も影が濃い天井を見る。
するとすぐにまた、ミシッという音が聞こえた。だがそれは上じゃない。廊下だ!
僕は首をめぐらし、扉の方向を見た。
ミシッ。
間違いない。何者かが足音を忍ばせて廊下を歩いている。
僕は音を立てずにゆっくりと身体を起こすと、静かに床に降り、扉に近づいていった。
ミシッ。
まただ。また聞こえる。
僕は心を落ち着かせて、一歩一歩扉へと歩を進めた。
途中、壁に立てかけられた蒼龍槍を手にする。
ミシッ。
廊下を歩く何者かの足音が、どんどん大きくなっている。
ミシッ。
いる。何者かは今、僕の扉の前を通過しようとしている。
僕は取っ手にゆっくりと手をかけると、勢いよく扉を開いた。
そこには、全身を黒装束に包んだ怪しい男が立っていた。
男は驚いた表情を一瞬見せるも、すぐさま腰の短剣を抜き放った。
僕も蒼龍槍を構え、黒装束に対して突きを繰り出した。
しかし、男は俊敏な動きで身体をよじり、僕の突きを躱した。
僕は素早く廊下に出ると、周りを見回す。
そこには数人の黒装束の男たちが立っていた。
「敵だ!!」
僕はそこで、あらん限りの大声を発した。
他の黒装束たちが一斉に腰の短剣を抜き放ち、僕に突進してきた。
僕は蒼龍槍を操り――あっ!
狭い廊下で蒼龍槍が壁にぶつかった!
黒装束の短剣が襲いかかってくる!
僕は慌てて身体をひねって短剣を躱した。
次々に繰り出される短剣。
僕はそれを必死の思いで躱していく。
しまった! 廊下で蒼龍槍は使いづらい!
こんなことなら、剣を持ってくれば……いや、剣は部屋にはなかった。
ていうか、こんなこと考えている場合じゃない。とにかく避けなきゃ!
僕が這う這うの体で退きつつ黒装束の短剣を躱していると、バタバタと音を立ててギャレットが廊下に出てきた。
「どうしたっ! 敵かっ!」
ギャレットもさすがは王女の護衛隊長を任ぜられるだけはあり、すでに剣を抜き放っていた。
「なにやつ! これ以上の狼藉、このギャレットが許しはしない!」
ギャレットは素早く僕の前に出ると、器用に剣を操って黒装束の男に斬りかかる。
だが黒装束の男も腕利きであったらしく、ギャレットの鋭い斬撃にも怯むことはなかった。
二合、三合と切り結ぶが、互いに決定打を打てずに膠着状態となった。
僕はその間に体勢を立て直した。
今度は槍をできるだけ短く構え、ただひたすらに正面を突くという方針に切り替えた。
幸い、狭い廊下であるため、敵も周りを取り囲むことはできない。
僕はギャレットの横に並び、槍を激しく突いた。
だが攻撃が突き一辺倒なため、予測がしやすいのだろう。なかなか思うようにはいかなかった。
やっぱりここでは槍は使いづらい。
僕は多少イライラしつつも他に武器はないため、仕方なく槍を突きまくった。
このままでは……
僕がこの状況に焦りを感じはじめた頃、聞き覚えのある快活な声が廊下に響き渡った。
「また会ったな! 加勢するぜ!」
なんと、アルフレッド・バーンが、配下の者を引き連れ、廊下の先に現れた。
「アルフレッド!」
僕が思わず声を出すと、アルフレッドが勇躍して黒装束に突進を仕かけた。
アルフレッドと僕たちは黒装束の男たちを挟み撃ちする形となった。
黒装束たちは慌てるも、すぐに後ろの数人がアルフレッドたちに対処するため振り返った。
そこへアルフレッドが急襲する。
「遅いっ!」
アルフレッドは黒装束の繰り出す短剣を素早く屈んで躱すと、右拳を下から勢いよく突き上げ、電光石火のスマッシュを炸裂させた。
黒装束の男が血飛沫を上げて宙を舞う。
「まだまだっ!」
アルフレッドは次の標的を見定めるなり、身体の重心を急速に右に振って、凄まじい威力の左フックを繰り出した。
黒装束の男はその拳に短剣を合わせようとするも、間に合わない。
次の瞬間、アルフレッドの左拳が黒装束の右わき腹にめり込んだ。
「ぐぶっ!」
黒装束は口から血反吐とうめき声を漏らしつつ、壁に向かって吹き飛んだ。
凄まじい音を立てて黒装束の身体が壁にぶつかり、めり込む。
凄い!
素手の格闘術で、短剣を持った男たちを相手にあっさり勝利している。
そこへ、またも凄まじい音を立てて黒装束が弾け飛んだ。
今度はガッソがショルダータックルをぶちかましたのだ。
哀れこの黒装束は、これまでの中で一番ひどい有様で廊下に寝そべる羽目となった。
勝てる! このままいけば一気に押し切れる!
僕がそう思った瞬間、一人の黒装束が窓をぶち破って外に逃れた。
すると、残った黒装束たちも次々に窓に殺到した。
僕らは彼らを追撃しようと詰め寄るも、一歩遅かった。
残った黒装束たちは、窓から一斉に逃げてしまった。
アルフレッド配下の者らが追撃しようと窓に向かうが、アルフレッドが制する。
「追うな!」
配下の者たちは一斉に足を止めて振り返った。
「深追いは禁物だ。どんな罠が張り巡らされているかわかったもんじゃないからな」
冷静なアルフレッドの言葉に、配下の者たちは無言でうなずいた。
かくして廊下の戦いは終わりを告げた。
僕はひとまず大きなため息をつく。
心に落ち着きを取り戻してから、アルフレッドに言った。
「ありがとう、アルフレッド」
アルフレッドはにんまりと笑った。
「なあに、気にするなよ。また会おうって言っただろ?」
僕は思わず笑ってしまった。
「言ったけど、いくらなんでも早すぎないかな?」
「だが、そのおかげで助かったろ?」
アルフレッドが肩をすくめる。
僕は思わずギャレットと視線を合わせた。
ギャレットが不本意そうに口を歪める。
僕はそれを見て、つい笑ってしまった。
そしてあらためてアルフレッドに向き直ると、笑顔で大きくうなずいた。
「どうかしましたか?」
アリアスが奥まった部屋から顔を出した。
彼女には最も上等な部屋があてがわれており、寝室は続き部屋のその先であった。
そのため僕の大声もよく届かず、今の段階で顔を覗かせたのだろう。
「ただ今、賊が現れまして……」
ギャレットがすかさず膝を折って報告する。
アリアスは驚いたものの、廊下の惨状を見て納得した様子だ。
だが、すぐにもう一つのことに心をざわめかせたようだ。
「アルフレッド……」
いるはずのない男が目の前で笑みを浮かべていたため、アリアスは口を手で押さえて驚く。
「よう! また会ったな」
もう鼻の包帯をはずしていたアルフレッドは、左手の指を二本立ててこめかみに当て、すぐに離すというなかなかキザな挨拶をした。
「どうして彼がいるのです!」
アリアスは頬を膨らませてギャレットに言った。
「畏れ多いことですが、賊が侵入いたしまして、それにカズマが気づき応戦。次にわたくしも参戦しました。ですが、敵は強敵でありまして、苦戦していたところをバーン商会の方々が駆けつけてくださったという次第です」
アリアスは、ギャレットの説明を聞いているときも、ちらちらとアルフレッドを見ていた。
そして聞き終えるなり腰に手を当て、アルフレッドに向かって言った。
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