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第1章 迷宮創生編

第49話 お姫様とバトルです

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「ここが瑞希ちゃんの迷宮か~」

 ゴーレムの披露と、紗弓様との手合わせのために、迷宮に来ているのだ。
 ここなら地上と違って暴れても問題ない。
 瑞希ちゃんの迷宮は綺麗な浜辺だった。沖縄の海でもイメージしたのだろうか?


「これがゴーレム? 独創的な形ね」
 召喚した魔動機を見た紗弓様の感想だった。
「これって、普通に車とトラクターじゃない!」
 逆に瑞希ちゃんは、どこか悔しそうだ。

「女子高生にこんなの作れないわよ! 免許だって持ってないし! 不公平だわ! ずるよ! 卑怯だわ」
 ブーブー文句を垂れる瑞希ちゃん。

「イメージさえあれば作れると思うよ。運転したことなくても、魔力さえあれば動かせるからさ、魔道具と一緒だよ」
「そのイメージが難しいのよ!」
 やっぱり女子高生には、車とかメカ系は難しいのかもしれないな。


「じゃあ、次はアイアンゴーレムだよ」
 魔動機を送還して、今度はアイアンゴーレム3機小隊を呼び出す。
「もうこれも、ロボットアニメじゃん」
「正解! これが一番イメージしやすいんだよね。昔プラモデルとか良く作ったし!」
「ハイハイ良かったわね」
 もう投げやりの瑞希ちゃん。

「ほう、これは強そうだな!」
 逆に紗弓様と従者の十六夜さんは食い付いている。

「試してみます?」
「良いのか? 大事なゴーレムなのだろう?」
「すぐ作れるので問題ないですよ。これより強いミスリルゴーレムはさすがに貸せませんが」
「ミ・ミスリルゴーレムだって?」
「作れるのか? ぜひ見せて欲しい!」
「ええ、良いですよ」

 魔法陣からミスリルゴーレムを呼び出す。
「なっ!? これ? デタラメな強さだな! そこらの冒険者や武将より強いじゃない。流石はミスリル製だな、まあ私より弱いけど」
「まだこの1体だけしか作ってないけど、いずれ量産したいと思っているよ」
「りょ・量産って・・・ほんとデタラメだなキミ」

「で、こっちの3体は既に量産済みと言う訳だな!」
「そうだよ。アイアンゴーレムでも特化型だから、強いよ! すでにモンスターとの戦いでも成果出してるし」

「鑑定して見てるから、その強さがよくわかるわよ」
「あっ! やっぱり鑑定スキルだと分かるんだ」
「ああ、使わせてもらったよ。キミのステータスもね。 しかし・・キミ特殊な補正が掛かってるな・・変なスキル持ってるし・・さしずめエロ魔人だね」

「ズルい! こっちは失礼が無いように見てないのにさ」
「そうか、紳士なのだな。許可するからスキルを使ってみるいい。最もレベルが低いと内容は見れないがな」
「では、失礼して」

 名前:織田 紗弓
 性別:♀
 年齢:18歳
 種族:上位魔人
 クラス:魔剣士
 LV:26
 HP:3800/3800
 MP:2600/2600
 SP:3800/3800
 STR:A  VIT:B  AGI:B
 DEX:A  INT:C  LUK:B
 スキル:―


 名前:那覇 瑞希
 性別:♀
 年齢:17歳
 種族:上位魔人
 クラス:迷宮主(AC-297)
 LV:14
 HP:1840/1840
 MP:3360/3360
 SP:2800/2800
 STR:C  VIT:C  AGI:A
 DEX:S  INT:S  LUK:A
 スキル:魔法(光C・闇E・火C・水A・風C・土C)
         言語理解 召喚魔法:D
 HP自動回復:小 MP自動回復:中  
 魔法抵抗値上昇:小 状態異常耐性:小
 空間収納 鑑定

 名前:十六夜 綾乃
 性別:♀
 年齢:19歳
 種族:上位魔人
 クラス:侍
 LV:28
 HP:3500/3500
 MP:2120/2120
 SP:2960/2960
 STR:A  VIT:A  AGI:B
 DEX:A  INT:E  LUK:C
 スキル:―

 名前:夕凪
 性別:♀
 年齢:16歳
 種族:魔人族
 クラス:くノ一
 LV:22
 HP:725/725
 MP:478/478
 SP:612/612
 STR:C  VIT:C  AGI:A
 DEX:B  INT:E  LUK:C
 スキル:―

 むう・・さすがに強いな・・・これが上位魔人と魔人か・・スキルが見れないのは俺のLVが低いからだろうな。

「どうだい? 見れたかい?」
「スキルとか一部見れないものあるけど、一応見ることができたよ」
「そうか、ならそっちのアイアンゴーレム壊しても良いんだな」
「くそう! 壊すこと前提かよ!」
 悔しいがアイアンゴーレムでは・・・戦わなくても分かる。全く歯が立たないだろう。

「綾乃、できるな!」
「はっ! お任せください」
 アイアンゴーレム3機小隊と戦うのは、紗弓様の従者である綾乃さんだけらしい。
 3対1、ひとりで戦うだと・・・バカにしやがって・・・と言いたいが、彼女も上位魔人で侍だ。勝てないのは分かっているが、少しぐらいは抵抗したい。

 その綾乃さんは、艶のある長く美しい黒髪でスラリとした和風美人さんだ。軽装の鎧に袴姿が良く似合っている。
「いつでもいいぞ!」
「なら、勝負開始!」

 開始の合図とともに、2機のゴーレムが砲撃を開始する。
「なっ!」
 砲撃に驚く綾乃さん。だが驚くだけで彼女に当たることはなかった。

 飛んでくる砲弾を躱し一瞬で間合いを詰め、3機のゴーレムが瞬く間に倒されていく。分かっていたが実力差が有り過ぎる。
 硬いアイアンゴーレムが簡単に両断されてしまった。間合いの詰め方も上手い。同じ侍である俵さんも同じような脚運びしてたな、もっとも綾乃さんはそれ以上に早いが・・・きっと抜刀術とかもありそうだな。
 
 それにしても・・・剣を振るう姿、凛とした佇まいが美しいと思った。異世界だけど大和撫子を体現したような女性だ。
 和風美人って素晴らしい!

「見事だ!綾乃。最初の銃撃には驚いたが、綾乃のスピードには対応できなかったようだな」
「ありがとうございます」
 綾乃さんが一礼して、後ろに下がっていく。
 礼儀正しい人だ。

「さあ、前哨戦は終ったぞ! 次は私とヤマト君の番だな! その実力を見せてもらおうか」
 紗弓様が腰の日本刀を抜き放ち、俺に剣先を向け挑発してくる。

「それは良いけど? まさか真剣で戦うの? 木刀とかじゃなくて?」
「なんだ? 怖気付いたのか? お互い魔人同士だ! 少しくらい怪我しても大丈夫だろう? それとも怖いのか? シルエラちゃん助けて~って泣くか?」
「くそう! 良いだろう。逆に泣かせてやる!」
「ふっ! できるものならやってみろ!」
 安い挑発に乗ってしまったが仕方がない。

「ヤマト様! 頑張ってください!」
「おう、任せて置け!」
 俺にはシルエラがいる。シルエラの応援があれば勝てる!

「では、勝負開始!」
 綾乃さんの合図で勝負が開始される。

 紗弓様は、日本刀を両手で正面に構えている。
 対する俺は、愛用の剣を同じように両手で構える。
 この剣は濃姫様に貰ったものだ。レアイナちゃん曰くいわ結構な業物らしく、刃渡りは長く1.2m程の長剣で、両手持ちを基本として片手でも扱えるバスタードソードまたはロングソードと呼ばれる剣らしい。
 紗弓様の持つ日本刀の刃渡りは約70cm、リーチの差だけならこちらに分がある。だが侍の踏み込みスピードは脅威だ。

 両者、にらみ合ったまま動こうとしない。
 甘いと言われるかもしれないが、女の子と真剣での戦いはしたくなかった。しかも魔人同士だ。正面からまともに斬り合ったら、怪我するどころではない。
 多少の怪我なら自然に治るとはいえ、腕や手を欠損する場合もあるだろう。女の子にそんな怪我を負わせたくないし、俺も痛いのは嫌だ。

 そんなことを考えいると、紗弓様の姿が消えた? と思った瞬間、眼前に電光石火の一撃が迫ってくる。
 くっ! 辛うじて振り下ろされた一撃を剣で受け止める。響きわたる金属音。
 一瞬にして間合いを詰められたのだろう、予想以上の速さだ。

「やるじゃないか!」
 紗弓様が笑みを浮かべる。ヤバいな、あんな一撃くらったらマジでやばいぞ。

 続けざまの斬撃を辛うじて受け止め弾き返す。幾度となく鋼と鋼のぶつかる激しい轟音が辺りに響きわたり、段々とその激しさが増してくる。
 上下、左右、迫りくる全ての剣技が、驚くべき速度と正確さで放たれてくる。

 それらをなんとか凌いで拮抗状態になった時だった。
 紗弓様の持つ日本刀の刀身が赤く光り、炎が刀身を包み込むように燃え広がった。

「何いっ!? 魔法剣か!」
「ああ、私の本気を見せようじゃないか!」
 いや、そんな本気いらないから! マジで怪我じゃ済まないからね。

「参る!」
 そう言った瞬間、炎の輝きを帯びた刀身が迫りくる。
 嫌な感じがしたので、横薙ぎに振られた一撃を剣で受けることなく、バックステップで躱すことにしたのだが、炎が伸びてくる。
 鋭い剣閃を、絶妙な角度で剣で合わせ受け流す。
 紗弓様の炎刀は、方向だけを逸らされ虚しく空を切ることになった。

「これも躱すか!」
「あの、紗弓様今のマジ危ないっすよ!」
「当り前じゃないか! 今更手を抜くつもりもないぞ!」
 うわあぁ・・・マジ大ピンチ!
 考えろ。どうしたらこの場を切り抜けられるかを。

「あのう~ 紗弓様、少しよろしいでしょうか?」
「なんだ! 手加減ならせんぞ!」
「いや、そうじゃなくてですね。もし俺が勝てたら、なにかご褒美とかくれます?」
「ふっ!そうだな。勝負には報酬があった方が面白いな。では、私が勝ったら新作のスイーツをよこせ!」
「俺が勝ったら?」

「まあ、ありえんと思うが、そうだな・・・キスでもしてやろう!」
 マジですか! これはやる気出てきたぞ!

「キスには舌を入れても良いのですか?」
「ばっ! 馬鹿! 良い訳あるか! ほっぺたに決まっておろう!」
 赤面して動揺する紗弓様・・・はは~んこの反応、これは面白くなってきたぞ。

「もしかしてファーストキスとか? だったりします?」
「そ・そんな訳なかろう・・何を言っておるのじゃ」
「じゃあ、処女なの?」
「そんなこときくなぁ! 痴れ者があぁぁ!!」
 くっくっく、良い感じに動揺してくれたな、もう一押しだ。

「オナニーとかしたことは?」
「お・おな・・・」
「あれ~ 紗弓様どうしたのかな~?」

「もういい! 叩き斬ってくれるわ!」
 顔を真っ赤にして、紗弓様が刀を構え直す。
「良いだろう、受けて立つ! そのもらったあぁ!」

「普通それを言うなら『その首』だろ! しかも乳じゃないキスだ! キス!」
 しっかりツッコミを入れてくれる紗弓様、もう戦いの主導権はこっちにある♪
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