短編官能集

山代裕春

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紅を引く

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紅を引く…
柔らかな筆が私の唇を撫で、紅く染める。
真剣な眼差しで見つめる貴方、心音が高鳴る。
そして何故か疼く…はしたない…
タレ目の一重、程よい癖の髪、浮き出た鎖骨…
できたと言う貴方、鏡を見るとそこにはいつもと違う私、思わず見惚れてしまう。
刹那、貴方に引き寄せられ口吸いされる。
時間が止まった…
舌が入ってくる…絡む津液がやけに甘い…
舌が離れ貴方を見ると悪い顔。
叩く私を宥め外に出た。
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