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 夏の夜は蒸し暑い。
 奈恵は少し考える。ひどく心細い気持ちだった。

 今、この山の中の祖父母の大きな別荘には4才年上の従兄の圭介しかいない。
 祖父がひどい風邪を引いて、入院したのは昼間のことだ。
 祖母は夕方に一旦帰ってきて、入院の支度をしてもう一度タクシーで出て行った。祖父が肺炎になったと聞いた。

 圭介は高校二年生、今年の春までサッカーの名門校のレギュラー選手だったが、靭帯を傷めて療養中だ。だいぶ治ってきた、と言っていた。外から圭介がリフティングをしている音が聞こえている。
 夕食はお手伝いの人が作ってくれたものをさっき食べた。
 肩まで伸ばした髪がぬれている。その水滴をバスタオルでぬぐいながら、まだ圭介のリフティングの音に耳を向けている。
 圭介は、奈恵にとっては憧れの従兄だった。サッカーが上手く、背が高くて顔も良い。友達一緒にいるときに街中で圭介に会ったときなど、実に自慢できる。

 夜。
 奈恵は、麦茶を飲みにリビングに行った。
 寝室に帰ったときは、そこに圭介が居た。

 「興味は、あるんだろ……?」
奈恵に近づいて圭介は言う。

 おびえたような目を大きく見開いて、小柄な奈恵は圭介を見上げた。
 睫毛が長い。
「お前、可愛いよ」
「圭ちゃん……」
奈恵は声を潤ませていた。そんな少女を、圭介はベッドに座らせた。

 色白で、目が大きい。小さな卵形の顔に形のいい鼻梁と唇が収まっている。奈恵は圭介の目から見てもとびきりの美少女だ。
 圭介は奈恵の隣に座り、細い肩に手をかけた。震えているのがわかる。
 奈恵はピンクのコットンのワンピースをパジャマ代わりに着ていた。
 その薄い布地の上から圭介が胸元を触る。わずかにふくらみがあった。奈恵が呼吸を飲み込んで、その唇が小さく喘いでいた。奈恵の背中のほうから手を回し、両手で、両方の胸を触った。
 触りながら、半ば開いた奈恵の唇に圭介は唇を重ね、舌を絡めてみた。
 まだ膨らみ始めたばかりの胸を、圭介の指先がいろいろな形にしていく。

「や……」
圭介の手が、奈恵のワンピースを引っ張り、裾が腿の辺りに上がっていた。その布の中へと手を入れて、奈恵の胸に圭介は直に触れた。
 こり、と小さな紅い突起を指先で摘む。奈恵が大きく肩を震えさせた。頬が真っ赤になっている。その頬に圭介の熱い吐息がかかった。
 何も言わないまま、圭介が奈恵のワンピースを引っ張って、奈恵の腕を袖から抜き、奈恵を半裸にした。胸の膨らみはまだわずかで、外出のとき以外にはブラをしない。
 奈恵の身体をベッドに仰向けに沈め、圭介はTシャツを脱いでその上に乗り上げて、唇を重ねた。
「う、ん」
唇の中に侵入した舌に、奈恵が反応した。圭介はトランクスとその上のハーフパンツを破りそうなほど彼自身が膨らんでいるのがわかった。

 圭介の右手が、奈恵のショーツの中に入った。
「やぁ……」
小さな声が途切れ途切れに奈恵の唇を割る。小刻みに圭介は手を動かして、奈恵の其処を探った。指先が濡れた。
「……取って、いい?」
おびえたような口調で圭介が言った。奈恵は首を横に振ったが、圭介は黙って奈恵の腰から白い小さな布切れを引きおろし、つま先から抜き取った。息を喘がせながら、奈恵は手で顔を覆った。
「見ないで……」
小さな声で言う。
 圭介はなお無言のまま、奈恵の小さな乳首を口に含み、舌先で堅くなったそれを転がすようにする。同時に手は奈恵の秘所に触れ、徐々に力を入れて、奈恵の中に指を押し込むようにしていた。
「奈恵、すっごい濡れてるぜ」
「ん……ん!」
挑発するような圭介の言葉に首を横に振りながら、なおも奈恵はなすすべも無くただ身体を震わせていた。

 興味はあるだろ、と圭介は言った。奈恵はそれを否定できなかった。確かに、興味はあった。キスをしたり、身体で触れ合うことに、あこがれてはいた。その相手として圭介を想像していたわけではないが、彼に憧れる気持ちも、無いわけではなかった。
「恥ずかしいよ、圭ちゃん……」
それでも怯える気持ちのほうがまだ多量にあった。
 圭介は、酔いしれるような心地のまま、奈恵の身体に触れている。どこもかしこも白くてなめらかで、柔らかだった。
 堅く目を閉じて羞恥に耐えていた奈恵の胸元から、圭介の顔が下降していった。

「やだっ……圭ちゃん!」
ちゅ、と音を立てて圭介が奈恵の濡れた其処を舐めている。
「なんか、奈恵、スゴイな。……こんななんだ」
指の先で奈恵の襞をさすり、時折それを巡り、分泌されるものを舌で受け取る。
「あ……っ!や、ぁ」
小刻みに戦慄しながら、か細い声で奈恵が喘ぎ続けていた。
「うぁ、奈恵、女の子ってホントに濡れるんだな」
「やだぁ……」
「……なんで、こんなに出てくるんだ? これ」
「恥ずかしいったら……! やだ!」
奈恵が腰をくねらせて圭介の舌から逃れようとする。それを捕まえて、また圭介は奈恵に乗り上げ、乳首にキスをした。
「感じる?」
顔を紅潮させながら圭介が訊いた。
「わかんないよ……」
奈恵は、と切れ切れに言いながら首を横に振り続けていた。圭介の指先が奈恵の中に入っていた。
「指、全部入ったよ」
「……あっ」
圭介が指を抜き差しするタイミングにあわせて、奈恵が高い声を出した。歌うようなそのリズムが止まらない。
「……はぁっ、あぁっ」
「聞こえる? ……スゴイ、くちゅくちゅ言ってんの」
「やだぁ……」
「奈恵、俺もう我慢できない」
そういいながら、圭介は自らのそれを取り出し、ハーフパンツのポケットから出したコンドームを着けようとした。
「くそ」
慣れていない。ピタピタとする感触が、指先を逃げる。
 薄ピンクのゴムに覆われたそれを、ようやく奈恵の秘所に擬した。
 手を添えて、奈恵の酷く濡れた部分に導き、ぐ、っと力を込めて押し込もうとした。
「イタイ! やだ、圭ちゃん」
びく、と奈恵が身体を引く。ええ?と愕然となりながら、奈恵の腰を引き寄せて、さらに圭介は力を込めて侵入を進めた。

 奈恵は酷く痛がって身体をゆする。その部分が引き裂かれていくのを感じた。こわごわ眼を向けると、自らの恥ずかしい箇所に、自分の手首のような物が刺さっているように見え、恐怖を覚えた。
「そんなの、無理!」
「ちょっとだから……」
と、適当に奈恵の抵抗をかわしながら、圭介は腰を前後に激しく揺らし、泣き出した奈恵の中へそれを叩きつけていった。彼を阻む通路はあまりに狭くきつい。それでいて彼を半ばほど包んでいる襞の熱さと柔らかさは眼がくらむほど気持ちが良かった。
 う、とうめきながら、圭介は道半ばながら発してしまった。
「はぁ……ぅ」
奈恵はかすれた声でうめきながら、圭介の熱を受け、そして彼が退くのを感じた。
 圭介はそこに居なくなったのだろうが、まだ、どくんどくんと波打つように、その部分が痛んだ。

 シーツの上には血痕が残ってしまっている。
 裸になった奈恵を抱きしめながら、圭介は言う。
「俺、お前のことすっごく好きだ」
 もう一度、と奈恵に手を伸ばしたが、外に車が止まる気配がした。祖母が帰ってきたのだろう。

 圭介はあわてて服を着て、奈恵の部屋を出て、シャワーを浴びようとしていた。
 残された奈恵は、汚れたところを震える手でそっとぬぐい、ベッドを整えて中にもぐりこむ。

 やがて祖母が様子を見に来たが、寝たふりをする。
 つけっぱなしの電灯を、祖母が無言で、消して去った。

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