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本編
11 3月12日 下校
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暫く無言だったのは仕方ないと思う。
自分から特に話しかけたりはしてこなかったけど、クラスメイトの女子はもう少し体も態度もでかかったはずだ。
学年も違うし体調悪いからかもしれないけど。
ちっちゃくて弱々しい。身長は萌と変わらないのに、とにかく軽い。風が吹いたら飛ばされやしないか冷や冷やする。
昇降口で光司を見つけた時は、約束を守れない罪悪感より先に沈黙から逃げられる安堵を感じた。
「悪い、待ったか?」
「いや、ついさっきまで職員室にいたぞ。話が弾んでなぁ~、他に先生いなければお茶とお菓子出してもらえたんだけどなぁ」
軽口を叩きながらも光司は俺の背後で固まっている彼女に気づいたようで、意味ありげに頷いてみせた。
「キミも商社マンになるつもりなら、俺のコミュニケーション能力をマスターするが良い」
「………よく言うぜ」
あはは~と明るく笑うと、片手を振りながら悠々と先に帰っていった。
お調子者だけど、彼女のことを察し話題にも触れずに引いてくれる。光司は毎回面倒くさがるが、本当に人を束ねるのに向いている。
「―――――帰るか?」
「…………………………はい」
彼女を見下ろして声をかけると、俯いたまま小さく返された。
癪だけど、光司の言うことは正しい。
自分から特に話しかけたりはしてこなかったけど、クラスメイトの女子はもう少し体も態度もでかかったはずだ。
学年も違うし体調悪いからかもしれないけど。
ちっちゃくて弱々しい。身長は萌と変わらないのに、とにかく軽い。風が吹いたら飛ばされやしないか冷や冷やする。
昇降口で光司を見つけた時は、約束を守れない罪悪感より先に沈黙から逃げられる安堵を感じた。
「悪い、待ったか?」
「いや、ついさっきまで職員室にいたぞ。話が弾んでなぁ~、他に先生いなければお茶とお菓子出してもらえたんだけどなぁ」
軽口を叩きながらも光司は俺の背後で固まっている彼女に気づいたようで、意味ありげに頷いてみせた。
「キミも商社マンになるつもりなら、俺のコミュニケーション能力をマスターするが良い」
「………よく言うぜ」
あはは~と明るく笑うと、片手を振りながら悠々と先に帰っていった。
お調子者だけど、彼女のことを察し話題にも触れずに引いてくれる。光司は毎回面倒くさがるが、本当に人を束ねるのに向いている。
「―――――帰るか?」
「…………………………はい」
彼女を見下ろして声をかけると、俯いたまま小さく返された。
癪だけど、光司の言うことは正しい。
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