会計のチャラ男は演技です!

りんか

文字の大きさ
上 下
12 / 35
転校生

10.雪

しおりを挟む
「んっ、」
雪が声を上げて目を開けると外は明るくなっていて、そばには誰もいなかった。夢だったのかと周りを見渡すとベットの横の棚にお粥と、水と薬の入った箱、それから便箋と異様に膨らんだ封筒が置いてあった

「手紙、?」
[ゆーくんへ
時間なので授業行ってきます。生徒会のお仕事はちゃんとしとくから安心して休んでね!今日一日は絶対安静に!起きたら連絡してねー  
後、封筒の中身見てね、奈緒くんが権力振り回して頑張ったから!      皆より]
「夢じゃなかったんだ」
雪はホッとしたようにそう言い、生徒会メンバーのグループにメッセージを送った


その日の放課
「((ゆーくん!((ゆきゆき!」
「あ、みんな~看病してくれてありがとねぇ~」
全員「………………」
雪の言葉に全員黙った。雪はその様子に首を傾げた

「ゆーくん演技しないで」
「……………分かった」
雪は5人の顔をそれぞれ見てそう言った

「で、何から聞きたい??」
雪は5人に笑いかけながらそう言った

「お前とあいつらの関係は?俺らはお互い干渉しないのが暗黙の了解だったろ」
「幼なじみだよ。幼稚園からの、まさか生徒会と風紀委員で別れるとは思ってなくて、ずっと仲良くしてきたんだよ」
「え?でもあの二人って幼稚園の時もここにいましたよね?それに風紀委員長は1つ年上じゃ」
「幼稚園の時と初等部は僕もいたよ?まぁ、初等部はほとんど通えなくて途中から通わなくなったけど」
「ゆーくんはなんで通わなくなったの?」
「体が弱いっていうか持病があって入退院を繰り返してたんだよ」
その言葉に5人は驚いた顔をした

「じ、びょ、な、に?」
「それは後でね、」
「じゃあ、波留って誰?ゆきゆきの大事な人?」
それを聞かれた時、雪の表情は暗くなった

「うん。大切な人、」
「まさかだがお前の恋人とか?」
会長は冗談めかしにそう言ったが

「だったらなにか?」
雪は少し悲しそうにそう言った。5人は衝撃を受けたように固まった

「波留は僕の恋人だよ。今はもうだった、かもしれないけど」
「それは、その人はもう」
「うん。死んじゃったよ。僕に残ってるのはペンダントだけ、後は、僕の体の中にあるもの」
5人「?」
5人は不思議そうな顔をした

「心ってこと?」
紅葉の言葉に雪は首をふり、シャツのボタンを外し始め、胸のところを5人に見せた。そこには手術痕が残っていた

「僕の、心臓だよ」
「それは、臓器提供ということですか?」
「うん。僕は心臓病で入院してて波留はいつもお見舞いに来てくれてた。でもある日突然、僕の入院していた病院に搬送されてきて、脳死と判定された。その後波留の両親が来て、僕に心臓を提供することにしたと話してくれた。それで僕は波留の心臓をもらって中等部からまたこの学校に戻ってきたんだよ」

「神経質なことを聞いてしまってすみません」
「大丈夫だよ。後、聞きたいことある?」
「あ!ゆきゆきってなんのお仕事してるの?」
「僕も気になる!」
「あぁ、えーとSnow skyって言うお店知ってる?」
「うん!服とかアクセサリーが売ってるお店だよね!」
「僕達よく行くよ!!」
それを聞いて雪は嬉しそうに笑った

「私もよく行きますね………ってまさか、」
「うん。そこ僕が経営とデザインをやってるブランド」
「そうなの!?ゆーくんすごい!」
「ゆきゆきすごい!」
「そんなことないよ。叔父さんにわがまま言って作ってもらったやつだし、」
「す、ごぃ」
「質問はこれくらい?後、聞きたいことない?」
「私は大丈夫です。聞きたいことがあったらまた聞きますね」
「俺もねぇ、まぁ、改めて色々悪かった」
「………………」
「なんだよ」
「いや、会長って謝ることできたんだなぁ~って」
「なんだと雪?お前、ちょっと来い」
「ごめんごめん!!ごめんなさいぃ!」
「かぃ、ちょ、ゆき、いじめ、ちゃ、めっ!」
「いじめてねぇ!」
「そうだよ。ゆーくんいじめちゃダメだよー」
そう言って黄葉は雪に抱きついた

「だからいじめてねぇから!」
その後も1度入った亀裂を埋めるかのように6人は色んな話をしていた。すると
コンコンとノックする音が聞こえた
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談? 本気? 二人の結末は? 美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い

八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。  11/21 登場人物まとめを追加しました。 【第7回BL小説大賞エントリー中】 山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。 この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。 東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。 風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。 しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。 ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。 おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!? そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。 何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから! ※11/12に10話加筆しています。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8) 和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。 この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか? 鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。 もうすぐ主人公が転校してくる。 僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。 これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。 片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~

荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。 弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。 そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。 でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。 そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います! ・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね? 本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。 そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。 お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます! 2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。 2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・? 2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。 2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。

からかわれていると思ってたら本気だった?!

雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生 《あらすじ》 ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。 ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。 葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。 弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。 葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。

処理中です...