嫌われ者の長男

40

瑞輝side
～回想～
俺は人と馴染むものが苦手でいつも一人でいた。この病院に入院した時も
「瑞輝くん。瑞輝くんもこっちで」
ギロッ
「あ、ご、ごめんね」
「はぁまたやっちゃった」
俺は目付きが悪い上に眼力が強い。そのせいで怖がられがちだった。でも岬くんは違った。
今から二年前
「ねぇ君」
（こいつは最近この辺の病棟で患者と遊んでる）
「君いつも1人だね。みんなと遊ばないの？」
「・・・・・俺が行ったらみんな怖がるから」
「ふぅーん」
そいつは岬と言った。なにかする訳でもなく何か言うわけでもなく岬くんは隣にいてくれた。それからちょくちょく来るようになって俺も岬くんと話すようになった。でもなんで来てるのかは教えてくれなかった
「岬くん来ないな」
その時岬くんはしばらく来てなかった。気になって俺はずっと小児科の入口で待ってた
「！岬くん！え、どうしたのその手」
その時あった岬くんは痛々しく腕に包帯を巻いてた
岬「あ、久しぶり。ちょっと怪我してさ」
「そうなんだ。みんな待ってるけど顔出さねぇの？」
岬「・・・・・・久しぶり顔出すかな」
その時岬くんが微妙な顔をしたのを俺は見逃さなかった。でもほかの子供と遊んでるうちに前と同じような表情になった。だからスルーしたんだ。でもその日からだんだん来る回数が増えてって怪我も酷くなっていって、岬くんは作り笑顔を貼り付けるようになった
「岬くん最近元気ないよ？大丈夫？」
「岬お兄ちゃん」
岬「ごめんね。大丈夫だよ」
ほかの子供も心配してたけど大丈夫の一点張り。そんなある日見てしまったんだ岬くんが精神科から出てくるのを
「みさき、くん？」
岬「え、瑞輝くん？なんでここに」
「こっちが聞きたいよ。なんで精神科から出てきたの？」
岬「ちょっとね」
そう言って笑った岬くんの笑顔は作り笑顔じゃなくて嬉しかったり面白くて笑ってるものじゃなくて。悲しみを交えたすごいぎこちない笑顔だった
その日はその後かける言葉が見つからなくてそのまま岬くんを帰してしまった。その後も岬くんはたまに小児科に来て子供と遊ぶことをしてた。でもいつからかフードを被ってるようになった。その理由を知ったのは小さい子が岬くんに乗っかってその時服を引っ張ってフードが取れてしまった。岬くんの顔は痣や切り傷が沢山あって見るも無惨だった
「岬くんその顔」
岬「ごめん。見苦しい顔見せて。驚かせてごめ」
パシンっ
岬くんが頭を撫でようとした女の子は岬くんの手を叩いて言った
「っ、化け物！！近寄らないで！！気持ち悪い！」
「ちょ、おまえ！」
岬「大丈夫。ごめんね怖がらせて」
岬くんはその日から小児科には近寄らなくなった。でも俺やさっきの子達は岬くんが大好きだったから。小児科に来なくなっても岬くんを病院で見つけると一緒に遊んでもらってたんだ。その時弟の話とかもてくれた。そして昨日岬くんが入院したことを聞いて病室に来たら弟さん達がいた
～回想終了～
「それが俺と岬くんと出会った時から今までだよ」