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メイナスブラウン②
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朝一番でメイスにボロボロにされてからは、手当を受けて少し休んでから、小屋の前でひたすらに素振りをする。1日1万回。
「頑張っていればいつか僕のことをみんな認めてくれるはず!1、2、3……」
僕はひたすらに木剣を振るう。
お会いした事はないけど、僕のお爺さんもスキル、称号なしで生まれ、僕と同じくこの離れで隠されるように育てられたそう。
しかし、たゆまぬ努力の末に次期当主だった弟を決闘で倒し、当主の座を勝ち取った。
「それはもうすごかったぞ!」
と、庭師のジョンが自分の過去を話すように眠る前に僕に語ってくれた。
「すごい!僕も頑張れば!」
その話を聞いた僕は興奮冷めず、不眠の日々が続いた。
「僕だって!頑張っていれば絶対におじいさんのようになれる!」
8年間、365日休まずに木剣を振り続けてきた。
気合いを入れ直して、9000回目を振おうとした時、僕の背後から、
「隙あり!」
10代になったばかりの少女特有の透明感のある声。しかし、負けん気の強さが、根底にあることが耳から伝わると同時に……
「ぎゃあああ!!!」
お尻から伝わる激しい痛み。
僕は耐えられずにお尻を押さえて飛び跳ねる。
「あははは!いい飛び跳ね具合ね!」
そんな僕を見て、お腹を抱えて笑う少女。
「あははは!」
前傾姿勢になった事で、肩でせき止められていた水色の長髪が、さらさらと前に流れる。
「……」
顔は特別可愛いと言うわけではない。しかし、明るく魅力的な笑顔、陽光で宝石のように輝き、風によってゆらめく水色の髪、シルクのハンカチのようにきめの細かい肌……
僕は思わず見とれてしまう。お尻を押さえながら……ジッと見つめる。
「……もう!そんなに見つめられたら……」
笑顔を浮かべていた少女は顔を赤く染め、うつむいてしまう。
最後は消え入りそうな声で何を言っているのか聞き取れなかった。
「……あ!ご、ごめん!ナタリーの笑顔につい見とれちゃって!」
彼女の可愛らしい反応にこちらも照れてしまい、ついを本音を伝えてしまった。お尻から手を離して。
「……」
下を見たままのナタリーの体が震え出す。
「……あ!ご、ごめん!」
怒らせてしまったと思った僕は、彼女に謝る。
彼女は「ふぅ……」と一息つくと、顔を上げる。
「いいよ。別に怒ってるわけじゃないから」
さっきまでと変わらない明るい彼女の微笑み。
それを見て僕は胸を撫で下ろす。
「さて!今日は何して遊ぼっか!」
それから彼女の微笑みは弾け、声の音量も上がる。
初めて会った5歳の時から変わらない笑顔。
向けられるこちらもついつい笑ってしまいたくなる不思議な力を持っている。
そんな彼女の笑顔の引力に逆らえず、僕の顔も自然と緩んでいく。
「そうだね……まずは」
わざと迷う振りをする。
「なになに!追いかけっこ!追いかけっこだよね!」
今にも森の中へと走り出そうとするナタリー。
その顔は期待に満ちている。
僕はその期待に……
「素振り!残りをやっちゃわないと!」
応えることはなく。後1000回残っている素振りを始める。
「ええ!!」
露骨に落胆するナタリー。
「……しょうがない。早く終わらせてね」
彼女は地面に腰掛け、僕の素振りを見守る。
「後1分で終わらせてね!」
結構な無茶振りを口にしてくれる。
でも、彼女と過ごす時間はとても心地よい
「こんな時間がずっと続けばいいな……」
僕たちに自覚はないが、2人の声が自然と重なり、互いの声が耳に届く前に地面へと落下し、消えていく。
「大丈夫!頑張っていれば必ずなんとかなる!」
僕は、不安を払拭するように自身に言い聞かせ、素振りの速度を上げる。
「頑張っていればいつか僕のことをみんな認めてくれるはず!1、2、3……」
僕はひたすらに木剣を振るう。
お会いした事はないけど、僕のお爺さんもスキル、称号なしで生まれ、僕と同じくこの離れで隠されるように育てられたそう。
しかし、たゆまぬ努力の末に次期当主だった弟を決闘で倒し、当主の座を勝ち取った。
「それはもうすごかったぞ!」
と、庭師のジョンが自分の過去を話すように眠る前に僕に語ってくれた。
「すごい!僕も頑張れば!」
その話を聞いた僕は興奮冷めず、不眠の日々が続いた。
「僕だって!頑張っていれば絶対におじいさんのようになれる!」
8年間、365日休まずに木剣を振り続けてきた。
気合いを入れ直して、9000回目を振おうとした時、僕の背後から、
「隙あり!」
10代になったばかりの少女特有の透明感のある声。しかし、負けん気の強さが、根底にあることが耳から伝わると同時に……
「ぎゃあああ!!!」
お尻から伝わる激しい痛み。
僕は耐えられずにお尻を押さえて飛び跳ねる。
「あははは!いい飛び跳ね具合ね!」
そんな僕を見て、お腹を抱えて笑う少女。
「あははは!」
前傾姿勢になった事で、肩でせき止められていた水色の長髪が、さらさらと前に流れる。
「……」
顔は特別可愛いと言うわけではない。しかし、明るく魅力的な笑顔、陽光で宝石のように輝き、風によってゆらめく水色の髪、シルクのハンカチのようにきめの細かい肌……
僕は思わず見とれてしまう。お尻を押さえながら……ジッと見つめる。
「……もう!そんなに見つめられたら……」
笑顔を浮かべていた少女は顔を赤く染め、うつむいてしまう。
最後は消え入りそうな声で何を言っているのか聞き取れなかった。
「……あ!ご、ごめん!ナタリーの笑顔につい見とれちゃって!」
彼女の可愛らしい反応にこちらも照れてしまい、ついを本音を伝えてしまった。お尻から手を離して。
「……」
下を見たままのナタリーの体が震え出す。
「……あ!ご、ごめん!」
怒らせてしまったと思った僕は、彼女に謝る。
彼女は「ふぅ……」と一息つくと、顔を上げる。
「いいよ。別に怒ってるわけじゃないから」
さっきまでと変わらない明るい彼女の微笑み。
それを見て僕は胸を撫で下ろす。
「さて!今日は何して遊ぼっか!」
それから彼女の微笑みは弾け、声の音量も上がる。
初めて会った5歳の時から変わらない笑顔。
向けられるこちらもついつい笑ってしまいたくなる不思議な力を持っている。
そんな彼女の笑顔の引力に逆らえず、僕の顔も自然と緩んでいく。
「そうだね……まずは」
わざと迷う振りをする。
「なになに!追いかけっこ!追いかけっこだよね!」
今にも森の中へと走り出そうとするナタリー。
その顔は期待に満ちている。
僕はその期待に……
「素振り!残りをやっちゃわないと!」
応えることはなく。後1000回残っている素振りを始める。
「ええ!!」
露骨に落胆するナタリー。
「……しょうがない。早く終わらせてね」
彼女は地面に腰掛け、僕の素振りを見守る。
「後1分で終わらせてね!」
結構な無茶振りを口にしてくれる。
でも、彼女と過ごす時間はとても心地よい
「こんな時間がずっと続けばいいな……」
僕たちに自覚はないが、2人の声が自然と重なり、互いの声が耳に届く前に地面へと落下し、消えていく。
「大丈夫!頑張っていれば必ずなんとかなる!」
僕は、不安を払拭するように自身に言い聞かせ、素振りの速度を上げる。
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