しがらみ

山代裕春

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求愛

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……五年後、現在

柳十「…」
五喜「あなたのせいで七ちゃんも…お義母さんもどんな思いしたか知らないでしょ!?」
柳十「……知ってるよ」
五喜「え?」
柳十「かぁちゃん…自殺したんだろ?」
 義母は刑務所に入って三ヶ月後に首を吊って死んだ。
柳十「七音…?だっけ?あいつはいじめられて今引きこもってんだよなぁ?」
五喜「何で知って…」
柳十「あんた馬鹿なの?」
五喜「え?」
柳十「考えてもみろよ?五年間音信不通の俺が何でこの家わかったかをよ」
五喜「………!!」
柳十「お!気がついたみてぇだなぁ?」
 五喜は目を見開き口を覆った、五喜の父は大手企業の部長、そこに派遣として働いていたのが柳十の母、そして父はまだそこで働いている…
五喜「まさか…」
柳十「ははっそのまさか」
 五喜の中で最も悪い考えが浮かんだ。
 もし父と義母が離婚した後、親戚の中で養子縁組を名乗り出た人がいたら…
もし父が会社に入社させたとしたら…
柳十「あいつも馬鹿だよなぁ」
五喜「お父さんを悪く言わないで」
柳十「へーよ」
ひらひらと手を振り、嗤う。
五喜「なにしに来たのよ」
柳十「………知ってるか?」
五喜「え?」
柳十「義姉弟きょうだいでも結婚はできるんだぜ?」
五喜「!!!?」
 悪寒が走る……この瞬間、本能が逃げろと警鐘を鳴らした。
柳十「確か特例?だったか」
五喜「ぁ…」
柳十「既成事実作っちまえば…こっちのもんだろ?」
 にじりよる足に五喜は動けない。
五喜「ぃ、ぃゃ…」
柳十「ねぇちゃん、俺はずーっと一緒にいたかったんだぜ?」
五喜「来ないで!」
柳十「…かぁちゃんに生理のこと聞かされた時…俺思ったんだ……人を大事にできないって…」
五喜「…」
柳十「でも……五喜なら大事にできるっていまは思う…」
五喜「…り、りゅぅ…」
柳十「五喜…」
警察「動くな!!」
 怒声の効いた見知らぬ人の声。
柳十「……ちっ…」
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