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B級モンスターバジリスクについてギルマスからの手紙

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B級モンスターバジリスク

体長6m    コブラ型魔獣
記録されている最大の個体は10m。
湿り気のある洞穴を好んで棲み家とする。
数年に一度住処を変える。
縄張り意識が強く侵入者には容赦しない。
目はなく気配探知により獲物の位置を把握。
巻きつき、噛みつき、槍の様に硬い尻尾による刺突が基本攻撃となる。
しかしHPが半分以下になると毒霧を放つ。
毒霧には3種類あり、麻痺毒、強酸性の毒、幻覚毒がある。
それぞれ麻痺毒は紫、強酸性の毒は緑、幻覚毒は青と色により識別することができるが、そもそも毒を使われると大抵の戦闘場所は洞穴となるためバジリスクを一撃で仕留めるか外へ誘き出さない限り毒を吸い込みバジリスクの餌となってしまう。なお、一撃で仕留める場合は人間で言う眉間の位置がクリティカルポイントとなる。
しかし動きが速い為、素早さ500に達した者でないとまず追いつくこと自体が困難となる。
以上が対バジリスクにおいての注意点だ。
健闘を祈る。

              byギルマス


PS
バジリスクの血にも毒があるから気をつけてね。
それに洞穴もなんかネチョネチョしてるから討伐後は石鹸で体を洗ってください。
各種お風呂セット、お着替え、おタオルはエーさんに渡しました。
無事に帰ってきてくださいね。

              byギルマス


PS
それからしっかりと毒消し草、ハンカチ、ティッシュ、代えの下着、着替え、歯ブラシ、寝具は持ちましたか?それとお弁当、ポーション、マジックポーションは持ちましたか?心配です。
全てまとめてエーさんに渡しました。
ご無事の帰還をお祈り申し上げます。

              byギルマス



「……だそうです」
「お母さん!?」

 全く、あのギルマスは顔と性格が一致せんのよ。黙っている時は歴戦の猛者って感じなのに喋るとなぜお母さんぽくなるんだ?
 まあ、嫌いではないけど……

「お弁当はギルマスお手製のものを50日分、ポーションは200本、マジックポーションは300本と着替えは60日分、それからミスリルの全身鎧10コ、ミスリルの盾10コ、ミスリルソード30本」

「あたしらはこれから魔王退治にでも行くんか!はぁ……あのギルマスは優しいのはいいんだけど過保護すぎる」

 私とエーさんは現在カーティスの街から東南に走って2日の距離にあるコロネ村を目指して街道を爆進中。
 エーさんのステータス強化(極)、素早さを上げる強化魔法クイックにより馬の倍の速さで走行中、目的の村まで半日でつきそうなペース。

「ステータス強化(極)なんて王都にいる大賢者しか使える人がいないのに。それに加えてクイックて……エーさん誇っていいよ?歴史に名を刻んだ方がいいよ?彫刻刀で深く最強の聖剣エクスカリバーって刻んだほうがいいよ?」

 本当に刻んだほうがいい。魔法だけじゃなくて戦闘力もおそらく素でA級冒険者以上はある。

「いえ、私なんてまだまだです。ハイクイックはもちろんテレポートやワープだって使えませんから。日々精進して1ヶ月後には使えるようになります!」

 意気込むエーさん。
 あなたが口にした魔法全てが伝説級の魔法なのよ。
 王都の大賢者も逃げ出すレベルなのよ。
 
「エーさんや。あんたは一体どこを目指してんだい?」

 と思わず聞いてしまった。

「はい!なれと言われれば神にでも!」

「……あ、うん。なんか半年後に神々しい姿のエーさんが世界を導いている姿が思い浮かんだわ」

 て言うかこんなの支援魔法をかけてますって言われなきゃ自分が強くなったと勘違いするわな。勇者、乙!

 と、エーさんと戯れ合っていると林道を超えた先に目的の村らしきものが見えた。

 コロネ村。
 カーティスの街で冒険者をしていたが年齢や怪我、病により復職できず引退した人々が集まりできた村。
 総人口100名、村の周囲を太い木壁が覆い自警団が村の平和を守る。
 ほとんどが元冒険者ということもありD級冒険者と同等の強さを誇る住民が多数存在。

「村人一人一人が単体でオークを倒せる村って……」

「なかなかに個性的な村ですね」

 個性的という言葉で片付けて良いのか?
 武力最強の村じゃん。

 そんな時コロネ村の方からドガァァン!と何かが炸裂した轟音と揺れが、
 しばらくしてから煙が上がる。

「なんかただごとじゃ無い雰囲気」

「そう見たいです。村の入り口にC級モンスターヘルハウンド百体が村人と交戦しています」

「ヘルハウンド百体か。やっか……って、村まで1キロくらいはあるのに見えるの?!」

「?視力強化すれば誰でもできること」

「いや、できんから!できても見える範囲は数百メートル先が少し鮮明に見えるくらいだから!」

「はぁ、そういうものですか」

「そういうものです!」

 はぁ……なんていう規格外ぶり。
 驚かされてばかりで少し疲れてきた。

「って、いけないいけない!エーさん。少し速度を上げるよ」

「わかりました」

 あたしとエーさんは村に向けて街道をかける。
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