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第一章 エレメス・フィーアン
#1 はじまり
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神の大陸、アフェル・アルス。アルス神話と呼ばれる一つの神話の下に存在するこの世界には、様々な力を持った人間が存在した。
アフェル・アルスの西、レンダリア地方。そこに暮らしているのは守護者と呼ばれる、精霊と共に生きる人々だ。これはその、レンダリアの国の一つ、セシリアに暮らす守護者たちの物語。
* * *
──神暦38325年12月29日──
セシリア王国、王都エレメス。その街の中心には王城がそびえ、それを囲むように多くの商店街や多種多様な施設が立ち並んでいる。
華やかな街ではあるものの、それだけに出来る闇もまた濃い。
人が集まるこの街には、犯罪者もまた多く集まった。それを狙った賞金稼ぎもまた多く集まる。その二者の追いかけっこなど日常茶飯事だ。
「待てっ! クソッどこ行きやがった」
「探せ! まだ近くにいるはずだ!」
眼下で物騒な刃物を持った男たちが騒いでいる。そのすぐ横の建物の屋根の上で息を潜めていた男は、彼らが去ったのを見て大きく息を吐いた。
「……はあ、ったく着いて早々追われるなんて……」
息を切らした彼は屋根の上で空を仰ぐ。少し休もうと目を閉じた。
彼の名はエレン・レオノール。26歳。賞金稼ぎに追われるフダツキ、天下を騒がせた大泥棒……だった男だ。懸けられている額は自分でも知らない。
そんな彼が、どうしてこの街へ来たかと言うと……。
「おい! やっと見つけたぞ」
「!」
聞き慣れた声に目を開ける。空の前に見慣れた顔が現れていた。
「……兄貴。どうしてここが」
「あんだけ賞金稼ぎ共が騒いでたら丸分かりだ。お前のことだから上に逃げるだろうって。ったく、だから言ったのに」
「ちょっと別行動しただけでこうなるとは思わないだろ」
エレンは体を起こして目の前の白いコートの男に向かってそう言いながら体を起こした。彼はエレンの二つ上の兄だ。名前はグレン。
「賞金稼ぎの俺の言うことを聞いとけよ。この街のことはよーく知ってるんだからな」
「じゃあ何で知ってる街で迷うんだ?」
「迷ってない。久しぶりに来たら少し変わってて……」
そう言ってグレンは頬をかく。エレンはもう一つ大きなため息を吐いた。自覚はないが兄が方向音痴だということをエレンは確信している。
「カフィさんの家の地図は。……さっさと行こうぜ、上から見た方が分かりやすいんじゃないか?」
「あいつも駅まで迎えに来てくれたら良かったのによ……」
この街に来た理由。それはグレンのかつての仲間、同じ賞金稼ぎであるカフィに呼ばれたからだ。また一緒にやろう、ということだったが。エレンは今はグレンの手伝いのようなことをしているので、それについて来たという形だ。
グレンは携帯を出すと地図を開く。そこには既にピンが刺さっている。それをエレンは奪い取ると地図を小さくして回し、辺りの景色と見比べる。
「……分かった。あっちだな。はぐれるなよ兄貴」
エレンがそう言って顔を上げると、グレンはどこか遠くを見ていた。
「……兄貴?」
「すまねえ、先に行っててくれ」
「は? そしたらお前また迷うじゃねェかよ」
「いいから。先に行け」
「ちょっ、兄貴!」
何の躊躇いもなく、グレンは屋根から飛び降りて行った。エレンがその姿を追うように下を見ると、既にその姿はなかった。
「はっや……」
グレンの身体能力と後先考えなさに呆れのため息を吐くと、エレンは進行方向へ体を向けた。
「……仕方ねェ。行くか」
空を見上げた。風が強い。雲があっという間に流れて行った。
* * *
幸い、屋根伝いに進んだお陰か今度は何事もなくエレンは目的地に着くことが出来た。いかにもシェアハウスという様子の家だった。ここにカフィと、もう一人のグレンの元仲間が暮らしている。
ドアベルを鳴らすより先に、ドアが開いた。中から現れたのは短い茶髪の明朗そうな男だった。彼はエレンの顔を見ると、目を丸くした。
「お、有名人」
「……あの。そういうのいいんで……」
自分の顔を知っているのか少し不安な部分もあったが杞憂だったようだ。この人も賞金稼ぎなら、お尋ね者の自分の顔を知っていても当然だ。
「はは。お前がエレンだな。グレンの弟。ようこそ。……グレンはどうした?」
「ああ、なんか先に行けって言ってどこかに……」
「マジで? あいつ無事に着けるのかな」
兄の方向音痴は周知のようで、エレンは心の中でため息を吐いた。
「まあ上がれよ。寒いしさ」
「はい。お邪魔します」
彼に続いてエレンは家の中に入った。リビングへと導く彼の背を見ながら、エレンはふと口を開いた。
「……兄貴のこと、心配ですか?」
「ん? ……もしかして心読んだ?」
「え、いや。……俺が心の守護者だって知ってるんですか」
「ん、まあね。影と心の守護者なんだってグレンが言ってたからな」
勝手に話すなよ、とエレンは心の中で舌打ちした。
守護者、というのはこのレンダリアに暮らす人間のことである。レンダリアの人間全てが、9つの力のうち一つ、あるいは二つを持って生まれてくる。それは親から継承され、炎の守護者からは炎の守護者しか生まれない。基本的に父親から引き継ぐことが多いようだが、母親の方を引き継ぐことや、稀に両方を引き継いで生まれることがある。そういう者を“デュアルガーディアン”と呼ぶ。エレンもその一人だ。
「というか、俺もうほとんど心の力は使えないですよ。影の力の方ばかり鍛えてるので」
そう。二つの力を持って生まれても、その両方を伸ばすことは出来ない。片方が伸びればもう片方は弱くなってしまうのだ。
「そうか。……じゃあ俺今顔に出てた?」
「まぁ。なんとなく……」
「マジで。まあ……危険とかは心配じゃないけど、今日中にグレンがここに辿り着けるかがなあ」
そう言えばグレンの携帯を持ってきてしまった。まあ地図があろうとなかろうと同じ事だろうと思うが。
「場所は知ってるんですよね?」
「まあ、昔はあいつもここにいたからな」
どか、と彼は部屋の真ん中にあるソファに座った。エレンは促されてその向かいに座る。
「じゃあ改めて。先に自己紹介しとこうかな。俺はカフィ。カフィ・レストロノートだ。まあグレンから聞いてると思うけど。よろしくな」
「エレン・レオノールです。今は兄貴の手伝いをしてます」
「グレンと違って真面目そうな奴だな。はは、気楽にしろよ」
「ありがとうございます……」
とは言え初対面の相手と二人きりは緊張する。もう一人がいないだけまだマシか、と思ってそわそわした心を押さえつける。
(……早く来てくれよ兄貴)
それでも、そう願わざるをえなかった。
* * *
グレンは薄暗い路地で足を止めた。袋小路のその先に、一人の男が背を向けて立っている。彼は一つにまとめた長いブロンドを揺らしながら振り返る。濃い紫のコートが翻り、眼鏡の奥の紫の瞳が細められた。
「追いつかれちゃった。方向音痴の癖に何で追跡はちゃんとできるんだよ。怖い怖い」
「……何でお前がいるんだ、カリサ」
グレンは低い声でそう言うと、カリサと呼ばれた男は笑みを浮かべながら肩を竦めた。
「ご挨拶だな。いいだろ? ここは俺たちの街だったじゃないか。なぁグレン」
「お前は俺たちから離れて去っただろ」
「─────誰のせいだと思ってるんだよ」
カリサの笑みが少し暗くなった。逃げていた彼は、一歩、二歩とグレンへと近づいてくる。
「何で俺がいるかって? 分かり切ってるだろそんなこと。俺は君に会いたかったんだよグレン」
「反吐が出る……」
「それはそうかも。こっちは君を心底憎んでいるわけだし……」
グレンは拳を握りしめ、片足を一歩引いた。その僅かな所作にカリサはわざとらしく身を竦めて見せる。
「おお怖い。短気なのは相変わらずだね」
「悪い予感しかしねェから、お前はここで潰す」
「勘のいいことで。……出来るものならやってみれば」
一瞬で間合いを詰めた。グレンは引き絞った拳を放った。風圧が路地を駆け抜ける。
「⁉」
拳は空を切った。見えなかった驚きにひきつった頬に、微かに風が当たる。
「君はほんとに、相変わらずパワーばかりで笑えるね」
声がしたのは背後だった。背筋を走った悪寒に、グレンは咄嗟に左へ飛び退いた。直後、激しい突風が駆け抜けて窓ガラスと壁を破壊した。
「な……」
「この距離で避けるか。化け物だなあ」
「お前、影の守護者じゃ」
「え? 影と風のデュアルガーディアンだって、言ってなかったっけ。ほら、影だと君と同じだからさあ、胸糞悪くて」
笑うカリサ。その笑みにグレンの身の毛がよだつ。危険だ、コイツは。今、ここで殺すべきだと、そう確信した。
「……覚悟出来てんだろうな」
「ヤだな。悪いけど今日は余興だよ」
「逃げられると思ってんのか?」
「思ってなかったら、ノコノコ出てこないよ」
カリサは肩を竦めてそう言った。
「じゃあね、グレン」
「待てッ!」
カリサを捕まえようとしたグレンの手は、またしても空を切った。後に残るのは、一陣の風。
風の力の、移動系の能力か。一人暗い路地に残され、グレンは何も捉えられなかった左手を見る。
「クソッ……一体何を企んでやがる」
ギリ、と歯が軋む。拳を強く握りしめ、グレンはカリサの消えた空を睨みつけた。
#1 END
To be continued…
アフェル・アルスの西、レンダリア地方。そこに暮らしているのは守護者と呼ばれる、精霊と共に生きる人々だ。これはその、レンダリアの国の一つ、セシリアに暮らす守護者たちの物語。
* * *
──神暦38325年12月29日──
セシリア王国、王都エレメス。その街の中心には王城がそびえ、それを囲むように多くの商店街や多種多様な施設が立ち並んでいる。
華やかな街ではあるものの、それだけに出来る闇もまた濃い。
人が集まるこの街には、犯罪者もまた多く集まった。それを狙った賞金稼ぎもまた多く集まる。その二者の追いかけっこなど日常茶飯事だ。
「待てっ! クソッどこ行きやがった」
「探せ! まだ近くにいるはずだ!」
眼下で物騒な刃物を持った男たちが騒いでいる。そのすぐ横の建物の屋根の上で息を潜めていた男は、彼らが去ったのを見て大きく息を吐いた。
「……はあ、ったく着いて早々追われるなんて……」
息を切らした彼は屋根の上で空を仰ぐ。少し休もうと目を閉じた。
彼の名はエレン・レオノール。26歳。賞金稼ぎに追われるフダツキ、天下を騒がせた大泥棒……だった男だ。懸けられている額は自分でも知らない。
そんな彼が、どうしてこの街へ来たかと言うと……。
「おい! やっと見つけたぞ」
「!」
聞き慣れた声に目を開ける。空の前に見慣れた顔が現れていた。
「……兄貴。どうしてここが」
「あんだけ賞金稼ぎ共が騒いでたら丸分かりだ。お前のことだから上に逃げるだろうって。ったく、だから言ったのに」
「ちょっと別行動しただけでこうなるとは思わないだろ」
エレンは体を起こして目の前の白いコートの男に向かってそう言いながら体を起こした。彼はエレンの二つ上の兄だ。名前はグレン。
「賞金稼ぎの俺の言うことを聞いとけよ。この街のことはよーく知ってるんだからな」
「じゃあ何で知ってる街で迷うんだ?」
「迷ってない。久しぶりに来たら少し変わってて……」
そう言ってグレンは頬をかく。エレンはもう一つ大きなため息を吐いた。自覚はないが兄が方向音痴だということをエレンは確信している。
「カフィさんの家の地図は。……さっさと行こうぜ、上から見た方が分かりやすいんじゃないか?」
「あいつも駅まで迎えに来てくれたら良かったのによ……」
この街に来た理由。それはグレンのかつての仲間、同じ賞金稼ぎであるカフィに呼ばれたからだ。また一緒にやろう、ということだったが。エレンは今はグレンの手伝いのようなことをしているので、それについて来たという形だ。
グレンは携帯を出すと地図を開く。そこには既にピンが刺さっている。それをエレンは奪い取ると地図を小さくして回し、辺りの景色と見比べる。
「……分かった。あっちだな。はぐれるなよ兄貴」
エレンがそう言って顔を上げると、グレンはどこか遠くを見ていた。
「……兄貴?」
「すまねえ、先に行っててくれ」
「は? そしたらお前また迷うじゃねェかよ」
「いいから。先に行け」
「ちょっ、兄貴!」
何の躊躇いもなく、グレンは屋根から飛び降りて行った。エレンがその姿を追うように下を見ると、既にその姿はなかった。
「はっや……」
グレンの身体能力と後先考えなさに呆れのため息を吐くと、エレンは進行方向へ体を向けた。
「……仕方ねェ。行くか」
空を見上げた。風が強い。雲があっという間に流れて行った。
* * *
幸い、屋根伝いに進んだお陰か今度は何事もなくエレンは目的地に着くことが出来た。いかにもシェアハウスという様子の家だった。ここにカフィと、もう一人のグレンの元仲間が暮らしている。
ドアベルを鳴らすより先に、ドアが開いた。中から現れたのは短い茶髪の明朗そうな男だった。彼はエレンの顔を見ると、目を丸くした。
「お、有名人」
「……あの。そういうのいいんで……」
自分の顔を知っているのか少し不安な部分もあったが杞憂だったようだ。この人も賞金稼ぎなら、お尋ね者の自分の顔を知っていても当然だ。
「はは。お前がエレンだな。グレンの弟。ようこそ。……グレンはどうした?」
「ああ、なんか先に行けって言ってどこかに……」
「マジで? あいつ無事に着けるのかな」
兄の方向音痴は周知のようで、エレンは心の中でため息を吐いた。
「まあ上がれよ。寒いしさ」
「はい。お邪魔します」
彼に続いてエレンは家の中に入った。リビングへと導く彼の背を見ながら、エレンはふと口を開いた。
「……兄貴のこと、心配ですか?」
「ん? ……もしかして心読んだ?」
「え、いや。……俺が心の守護者だって知ってるんですか」
「ん、まあね。影と心の守護者なんだってグレンが言ってたからな」
勝手に話すなよ、とエレンは心の中で舌打ちした。
守護者、というのはこのレンダリアに暮らす人間のことである。レンダリアの人間全てが、9つの力のうち一つ、あるいは二つを持って生まれてくる。それは親から継承され、炎の守護者からは炎の守護者しか生まれない。基本的に父親から引き継ぐことが多いようだが、母親の方を引き継ぐことや、稀に両方を引き継いで生まれることがある。そういう者を“デュアルガーディアン”と呼ぶ。エレンもその一人だ。
「というか、俺もうほとんど心の力は使えないですよ。影の力の方ばかり鍛えてるので」
そう。二つの力を持って生まれても、その両方を伸ばすことは出来ない。片方が伸びればもう片方は弱くなってしまうのだ。
「そうか。……じゃあ俺今顔に出てた?」
「まぁ。なんとなく……」
「マジで。まあ……危険とかは心配じゃないけど、今日中にグレンがここに辿り着けるかがなあ」
そう言えばグレンの携帯を持ってきてしまった。まあ地図があろうとなかろうと同じ事だろうと思うが。
「場所は知ってるんですよね?」
「まあ、昔はあいつもここにいたからな」
どか、と彼は部屋の真ん中にあるソファに座った。エレンは促されてその向かいに座る。
「じゃあ改めて。先に自己紹介しとこうかな。俺はカフィ。カフィ・レストロノートだ。まあグレンから聞いてると思うけど。よろしくな」
「エレン・レオノールです。今は兄貴の手伝いをしてます」
「グレンと違って真面目そうな奴だな。はは、気楽にしろよ」
「ありがとうございます……」
とは言え初対面の相手と二人きりは緊張する。もう一人がいないだけまだマシか、と思ってそわそわした心を押さえつける。
(……早く来てくれよ兄貴)
それでも、そう願わざるをえなかった。
* * *
グレンは薄暗い路地で足を止めた。袋小路のその先に、一人の男が背を向けて立っている。彼は一つにまとめた長いブロンドを揺らしながら振り返る。濃い紫のコートが翻り、眼鏡の奥の紫の瞳が細められた。
「追いつかれちゃった。方向音痴の癖に何で追跡はちゃんとできるんだよ。怖い怖い」
「……何でお前がいるんだ、カリサ」
グレンは低い声でそう言うと、カリサと呼ばれた男は笑みを浮かべながら肩を竦めた。
「ご挨拶だな。いいだろ? ここは俺たちの街だったじゃないか。なぁグレン」
「お前は俺たちから離れて去っただろ」
「─────誰のせいだと思ってるんだよ」
カリサの笑みが少し暗くなった。逃げていた彼は、一歩、二歩とグレンへと近づいてくる。
「何で俺がいるかって? 分かり切ってるだろそんなこと。俺は君に会いたかったんだよグレン」
「反吐が出る……」
「それはそうかも。こっちは君を心底憎んでいるわけだし……」
グレンは拳を握りしめ、片足を一歩引いた。その僅かな所作にカリサはわざとらしく身を竦めて見せる。
「おお怖い。短気なのは相変わらずだね」
「悪い予感しかしねェから、お前はここで潰す」
「勘のいいことで。……出来るものならやってみれば」
一瞬で間合いを詰めた。グレンは引き絞った拳を放った。風圧が路地を駆け抜ける。
「⁉」
拳は空を切った。見えなかった驚きにひきつった頬に、微かに風が当たる。
「君はほんとに、相変わらずパワーばかりで笑えるね」
声がしたのは背後だった。背筋を走った悪寒に、グレンは咄嗟に左へ飛び退いた。直後、激しい突風が駆け抜けて窓ガラスと壁を破壊した。
「な……」
「この距離で避けるか。化け物だなあ」
「お前、影の守護者じゃ」
「え? 影と風のデュアルガーディアンだって、言ってなかったっけ。ほら、影だと君と同じだからさあ、胸糞悪くて」
笑うカリサ。その笑みにグレンの身の毛がよだつ。危険だ、コイツは。今、ここで殺すべきだと、そう確信した。
「……覚悟出来てんだろうな」
「ヤだな。悪いけど今日は余興だよ」
「逃げられると思ってんのか?」
「思ってなかったら、ノコノコ出てこないよ」
カリサは肩を竦めてそう言った。
「じゃあね、グレン」
「待てッ!」
カリサを捕まえようとしたグレンの手は、またしても空を切った。後に残るのは、一陣の風。
風の力の、移動系の能力か。一人暗い路地に残され、グレンは何も捉えられなかった左手を見る。
「クソッ……一体何を企んでやがる」
ギリ、と歯が軋む。拳を強く握りしめ、グレンはカリサの消えた空を睨みつけた。
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