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2巻
2-2
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「お前、俺たち全員を相手にしても勝てると思ってるだろ?」
男たちは、またも大きくざわめいた。
アルフレッドは僕が答える前に後ろを振り返った。
「うるせえよ! 見てわかんないのか、お前ら。こいつは……めちゃくちゃ強えぜ」
驚く男たちの中で、ガッソだけはうなずいていた。
「そうですね、若。ですが……この小僧も、少々我々を見くびっているとは思いませんか?」
アルフレッドは首を縦に振った。
「ああ、俺もそう思うぜ。どうもこの小僧、さっきから俺たちを舐めくさってやがる。だからよう、ここは一つ……勝負と行こうじゃねえか!」
「勝負?」
僕が鸚鵡返しをすると、アルフレッドがニヤリと笑みを浮かべた。
「決まってんだろ。殴り合いだよ」
「えっ! 殴り合い?」
「当然だろう。剣だの槍だので殺し合いなんていうのは無粋だからな。ここは一つ、拳で語り合おうじゃねえか」
え~と、展開が飲み込めないんですけど……
だがアルフレッドは、僕が戸惑っているのもお構いなしであった。
「そういうわけだから、さっさと表に出な」
すると、今までじっと黙っていたアリアスが、憤然として言った。
「ちょっとお待ちなさい! あなたは何を言っているのですか!」
「うるせえな。女は黙ってろよ」
アルフレッドが、さも面倒くさそうに答える。
これに、アリアスが烈火のごとく怒った。
「なんですって! 女は黙ってろと言ったのかしら? だとしたら前時代的にもほどがあるわ! それに殴り合いですって? なんて野蛮な人なのかしら!」
罵られたアルフレッドは、まるで怯むことなく、ニヤニヤしながら一歩前に出た。
だが勝気なアリアスも同じように前に進み出る。両者は至近距離で睨み合う格好となった。
心配したギャレットが、すかさず両者の間に割って入ろうとする。
「お嬢様、どうかお下がりを」
しかし、アリアスは右手を上げてギャレットを制した。
アルフレッドはその様子を見つつ、さらにニヤニヤしながら言う。
「野蛮で何が悪い」
アリアスは目を吊り上げて、憤然とした表情を見せた。
「もっと文明的にすべきだわ」
「文明的ねえ……そいつはもしかして、こういうことか?」
アルフレッドは突然アリアスの顎をグイッと掴み、唇を自身のそれと重ねた。
「!」
アリアスは反射的にアルフレッドを突き飛ばした。
「貴っ様ーーー!」
怒りに我を忘れたギャレットが、腰の剣を抜き放ってアルフレッドに斬りつけようとする。
ガッソは瞬時に踏み込み、ギャレットが剣を抜く前にその手を押さえた。
「ぐっ! 貴様、離せっ!」
ガッソはがっちりとギャレットの両手を押さえつつ、かなり申し訳なさそうな顔を作った。
「すまねえが、そいつはできねえ相談だ」
僕はその間、ただぼーっとしていた。今起こった状況が理解できなかったのだ。
だが、アリアスが自らの口を押さえてうずくまっている姿が目に入った。
そのときだった。
僕の感情に火がついた。
僕は一歩前にずいっと進み出ると、アルフレッドを睨みつけた。
「アルフレッドさん! 表に出てください!」
アルフレッドはにやりと笑い、顎を上げた。
「へえ、ようやくやる気になったか」
気圧されないよう、僕も顎を上げた。
「ええ! だからとっとと外に出てください! それがあなたの望みでしょう!」
「おうよ、そうこなくっちゃな」
アルフレッドはそう言うと、さっと踵を返して部屋を出ていく。
僕はその後をしっかりした足取りで追いかけた。
「ここらでいいだろう」
アルフレッドがあたりを見回しながら言った。
ここは宿屋の近くにある公園だった。
公園は広く、時間も遅いため、人影はまったく見えない。
「都合よく誰もいないようだ。つまりは、思いっきり殴り合いができるってわけだ」
アルフレッドはにやりと笑った。
同時に、後ろに控える配下の者たちも笑った。
僕はすでに臨戦態勢となっており、いつでも殴りかかる準備ができていた。
そんな僕に、セコンドのようについたギャレットが言った。
「よいか! あの若造をボッコボコにしてやれ! 泣こうがわめこうが構いやしない! 徹底的にぶちのめせ! このわたしが全面的に許すっ!」
僕は大きくうなずいた。
「どうやら準備万端って感じだな。それじゃあ、やるか!」
僕の様子を見て取ったアルフレッドの言葉に、僕は首を縦に振る。
すると、アルフレッドがゆっくりと僕に向かって歩いてきた。
その足取りは、今から喧嘩をする相手に対してにじりよるようなものではなかった。
ただ普通に歩いているだけに見えた。
だから、僕はそこで初めて警戒した。
只者じゃない。あんな風に無防備に歩いてくるなんて、よほど自信がある証拠だ。
それに、身体にブレが一切ない。足取りが驚くほどスムーズだった。
つまり、身体のバランスが見事に取れているということだ。
僕は最大限に警戒しつつも、手をこまねいていられるほど悠長な気分ではない。
一発殴りたい。
僕はぐっと腰を落とすと、後ろに引いていた右足に力を込めた。
そして大地を力強く蹴ると、前へ向かって猛然と跳び出した。
それでも、アルフレッドは一向に慌てる素振りを見せない。
僕は右腕を思いっきり引き、力を溜めてから、上半身をねじって渾身の右ストレートを繰り出した。
僕の右拳がアルフレッドの顔面めがけて飛んでいく。
しかし、当たると思った瞬間、アルフレッドの顔が消え失せた。
僕は慌ててアルフレッドを探す。
アルフレッドは身をかがめて避けたのだ。
さらに、そこから全身の力を使って、右拳を突き上げてきた。
強烈なアッパーが僕の顎に襲いくる!
僕は必死に身体をよじって躱した。
そして一旦距離を取ろうと、両足に力を込めて跳んだ。
瞬時に五メートルほど離れたが……え? ……え? 僕の視界がぐらついている。視点がまったく定まらない。まずい、倒れそうだ。いや……倒れる。
僕はガクンと両膝をついた。
だがそれだけでは身体を安定させられず、両手を地面につけることでかろうじて安定を保つ。
僕は四つん這いになり、頭を何度も振って正気を取り戻そうとした。
そうか、アルフレッドのパンチが顎にかすっていたのか。
脳震盪を起こしてしまったようだ。
やられた。猛烈な吐き気が襲ってくる。
だが、ここで吐くわけにはいかないとぐっと堪えた。
そして、僕をこんな目に遭わせた男の顔を見た。
男は月明かりの下で自信たっぷりに立ち、傲然と肩をそびやかしていた。
「どうした? まさかそれで終わりじゃないだろうな?」
僕は大きく一度深呼吸すると、ゆっくりと立ち上がり、アルフレッドの顔を睨みつけた。
「当たり前だ! 勝負はこれからだ!」
なぜか、アルフレッドは軽く首を傾げた。
「それにしても、妙なやつだな」
僕の頭はまだ揺れている。そのため、時間稼ぎになるかもと思い、話に乗った。
「妙なやつって……何が」
アルフレッドは、僕の頭のてっぺんからつま先までをじっくりと見ている。
「さっきの踏み込み、あれは凄かった。さすがの俺も少し慌てたくらいだ。やっぱり俺の目に狂いはなかったと思ったぜ。だがあの殴り方は何なんだ? フォームが滅茶苦茶で、腰は入ってないわ、腕の振りはヘロヘロだわで、ガッカリだったぜ?」
僕が何も言えないでいると、アルフレッドはさらに続ける。
「そうだな……まるで、今まで殴り合いの喧嘩をしたことがないやつの殴り方だったぜ」
アルフレッドは自らの顎を撫でつつ、何やら満足げにうんうんとうなずく。
「お前、もしかして、本当に殴り合いの喧嘩ってしたことないんじゃないのか?」
確かに、僕はこれまで人を殴ったことがない。だからかもしれない。
「殴る気あんのかっていうくらい、みっともない殴り方だったぜ? お前、本当にやる気あんのか?」
「やる気はある! ただ、人を殴ったことはない!」
僕はそこでようやくめまいが治まったため、言い返した。
「やっぱりか……だったら、なんで殴り合い勝負を受けたんだよ」
それは、やっぱりこれまでの戦いで自信をつけたからかな。
剣や槍であれだけ戦えたんだから、殴り合いも問題ないと思ったんだけど……
「そのうち慣れる! 続けよう!」
しかし、アルフレッドは眉尻を跳ね上げた。
「はあ~? あのなあ、人を殴ったことがないやつ相手に殴り合いなんてできねえよ」
「嫌だ」
僕は正直に言った。
アルフレッドは呆れ返った顔をする。
「なんだあ~? 嫌だじゃねえだろうが! お前、人殴ったことないんだろ?」
「人を殴ったことはない。でも斬ったことはある」
アルフレッドは、今度は眉根を寄せた。
「お前、人を殴ったこともないくせに、斬ったことはあるのかよ」
「そうだ。だから、殴るのも慣れる!」
僕にはレベルアップ能力がある。だからこのままいけば、必ずレベルアップするはずなんだ!
だが、アルフレッドはもうやる気がなさそうであった。
「慣れるとか言われても、こっちにそこまで付き合う気はねえよ。まったく、しらけちまったぜ」
そう言って、プイッと横を向いて歩き出してしまった。
「ちょっと待った! まだ勝負は終わっていないって言ったでしょ!」
「お前にやる気があっても、こっちにはねえよ。喧嘩ってのは一人じゃできねえんだ。悪いな」
アルフレッドは手をひらひらさせる。
だが、僕は駆け出し、彼の行く手を遮った。
「まだだ。勝負はこれからだ!」
アルフレッドは、軽く舌打ちをした。
「仕方ねえから相手してやるよ。だが、お前が慣れる前にぶちのめす。それでもいいな?」
僕はうなずく。
「それで構わない。何があろうと、僕は絶対にあなたを殴るから!」
「面白ぇ、あとで吠え面かくなよ」
アルフレッドは左肩を前に出して半身に構えると、軽くステップを踏む。
僕は先ほどと同じ失敗を繰り返さないように、頭の中で殴り方について考えなきゃと思った。
そういえば……握り拳を作り、脇を締めて内側にねじり込むようにして、打つべし! だったかな?
僕は前に偶然見たテレビアニメのワンシーンを思い起こしていた。
とりあえずやってみようと、まずは握り拳をギュッと固く握り込んだ。
次に、脇をしっかりと強く締めた。
よし! あとは内側にねじり込むように打つだけだ。
僕は目標のアルフレッドを睨みつけ、ジリジリと近づいていく。
僕の構えを見たアルフレッドが、たまらずといった様子で口を開いた。
「握り拳を作るのが早いな。殴る前は軽く握って、相手に当たる瞬間にギュッと握り込むんだよ」
そうなのかな? 確かにアニメでも、そんなことを言っていたような気がする。
僕は言われた通りに、握りを甘くした。
だが、アルフレッドは深いため息をついた。
「おい、握り拳だけじゃなく、肩の力も抜けよ。ていうか、全身の力を一旦抜けって」
確かに、気負いすぎて身体全体に力が入っているようだ。
これじゃあ、上手く動けないな。
僕はまたも言われた通りに、全身の力を抜いた。
そしてゆっくりと力を入れずに、自然な形で構えを取った。
すると、アルフレッドが左手を前に出し、クイックイッと僕を招くような仕草をした。
「まあ、ちぃと不恰好だが、一応形は整ったみたいだし、相手してやるぜ」
そうか。不恰好だけど、悪くない構えか……
なんか僕、さっきから色々と教えてもらっているような……
もしかして、そんなに悪い人じゃないのかも……
しかしそのとき、アルフレッドがアリアスにした行為がフラッシュバックした。
僕は思わず、顔を横にブルブルッと何度も思い切り振った。
ダメだ! この人は良い人なんかじゃない!
僕の行動を見ていたアルフレッドが、またも呆れ顔をする。
「お前、情緒不安定かなんかか? だったらやっぱりやめとくか?」
「大丈夫! そんなんじゃないから!」
僕はすかさず言った。
アルフレッドは軽く肩をすくめた。
「なら、いつでもかかってこいよ。だが、さっきも言ったが、拳に力を込めるのは最後の瞬間だぜ」
僕は、半身で身構えるアルフレッドに、静かに近づいていく。
そして、ついに間合いに入った瞬間――僕は力を抜いた状態で拳を前へと突き出した。
ビュッという、先ほどは鳴らなかった鋭い風切り音がした。
いける!
僕はアルフレッドの顔面めがけて突き出した拳を、当たる直前に力強く握り締めた。
当たれ!
だがこの瞬間、またもアルフレッドが視界から消え失せた。
そして次の瞬間、僕は無様にも地面に這いつくばっていた。
「……あ……痛て……」
僕は口の端が切れていることに気づいた。
しかし、何よりも目の前に広がる満天の星に驚いた。
「……空……あ、そうか……また……」
僕は身体にはあまりダメージがないことに気づき、上半身を起こした。
すると、目の前には呆れた様子のアルフレッドが立っていた。
「やっぱりお前、ちぐはぐだな」
「ちぐはぐ?」
僕が問い返すと、アルフレッドは大きくうなずいた。
「お前は驚異的な身体能力を持っていながら、二つだけ、極端にダメなところがあるんだ」
「極端にダメなことが二つ……それって何?」
「一つはやはり、殴る動作がまったくなってないことだ。ただ、今のはちょっとよかったけどな」
それはレベルアップしたから……かな?
「二つ目は?」
「上下運動にかなり弱い。目もまるでついていってない」
上下運動……確かに、今までの敵で上下に移動する者はあまりいなかったかも。
だから慣れてなくて、目で追えないのか。
「お前、一体何なんだ? すべてがちぐはぐしていて、こっちの感覚がおかしくなりそうだぜ」
う~ん、そうなのか。僕は異常なくらいに殴ることと、上下運動に弱いのか。
でも、僕のレベルはもう1000を超えているはずだ。
それなのに、個別には全然ダメなところがあるっていうのは、なんか不思議だな。
僕はそう思い、自分のステータス画面を開く。
やっぱり、僕自身のレベルは1000を超えている。
僕はページをめくり、殴ることに関した項目を探してみた。
「あった……」
そこには格闘術というスキルがあったが、驚くべきことにレベルはたったの2であった。
その上に記載された槍術レベル313と比べ、あまりにも低かったことに僕は驚いた。
ちなみにその上には剣術レベル144、さらにその上には戦斧術259とあった。
「めちゃめちゃ低い……レベル2って……もしかして今二回殴ったからかな?」
そこへ、僕の行為を黙って見ていたアルフレッドが、我慢しきれなくなったのか口を開いた。
「おいお前、相手を目の前にしてステータス画面なんて開いてんじゃねえよ。基本的にそんなものを相手に見られちゃ、手の内が見透かされちまうだろうが」
……なるほど。
僕はくるっと後ろを振り返ると、ギャレットに声をかけた。
「ギャレットさん、ちょっとステータス画面を見てもらえますか?」
突然声をかけられて驚いたギャレットが、慌てて僕に近づいてきた。
「どうした? ステータス画面がどうしたって?」
「ここなんですけど……格闘術が2しかなくて……」
ギャレットは僕のステータス画面を覗き込むや、目を剥いてのけぞった。
「なんと! 槍術レベル313! 剣術144! 戦斧259だと!」
ギャレットの声はあまりにも大きすぎて、皆に聞こえてしまった。
誰もがその数値の大きさにざわめいた。
アルフレッドも眉根を寄せて驚いている。
ギャレットはしまったという顔をして、僕に対して目で謝った。
「いや、そこじゃなくて……というか、そこと比べて格闘術が2しかなくて……」
ギャレットは改めて格闘術の項目を見て、再び目を剥いた。
「な、なんじゃこりゃ……いくらなんでもアンバランスというか、なんというか……」
そこへ突然、僕の頭上から声が降ってきた。
「確かにこれは驚きだ。他のスキルレベルの高さも異常だが、格闘術2はさらに異常だぜ」
アルフレッドがいつの間にか音もなく近づき、僕のステータス画面を覗き込んでいた。
「あ、あなたは敵なんですから、覗き込まないでください」
僕は思わず抗議した。
「それ、俺が教えたからだろうが。それにしても、なんていうスキルレベルだ。剣術に槍術、戦斧術は見たこともない数値のくせに、格闘術は2だってよ。そこらの子供でももっとあるだろうにな」
アルフレッドは僕の抗議など意に介さず、笑い出した。
僕はそのことにかなり腹を立てた。ていうか、そもそもこの人は敵だ。
うん? 近いぞ……。この距離なら、格闘術も関係ないんじゃ。
僕はすっと両腕を伸ばすと、腰を上げた。
続いて、僕のステータス画面を覗き込んでいるアルフレッドの顔を両手でむんずと掴んだ。
「えいっ!」
そして、上半身の力を目いっぱい使い、アルフレッドの顔面めがけて頭突きをした。
ボゴッという聞くだけで痛い音がして、アルフレッドが後ろにのけぞった。
よしっ! 手ごたえありだ!
のけぞったアルフレッドは数歩たたらを踏んだあと、なんとか立ち止まると、身体を倒して前かがみとなった。それから、鼻から噴き出す鮮血を両手で押さえつつ、僕に向かって言った。
男たちは、またも大きくざわめいた。
アルフレッドは僕が答える前に後ろを振り返った。
「うるせえよ! 見てわかんないのか、お前ら。こいつは……めちゃくちゃ強えぜ」
驚く男たちの中で、ガッソだけはうなずいていた。
「そうですね、若。ですが……この小僧も、少々我々を見くびっているとは思いませんか?」
アルフレッドは首を縦に振った。
「ああ、俺もそう思うぜ。どうもこの小僧、さっきから俺たちを舐めくさってやがる。だからよう、ここは一つ……勝負と行こうじゃねえか!」
「勝負?」
僕が鸚鵡返しをすると、アルフレッドがニヤリと笑みを浮かべた。
「決まってんだろ。殴り合いだよ」
「えっ! 殴り合い?」
「当然だろう。剣だの槍だので殺し合いなんていうのは無粋だからな。ここは一つ、拳で語り合おうじゃねえか」
え~と、展開が飲み込めないんですけど……
だがアルフレッドは、僕が戸惑っているのもお構いなしであった。
「そういうわけだから、さっさと表に出な」
すると、今までじっと黙っていたアリアスが、憤然として言った。
「ちょっとお待ちなさい! あなたは何を言っているのですか!」
「うるせえな。女は黙ってろよ」
アルフレッドが、さも面倒くさそうに答える。
これに、アリアスが烈火のごとく怒った。
「なんですって! 女は黙ってろと言ったのかしら? だとしたら前時代的にもほどがあるわ! それに殴り合いですって? なんて野蛮な人なのかしら!」
罵られたアルフレッドは、まるで怯むことなく、ニヤニヤしながら一歩前に出た。
だが勝気なアリアスも同じように前に進み出る。両者は至近距離で睨み合う格好となった。
心配したギャレットが、すかさず両者の間に割って入ろうとする。
「お嬢様、どうかお下がりを」
しかし、アリアスは右手を上げてギャレットを制した。
アルフレッドはその様子を見つつ、さらにニヤニヤしながら言う。
「野蛮で何が悪い」
アリアスは目を吊り上げて、憤然とした表情を見せた。
「もっと文明的にすべきだわ」
「文明的ねえ……そいつはもしかして、こういうことか?」
アルフレッドは突然アリアスの顎をグイッと掴み、唇を自身のそれと重ねた。
「!」
アリアスは反射的にアルフレッドを突き飛ばした。
「貴っ様ーーー!」
怒りに我を忘れたギャレットが、腰の剣を抜き放ってアルフレッドに斬りつけようとする。
ガッソは瞬時に踏み込み、ギャレットが剣を抜く前にその手を押さえた。
「ぐっ! 貴様、離せっ!」
ガッソはがっちりとギャレットの両手を押さえつつ、かなり申し訳なさそうな顔を作った。
「すまねえが、そいつはできねえ相談だ」
僕はその間、ただぼーっとしていた。今起こった状況が理解できなかったのだ。
だが、アリアスが自らの口を押さえてうずくまっている姿が目に入った。
そのときだった。
僕の感情に火がついた。
僕は一歩前にずいっと進み出ると、アルフレッドを睨みつけた。
「アルフレッドさん! 表に出てください!」
アルフレッドはにやりと笑い、顎を上げた。
「へえ、ようやくやる気になったか」
気圧されないよう、僕も顎を上げた。
「ええ! だからとっとと外に出てください! それがあなたの望みでしょう!」
「おうよ、そうこなくっちゃな」
アルフレッドはそう言うと、さっと踵を返して部屋を出ていく。
僕はその後をしっかりした足取りで追いかけた。
「ここらでいいだろう」
アルフレッドがあたりを見回しながら言った。
ここは宿屋の近くにある公園だった。
公園は広く、時間も遅いため、人影はまったく見えない。
「都合よく誰もいないようだ。つまりは、思いっきり殴り合いができるってわけだ」
アルフレッドはにやりと笑った。
同時に、後ろに控える配下の者たちも笑った。
僕はすでに臨戦態勢となっており、いつでも殴りかかる準備ができていた。
そんな僕に、セコンドのようについたギャレットが言った。
「よいか! あの若造をボッコボコにしてやれ! 泣こうがわめこうが構いやしない! 徹底的にぶちのめせ! このわたしが全面的に許すっ!」
僕は大きくうなずいた。
「どうやら準備万端って感じだな。それじゃあ、やるか!」
僕の様子を見て取ったアルフレッドの言葉に、僕は首を縦に振る。
すると、アルフレッドがゆっくりと僕に向かって歩いてきた。
その足取りは、今から喧嘩をする相手に対してにじりよるようなものではなかった。
ただ普通に歩いているだけに見えた。
だから、僕はそこで初めて警戒した。
只者じゃない。あんな風に無防備に歩いてくるなんて、よほど自信がある証拠だ。
それに、身体にブレが一切ない。足取りが驚くほどスムーズだった。
つまり、身体のバランスが見事に取れているということだ。
僕は最大限に警戒しつつも、手をこまねいていられるほど悠長な気分ではない。
一発殴りたい。
僕はぐっと腰を落とすと、後ろに引いていた右足に力を込めた。
そして大地を力強く蹴ると、前へ向かって猛然と跳び出した。
それでも、アルフレッドは一向に慌てる素振りを見せない。
僕は右腕を思いっきり引き、力を溜めてから、上半身をねじって渾身の右ストレートを繰り出した。
僕の右拳がアルフレッドの顔面めがけて飛んでいく。
しかし、当たると思った瞬間、アルフレッドの顔が消え失せた。
僕は慌ててアルフレッドを探す。
アルフレッドは身をかがめて避けたのだ。
さらに、そこから全身の力を使って、右拳を突き上げてきた。
強烈なアッパーが僕の顎に襲いくる!
僕は必死に身体をよじって躱した。
そして一旦距離を取ろうと、両足に力を込めて跳んだ。
瞬時に五メートルほど離れたが……え? ……え? 僕の視界がぐらついている。視点がまったく定まらない。まずい、倒れそうだ。いや……倒れる。
僕はガクンと両膝をついた。
だがそれだけでは身体を安定させられず、両手を地面につけることでかろうじて安定を保つ。
僕は四つん這いになり、頭を何度も振って正気を取り戻そうとした。
そうか、アルフレッドのパンチが顎にかすっていたのか。
脳震盪を起こしてしまったようだ。
やられた。猛烈な吐き気が襲ってくる。
だが、ここで吐くわけにはいかないとぐっと堪えた。
そして、僕をこんな目に遭わせた男の顔を見た。
男は月明かりの下で自信たっぷりに立ち、傲然と肩をそびやかしていた。
「どうした? まさかそれで終わりじゃないだろうな?」
僕は大きく一度深呼吸すると、ゆっくりと立ち上がり、アルフレッドの顔を睨みつけた。
「当たり前だ! 勝負はこれからだ!」
なぜか、アルフレッドは軽く首を傾げた。
「それにしても、妙なやつだな」
僕の頭はまだ揺れている。そのため、時間稼ぎになるかもと思い、話に乗った。
「妙なやつって……何が」
アルフレッドは、僕の頭のてっぺんからつま先までをじっくりと見ている。
「さっきの踏み込み、あれは凄かった。さすがの俺も少し慌てたくらいだ。やっぱり俺の目に狂いはなかったと思ったぜ。だがあの殴り方は何なんだ? フォームが滅茶苦茶で、腰は入ってないわ、腕の振りはヘロヘロだわで、ガッカリだったぜ?」
僕が何も言えないでいると、アルフレッドはさらに続ける。
「そうだな……まるで、今まで殴り合いの喧嘩をしたことがないやつの殴り方だったぜ」
アルフレッドは自らの顎を撫でつつ、何やら満足げにうんうんとうなずく。
「お前、もしかして、本当に殴り合いの喧嘩ってしたことないんじゃないのか?」
確かに、僕はこれまで人を殴ったことがない。だからかもしれない。
「殴る気あんのかっていうくらい、みっともない殴り方だったぜ? お前、本当にやる気あんのか?」
「やる気はある! ただ、人を殴ったことはない!」
僕はそこでようやくめまいが治まったため、言い返した。
「やっぱりか……だったら、なんで殴り合い勝負を受けたんだよ」
それは、やっぱりこれまでの戦いで自信をつけたからかな。
剣や槍であれだけ戦えたんだから、殴り合いも問題ないと思ったんだけど……
「そのうち慣れる! 続けよう!」
しかし、アルフレッドは眉尻を跳ね上げた。
「はあ~? あのなあ、人を殴ったことがないやつ相手に殴り合いなんてできねえよ」
「嫌だ」
僕は正直に言った。
アルフレッドは呆れ返った顔をする。
「なんだあ~? 嫌だじゃねえだろうが! お前、人殴ったことないんだろ?」
「人を殴ったことはない。でも斬ったことはある」
アルフレッドは、今度は眉根を寄せた。
「お前、人を殴ったこともないくせに、斬ったことはあるのかよ」
「そうだ。だから、殴るのも慣れる!」
僕にはレベルアップ能力がある。だからこのままいけば、必ずレベルアップするはずなんだ!
だが、アルフレッドはもうやる気がなさそうであった。
「慣れるとか言われても、こっちにそこまで付き合う気はねえよ。まったく、しらけちまったぜ」
そう言って、プイッと横を向いて歩き出してしまった。
「ちょっと待った! まだ勝負は終わっていないって言ったでしょ!」
「お前にやる気があっても、こっちにはねえよ。喧嘩ってのは一人じゃできねえんだ。悪いな」
アルフレッドは手をひらひらさせる。
だが、僕は駆け出し、彼の行く手を遮った。
「まだだ。勝負はこれからだ!」
アルフレッドは、軽く舌打ちをした。
「仕方ねえから相手してやるよ。だが、お前が慣れる前にぶちのめす。それでもいいな?」
僕はうなずく。
「それで構わない。何があろうと、僕は絶対にあなたを殴るから!」
「面白ぇ、あとで吠え面かくなよ」
アルフレッドは左肩を前に出して半身に構えると、軽くステップを踏む。
僕は先ほどと同じ失敗を繰り返さないように、頭の中で殴り方について考えなきゃと思った。
そういえば……握り拳を作り、脇を締めて内側にねじり込むようにして、打つべし! だったかな?
僕は前に偶然見たテレビアニメのワンシーンを思い起こしていた。
とりあえずやってみようと、まずは握り拳をギュッと固く握り込んだ。
次に、脇をしっかりと強く締めた。
よし! あとは内側にねじり込むように打つだけだ。
僕は目標のアルフレッドを睨みつけ、ジリジリと近づいていく。
僕の構えを見たアルフレッドが、たまらずといった様子で口を開いた。
「握り拳を作るのが早いな。殴る前は軽く握って、相手に当たる瞬間にギュッと握り込むんだよ」
そうなのかな? 確かにアニメでも、そんなことを言っていたような気がする。
僕は言われた通りに、握りを甘くした。
だが、アルフレッドは深いため息をついた。
「おい、握り拳だけじゃなく、肩の力も抜けよ。ていうか、全身の力を一旦抜けって」
確かに、気負いすぎて身体全体に力が入っているようだ。
これじゃあ、上手く動けないな。
僕はまたも言われた通りに、全身の力を抜いた。
そしてゆっくりと力を入れずに、自然な形で構えを取った。
すると、アルフレッドが左手を前に出し、クイックイッと僕を招くような仕草をした。
「まあ、ちぃと不恰好だが、一応形は整ったみたいだし、相手してやるぜ」
そうか。不恰好だけど、悪くない構えか……
なんか僕、さっきから色々と教えてもらっているような……
もしかして、そんなに悪い人じゃないのかも……
しかしそのとき、アルフレッドがアリアスにした行為がフラッシュバックした。
僕は思わず、顔を横にブルブルッと何度も思い切り振った。
ダメだ! この人は良い人なんかじゃない!
僕の行動を見ていたアルフレッドが、またも呆れ顔をする。
「お前、情緒不安定かなんかか? だったらやっぱりやめとくか?」
「大丈夫! そんなんじゃないから!」
僕はすかさず言った。
アルフレッドは軽く肩をすくめた。
「なら、いつでもかかってこいよ。だが、さっきも言ったが、拳に力を込めるのは最後の瞬間だぜ」
僕は、半身で身構えるアルフレッドに、静かに近づいていく。
そして、ついに間合いに入った瞬間――僕は力を抜いた状態で拳を前へと突き出した。
ビュッという、先ほどは鳴らなかった鋭い風切り音がした。
いける!
僕はアルフレッドの顔面めがけて突き出した拳を、当たる直前に力強く握り締めた。
当たれ!
だがこの瞬間、またもアルフレッドが視界から消え失せた。
そして次の瞬間、僕は無様にも地面に這いつくばっていた。
「……あ……痛て……」
僕は口の端が切れていることに気づいた。
しかし、何よりも目の前に広がる満天の星に驚いた。
「……空……あ、そうか……また……」
僕は身体にはあまりダメージがないことに気づき、上半身を起こした。
すると、目の前には呆れた様子のアルフレッドが立っていた。
「やっぱりお前、ちぐはぐだな」
「ちぐはぐ?」
僕が問い返すと、アルフレッドは大きくうなずいた。
「お前は驚異的な身体能力を持っていながら、二つだけ、極端にダメなところがあるんだ」
「極端にダメなことが二つ……それって何?」
「一つはやはり、殴る動作がまったくなってないことだ。ただ、今のはちょっとよかったけどな」
それはレベルアップしたから……かな?
「二つ目は?」
「上下運動にかなり弱い。目もまるでついていってない」
上下運動……確かに、今までの敵で上下に移動する者はあまりいなかったかも。
だから慣れてなくて、目で追えないのか。
「お前、一体何なんだ? すべてがちぐはぐしていて、こっちの感覚がおかしくなりそうだぜ」
う~ん、そうなのか。僕は異常なくらいに殴ることと、上下運動に弱いのか。
でも、僕のレベルはもう1000を超えているはずだ。
それなのに、個別には全然ダメなところがあるっていうのは、なんか不思議だな。
僕はそう思い、自分のステータス画面を開く。
やっぱり、僕自身のレベルは1000を超えている。
僕はページをめくり、殴ることに関した項目を探してみた。
「あった……」
そこには格闘術というスキルがあったが、驚くべきことにレベルはたったの2であった。
その上に記載された槍術レベル313と比べ、あまりにも低かったことに僕は驚いた。
ちなみにその上には剣術レベル144、さらにその上には戦斧術259とあった。
「めちゃめちゃ低い……レベル2って……もしかして今二回殴ったからかな?」
そこへ、僕の行為を黙って見ていたアルフレッドが、我慢しきれなくなったのか口を開いた。
「おいお前、相手を目の前にしてステータス画面なんて開いてんじゃねえよ。基本的にそんなものを相手に見られちゃ、手の内が見透かされちまうだろうが」
……なるほど。
僕はくるっと後ろを振り返ると、ギャレットに声をかけた。
「ギャレットさん、ちょっとステータス画面を見てもらえますか?」
突然声をかけられて驚いたギャレットが、慌てて僕に近づいてきた。
「どうした? ステータス画面がどうしたって?」
「ここなんですけど……格闘術が2しかなくて……」
ギャレットは僕のステータス画面を覗き込むや、目を剥いてのけぞった。
「なんと! 槍術レベル313! 剣術144! 戦斧259だと!」
ギャレットの声はあまりにも大きすぎて、皆に聞こえてしまった。
誰もがその数値の大きさにざわめいた。
アルフレッドも眉根を寄せて驚いている。
ギャレットはしまったという顔をして、僕に対して目で謝った。
「いや、そこじゃなくて……というか、そこと比べて格闘術が2しかなくて……」
ギャレットは改めて格闘術の項目を見て、再び目を剥いた。
「な、なんじゃこりゃ……いくらなんでもアンバランスというか、なんというか……」
そこへ突然、僕の頭上から声が降ってきた。
「確かにこれは驚きだ。他のスキルレベルの高さも異常だが、格闘術2はさらに異常だぜ」
アルフレッドがいつの間にか音もなく近づき、僕のステータス画面を覗き込んでいた。
「あ、あなたは敵なんですから、覗き込まないでください」
僕は思わず抗議した。
「それ、俺が教えたからだろうが。それにしても、なんていうスキルレベルだ。剣術に槍術、戦斧術は見たこともない数値のくせに、格闘術は2だってよ。そこらの子供でももっとあるだろうにな」
アルフレッドは僕の抗議など意に介さず、笑い出した。
僕はそのことにかなり腹を立てた。ていうか、そもそもこの人は敵だ。
うん? 近いぞ……。この距離なら、格闘術も関係ないんじゃ。
僕はすっと両腕を伸ばすと、腰を上げた。
続いて、僕のステータス画面を覗き込んでいるアルフレッドの顔を両手でむんずと掴んだ。
「えいっ!」
そして、上半身の力を目いっぱい使い、アルフレッドの顔面めがけて頭突きをした。
ボゴッという聞くだけで痛い音がして、アルフレッドが後ろにのけぞった。
よしっ! 手ごたえありだ!
のけぞったアルフレッドは数歩たたらを踏んだあと、なんとか立ち止まると、身体を倒して前かがみとなった。それから、鼻から噴き出す鮮血を両手で押さえつつ、僕に向かって言った。
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