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初めてのキューピッド③
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横長の広大な校舎2階右端の一角を広々と使用した高級宿屋のスイートにも負けない理事長室。
しかし、見るからに高級なものを置くのではなく見る人が見たら高級だとわかる調度品で装飾されている。
「ふぅ……ようやく終わったぁ……んん!」
書類が終わり伸びをしながら時計を見る。時刻は16時。
「数年ぶりに定時で帰れるか……」
疲れで乾燥する目を閉じて、温かいコーヒーを頂く。
厳選した豆を挽き、酸化によって香りが損なわれる前に専属の秘書が入れてくれたコーヒー。
苦くて飲めないのでミルクと砂糖でカフェオレにしてから飲む。
「ああ……」
疲れた時に嗅ぐコーヒーの香りほど、なぜか神経が落ち着く。
ゆったりとした時間が流れる理事長室。
「この時間が何より落ち着く」
仕事に忙殺される日々の中で一仕事終えた後のコーヒーと終業時間をゆったりと待つこの短い時間が何よりも心休まるリサ。
「うおおおお!!」
そんなリサの貴重な時間を壊す叫び声……
「はぁ……今度はなんだ?」
痛み出すこめかみを抑えて振り返る。
「!ヨハネス!」
空中から理事長室の窓に向かってミサイルと化したヨハネスが飛んでくる。
「うああ!……ちくしょう!ーー斬撃(スラッシュ)!」
ヨハネスは窓に衝突する寸前、左腰の鞘からミスリルソードを抜き放ち十字に切り裂く。
通常の魔法士の火炎球なら弾き返す防御魔法付与型強化ガラスが四つに崩れ去る瞬間、ヨハネスが激突……
そのままぶつかっていたらペシャンコだったが、無事に理事長室へと侵入成功。
「ふぅ……なんとかなったぜ」
メガネを外したヨハネスは額の汗を拭う。
*****
ヨハネス突撃前……
演舞場から「空間跳躍(ワープ)」によって理事長室へと移動しようとしたクミだったが途中で思いとどまる。
「よくよく考えたら私が一緒にいたらヨハネスは私の後ろに隠れるな。そんな姿で告白されても私なら絶対にOKしない……」
「ひっ……高い!怖い!下ろして!」
空中から下を眺め、あまりの高さに怯えるヨハネス。
デートだってしたのに誰も相手にしてくれない!って愚痴ってたリサには幸せになってもらいたい
ビビり散らすヨハネスを私は持ち上げて厚底メガネを破壊する。
「てめえ!ふざけんじゃねぇぞ!少しは間を取り持ってくれてもいいじゃねぇか!」
もう一つの人格……怒ってばかりだからヨハネス(怒)とでも名付けよう。が出現する。
よし。こっちの方がまだいい。
しかし、取り持つって言ったってお前の方が私よりリサのことを知ってるだろうに。
「あのな……友人なら知ってると思うけどな!リサだって男経験が浅いんだぞ!付き合うってなったら余裕がなくなる時もあるんだぞ。そんな時はどうしてもお前がリードしなきゃならない。そんな時に今のようにビビり散らして終わるのか?」
ヨハネスの胸元を両手で握って両手で持ち上げて、顔を近づける。
「それじゃ話にならねぇんだよ!メガネ外してもヘタレはかわんねぇのか!ああ!」
感情的になりヨハネスに喝を入れてしまう。
いかんいかん!自分だって人のことを言えた義理ではない……でも、こいつとリサのことを考えるとなんか止まらん!
「……」
何も言い返してこないヨハネス(怒)
「ああ!もういい!行ってこい!」
眼下に見える理事長室の窓に向かって右手に持つヨハネスを振りかぶる。
「おい!ふざけんなじゃねぇ!心の準備ができてねぇんだよ!」
怒鳴るヨハネス。
「そんなの知るかぁ!伝えたい気持ちがあるんだろ!だったら、伝えてこい!しない後悔よりする後悔だ!思い切りやってこい!心配するな!修理費は全部私が持つ!振られたら深酒にだって付き合ってやるから!とにかくいってこい!」
ヨハネスを投げ込む。
「うおおお!」
声を張り上げてヨハネスが理事長室へと飛んでいく。
「頑張ってこいよ!……しかし、あそこまで誰かを好きになれるってのもよく考えたら羨ましいな……」
その後、ヨハネス(怒)が無事に理事長室に突入したのを見届けて演舞場へと戻る。
が、気になって仕方がないクミは理事長室の見える上空へと再び舞い戻る。
*****
「しない後悔よりする後悔……か」
投げられる前にクミからかけられた言葉。
「確かにな。決闘する旅に出た時も勘当同然で家を飛び出して、旅の先で心から添い遂げたい人に出会って…そして……今更だな!ビビってもしょうがねぇ!俺の人生「挑戦」なんだからよ!」
若かりし頃の気持ちを思い出すヨハネス。
「ビビりながらも理事長に気持ちを伝えたいって思いがあったんだ!なら、伝えるしかねぇだろ!砕けたら砕けただ!その時はあの女にやけ酒にでも付き合って貰えばいい……よし!」
ヨハネスはビビる自分に気合を入れる。
陥没した床によって舞い上がる粉塵に包まれる理事長室……徐々に視界が開けていく。
「なんだ?殺気とは違うが闘気を感じるな?昔のリベンジにでも来たのか?……ヨハネス!」
リサはヨハネスに向かってモヤの中を正確に進み、愛刀「雪華」で得意技の「刺突」を放つ。
「さすが「剣姫」だ。ちっとも腕は鈍っていないな……だが!あいつのおかげで少しは成長できたからな!昔と違って見えるぞ!ありがとな!はちゃめちゃ黒髪女!」
昔だったら反応できずにやられていたリサの「刺突」をなんとかミスリルソードの柄部分で受け止める。
「ほう……腕を上げたな!さすがは「剣王」ヨハネス!」
リサはヨハネスの成長を心から喜ぶと共にクミや他の親しい者たちにも見せない笑顔を浮かべる。
「ははは!なぜだろうな!昔からお前との斬り合いが一番心が踊り、胸が高鳴る!嬉しいぞ!」
リサはヨハネスから距離を取り、次の攻撃体勢に入る。
「いくぞ……」
リナの姿が消える。
「「剣姫」オリジナルの高速歩法「瞬」か……後ろ!」
ヨハネスは、背後から迫る自身の心臓を狙った「刺突」……それを右へと一歩動きギリギリ避ける。
「く……」
リサのレイピア「雪華」がヨハネスの左脇を掠めていく。
鞘から解放後は魔力を流し続ける限り、マイナス50度の冷気を纏うので掠めた部分が凍る。
「ほう……」
過去の対戦でクミ以外には誰にも避けられたことのない一撃をギリギリとはいえ交わしたヨハネスを見て思わず笑みがこぼれる。
しかし、今は斬り合いの最中とすぐに切り替え、高速歩法「瞬」にて姿を消す。
「ふぅ……」
ヨハネスは呼吸を整え、ミスリルソードを両手で持ち、侍のように中段で構える。
「……目で追えないなら」
と、視覚を閉ざし、全神経を聴覚に集中させ、相手に位置を悟られまいと高速で移動し続け、微風などの他の音に紛れ隠れるリサの微かな足音を聞き分ける。
「……」
雑音の中に紛れた。心音にも似た微かな足音……
それがヨハネスの背後でいきなり大きな音を奏でる。が、それはヨハネスを騙すためのフェイク。
「本命は……正面!」
ヨハネスの正面に現れたリサは自身最強の刺突「氷天」を放つ。
この刺突を放つ時は魔力をレイピアの許容量最大値まで流し込み、刃の表面温度を一気にマイナス273℃まで落とす。
リサの絶対零度による刺突。
どんなものも凍られせて貫く。
「あなたのその技を真似て密かに完成させた僕の最強技!ーーーー火天!」
中段に構えていたミルリルソードに自身の得意魔力の炎を流し込み、1500℃の熱を纏った剣で刺突を放つ。
「は!」
「はぁ!」
リサのレイピアとヨハネスのミスリルソードの切先が衝突……正反対の温度がぶつかったことで爆発が起こり、2人は後方へと弾け飛ぶ。
「く!」
リサは壁に衝突する寸前になんとか受け身を取って転がり起きる。
「ヨハネス!」
そんなリサの目に理事長室の窓から外に飛び出して地面へと落下していくヨハネスの姿が映る。
「……リサ…さ」
ヨハネスは全力を振り絞ったことで魔力欠乏症となり意識が虚ろ状態……
本来なら完璧な受け身で転落によるダメージをゼロにできるが今は……
「ヨハネス!」
リサは慌てて駆け出す。が、すでにヨハネスの背後には地面が迫っている。
そんな時……
「風の導き(ウインドブロード)!」
ヨハネスの背後に風が集まり受け止める。
「はぁ……やっぱり戻ってきて正解だった」
風によって受け止められたヨハネスの隣にクミが姿を表す。
「ヨハネス!」
そこに理事長室から飛び降りたリサが駆け寄る。
「ああ!無事でよかった!本当によかった!」
リサはヨハネスを抱きしめる。
「ん……リサさん?」
意識を取り戻したヨハネス。
「悪かった!お前との斬り合いが楽しすぎて、つい本気になってしまった!すまない!」
涙を滲ませるリサ。
「いいえ。途中から俺も楽しんでましたからおあいこですよ……」
気にしないでくださいとリサの膝の上で笑うヨハネス。
「ふふ……久しぶりに私も楽しかった。ありがとう」
つられてリサも笑う。
とても良い雰囲気の2人。
「ああ……よかったぁ」
そんな2人を見たクミは胸を撫で下ろす。
「おめでとう。リサ。ヨハネス、ごめん!言いすぎた!」
私は一言だけ謝ると気付かれないように2人の側へ転移して回復薬と魔力ポーションを置いて退散する。
しかし、見るからに高級なものを置くのではなく見る人が見たら高級だとわかる調度品で装飾されている。
「ふぅ……ようやく終わったぁ……んん!」
書類が終わり伸びをしながら時計を見る。時刻は16時。
「数年ぶりに定時で帰れるか……」
疲れで乾燥する目を閉じて、温かいコーヒーを頂く。
厳選した豆を挽き、酸化によって香りが損なわれる前に専属の秘書が入れてくれたコーヒー。
苦くて飲めないのでミルクと砂糖でカフェオレにしてから飲む。
「ああ……」
疲れた時に嗅ぐコーヒーの香りほど、なぜか神経が落ち着く。
ゆったりとした時間が流れる理事長室。
「この時間が何より落ち着く」
仕事に忙殺される日々の中で一仕事終えた後のコーヒーと終業時間をゆったりと待つこの短い時間が何よりも心休まるリサ。
「うおおおお!!」
そんなリサの貴重な時間を壊す叫び声……
「はぁ……今度はなんだ?」
痛み出すこめかみを抑えて振り返る。
「!ヨハネス!」
空中から理事長室の窓に向かってミサイルと化したヨハネスが飛んでくる。
「うああ!……ちくしょう!ーー斬撃(スラッシュ)!」
ヨハネスは窓に衝突する寸前、左腰の鞘からミスリルソードを抜き放ち十字に切り裂く。
通常の魔法士の火炎球なら弾き返す防御魔法付与型強化ガラスが四つに崩れ去る瞬間、ヨハネスが激突……
そのままぶつかっていたらペシャンコだったが、無事に理事長室へと侵入成功。
「ふぅ……なんとかなったぜ」
メガネを外したヨハネスは額の汗を拭う。
*****
ヨハネス突撃前……
演舞場から「空間跳躍(ワープ)」によって理事長室へと移動しようとしたクミだったが途中で思いとどまる。
「よくよく考えたら私が一緒にいたらヨハネスは私の後ろに隠れるな。そんな姿で告白されても私なら絶対にOKしない……」
「ひっ……高い!怖い!下ろして!」
空中から下を眺め、あまりの高さに怯えるヨハネス。
デートだってしたのに誰も相手にしてくれない!って愚痴ってたリサには幸せになってもらいたい
ビビり散らすヨハネスを私は持ち上げて厚底メガネを破壊する。
「てめえ!ふざけんじゃねぇぞ!少しは間を取り持ってくれてもいいじゃねぇか!」
もう一つの人格……怒ってばかりだからヨハネス(怒)とでも名付けよう。が出現する。
よし。こっちの方がまだいい。
しかし、取り持つって言ったってお前の方が私よりリサのことを知ってるだろうに。
「あのな……友人なら知ってると思うけどな!リサだって男経験が浅いんだぞ!付き合うってなったら余裕がなくなる時もあるんだぞ。そんな時はどうしてもお前がリードしなきゃならない。そんな時に今のようにビビり散らして終わるのか?」
ヨハネスの胸元を両手で握って両手で持ち上げて、顔を近づける。
「それじゃ話にならねぇんだよ!メガネ外してもヘタレはかわんねぇのか!ああ!」
感情的になりヨハネスに喝を入れてしまう。
いかんいかん!自分だって人のことを言えた義理ではない……でも、こいつとリサのことを考えるとなんか止まらん!
「……」
何も言い返してこないヨハネス(怒)
「ああ!もういい!行ってこい!」
眼下に見える理事長室の窓に向かって右手に持つヨハネスを振りかぶる。
「おい!ふざけんなじゃねぇ!心の準備ができてねぇんだよ!」
怒鳴るヨハネス。
「そんなの知るかぁ!伝えたい気持ちがあるんだろ!だったら、伝えてこい!しない後悔よりする後悔だ!思い切りやってこい!心配するな!修理費は全部私が持つ!振られたら深酒にだって付き合ってやるから!とにかくいってこい!」
ヨハネスを投げ込む。
「うおおお!」
声を張り上げてヨハネスが理事長室へと飛んでいく。
「頑張ってこいよ!……しかし、あそこまで誰かを好きになれるってのもよく考えたら羨ましいな……」
その後、ヨハネス(怒)が無事に理事長室に突入したのを見届けて演舞場へと戻る。
が、気になって仕方がないクミは理事長室の見える上空へと再び舞い戻る。
*****
「しない後悔よりする後悔……か」
投げられる前にクミからかけられた言葉。
「確かにな。決闘する旅に出た時も勘当同然で家を飛び出して、旅の先で心から添い遂げたい人に出会って…そして……今更だな!ビビってもしょうがねぇ!俺の人生「挑戦」なんだからよ!」
若かりし頃の気持ちを思い出すヨハネス。
「ビビりながらも理事長に気持ちを伝えたいって思いがあったんだ!なら、伝えるしかねぇだろ!砕けたら砕けただ!その時はあの女にやけ酒にでも付き合って貰えばいい……よし!」
ヨハネスはビビる自分に気合を入れる。
陥没した床によって舞い上がる粉塵に包まれる理事長室……徐々に視界が開けていく。
「なんだ?殺気とは違うが闘気を感じるな?昔のリベンジにでも来たのか?……ヨハネス!」
リサはヨハネスに向かってモヤの中を正確に進み、愛刀「雪華」で得意技の「刺突」を放つ。
「さすが「剣姫」だ。ちっとも腕は鈍っていないな……だが!あいつのおかげで少しは成長できたからな!昔と違って見えるぞ!ありがとな!はちゃめちゃ黒髪女!」
昔だったら反応できずにやられていたリサの「刺突」をなんとかミスリルソードの柄部分で受け止める。
「ほう……腕を上げたな!さすがは「剣王」ヨハネス!」
リサはヨハネスの成長を心から喜ぶと共にクミや他の親しい者たちにも見せない笑顔を浮かべる。
「ははは!なぜだろうな!昔からお前との斬り合いが一番心が踊り、胸が高鳴る!嬉しいぞ!」
リサはヨハネスから距離を取り、次の攻撃体勢に入る。
「いくぞ……」
リナの姿が消える。
「「剣姫」オリジナルの高速歩法「瞬」か……後ろ!」
ヨハネスは、背後から迫る自身の心臓を狙った「刺突」……それを右へと一歩動きギリギリ避ける。
「く……」
リサのレイピア「雪華」がヨハネスの左脇を掠めていく。
鞘から解放後は魔力を流し続ける限り、マイナス50度の冷気を纏うので掠めた部分が凍る。
「ほう……」
過去の対戦でクミ以外には誰にも避けられたことのない一撃をギリギリとはいえ交わしたヨハネスを見て思わず笑みがこぼれる。
しかし、今は斬り合いの最中とすぐに切り替え、高速歩法「瞬」にて姿を消す。
「ふぅ……」
ヨハネスは呼吸を整え、ミスリルソードを両手で持ち、侍のように中段で構える。
「……目で追えないなら」
と、視覚を閉ざし、全神経を聴覚に集中させ、相手に位置を悟られまいと高速で移動し続け、微風などの他の音に紛れ隠れるリサの微かな足音を聞き分ける。
「……」
雑音の中に紛れた。心音にも似た微かな足音……
それがヨハネスの背後でいきなり大きな音を奏でる。が、それはヨハネスを騙すためのフェイク。
「本命は……正面!」
ヨハネスの正面に現れたリサは自身最強の刺突「氷天」を放つ。
この刺突を放つ時は魔力をレイピアの許容量最大値まで流し込み、刃の表面温度を一気にマイナス273℃まで落とす。
リサの絶対零度による刺突。
どんなものも凍られせて貫く。
「あなたのその技を真似て密かに完成させた僕の最強技!ーーーー火天!」
中段に構えていたミルリルソードに自身の得意魔力の炎を流し込み、1500℃の熱を纏った剣で刺突を放つ。
「は!」
「はぁ!」
リサのレイピアとヨハネスのミスリルソードの切先が衝突……正反対の温度がぶつかったことで爆発が起こり、2人は後方へと弾け飛ぶ。
「く!」
リサは壁に衝突する寸前になんとか受け身を取って転がり起きる。
「ヨハネス!」
そんなリサの目に理事長室の窓から外に飛び出して地面へと落下していくヨハネスの姿が映る。
「……リサ…さ」
ヨハネスは全力を振り絞ったことで魔力欠乏症となり意識が虚ろ状態……
本来なら完璧な受け身で転落によるダメージをゼロにできるが今は……
「ヨハネス!」
リサは慌てて駆け出す。が、すでにヨハネスの背後には地面が迫っている。
そんな時……
「風の導き(ウインドブロード)!」
ヨハネスの背後に風が集まり受け止める。
「はぁ……やっぱり戻ってきて正解だった」
風によって受け止められたヨハネスの隣にクミが姿を表す。
「ヨハネス!」
そこに理事長室から飛び降りたリサが駆け寄る。
「ああ!無事でよかった!本当によかった!」
リサはヨハネスを抱きしめる。
「ん……リサさん?」
意識を取り戻したヨハネス。
「悪かった!お前との斬り合いが楽しすぎて、つい本気になってしまった!すまない!」
涙を滲ませるリサ。
「いいえ。途中から俺も楽しんでましたからおあいこですよ……」
気にしないでくださいとリサの膝の上で笑うヨハネス。
「ふふ……久しぶりに私も楽しかった。ありがとう」
つられてリサも笑う。
とても良い雰囲気の2人。
「ああ……よかったぁ」
そんな2人を見たクミは胸を撫で下ろす。
「おめでとう。リサ。ヨハネス、ごめん!言いすぎた!」
私は一言だけ謝ると気付かれないように2人の側へ転移して回復薬と魔力ポーションを置いて退散する。
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