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「もう大丈夫だ」
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「さあ、教会へ行きますよ」
オールバックのおっさんが笑顔でそう言うと、
「っ!」
サンはビクンと反応してさらに震え出した。
"なにが可笑しいんだ!テメェ!"
小さかった俺と遊んで笑っていただけなのに、それが気に食わなくてクソ親父は母ちゃんに暴力を振るった。そして怯える母ちゃんを見て笑った。
「……」
オールバックのおっさんとサンがどんな関係かは知らない。ただ見ていて思うのは、
「胸くそわりぃ」
っていうこと。
パキッと指を鳴らした。それからサンを引っ張って王都の中へと歩いていくオールバックのおっさんを目指して足を動かした。
"いいか?お前は俺の言うことだけを聞いてりゃいいんだ"
クソ親父は笑った後にいつもそう言って愉快そうにパチンコへ行った。母ちゃんはそんなクソ親父が怖くて怯えていることが多かった。だから、大好きな母ちゃんが泣かなくてもいいように俺は守りたかった。だけど、いつもいつも小さかった俺は一発もらうと気絶しちまって……。
"私の背中を押してくれてありがとう"
旅を始めたばかりの頃、無表情だったサンからは想像もできない明るい笑顔だった。どんな心境の変化があったか分からない。ただあの時以降、サンは楽しそうにしていた。何かを話すたびに笑っていた。
「勇者ごときが……教皇様に近づくな!」
ハンスが相手にしていた5人の騎士のうち3人が同時に切り掛かってきた。
「きゃあああ!!」
逃げ惑う人達の間をすり抜けるようにして一瞬にして30メートルの距離を詰めて、
「身の程を弁えろ!」
ほぼ同時に3本の剣が頭上から振り下ろされた。その速度はかなりのもので、以前までの俺だったら目で追い切れずに切られていた。
「うるさい」
だけど、魔王軍四天王「暴乱」のブギとの戦闘を経験した今の俺には止まって見えた。
「な!?」
振り下ろされた剣が俺に直撃する前に3人の剣を砕いた。それからすぐさま3人のみぞおちに拳を深くめり込ませた。
「ぐはっ!」
3人の聖騎士はそれぞれ吐血しながら後方へと飛んでいった。
「な、なんという……聖教会最強の5騎士が一瞬にして3人も?!」
一連の出来事を見ていたオールバックのおっさんは足を止めて驚いていた。
「これが勇者の実力……素晴らしい!」
それからしばらくしておっさんは驚愕の顔のまま笑みを浮かべて拍手しながら、
「君が強いことはよくわかった。だが」
余裕の態度を崩さず
「分かっているのか?私が誰かを」
一歩前へと出た。得意気な顔で。高そうな修道服を、胸元の十字架を見せつけるように。そんなおっさんの様子や周りの奴らの反応からかなり立場の高いおっさんなんだと流石の俺でもわかった。
「知らねえよ。誰だよお前」
ただ今の俺にそんなこと関係ないと距離を詰めながらひと睨み。
「わ、私は聖教会21代教皇のマイヤ・ローウェンだ!人族国家群の中でも最高権力者の教皇だ!それ以上近づくな!無礼だぞ!」
そんな俺に対して慌て出したおっさんは後退りながら唾を飛ばしながら必死で喋り出した。
「悪いな。育ちがわりーから何言ってんのかわかんねえ。もっと俺にもわかるように言ってくれ……よ!」
おっさんとの距離を詰めた俺はサンの肩に置かれたおっさんの腕を拳で粉砕した。
「あっ……がぁぁぁ!!私の腕がぁぁ!!」
原型を留めない右腕を抑えてサンが離れたので震えるサンを抱きしめた。
「もう大丈夫だ」
と。すると、サンの震えは途端に落ち着き、俺の背中に腕を回して抱きしめ返してきた。
「あ、ありがとう」
消え入りそうな、か細い声で感謝された。
「おう」
オールバックのおっさんが笑顔でそう言うと、
「っ!」
サンはビクンと反応してさらに震え出した。
"なにが可笑しいんだ!テメェ!"
小さかった俺と遊んで笑っていただけなのに、それが気に食わなくてクソ親父は母ちゃんに暴力を振るった。そして怯える母ちゃんを見て笑った。
「……」
オールバックのおっさんとサンがどんな関係かは知らない。ただ見ていて思うのは、
「胸くそわりぃ」
っていうこと。
パキッと指を鳴らした。それからサンを引っ張って王都の中へと歩いていくオールバックのおっさんを目指して足を動かした。
"いいか?お前は俺の言うことだけを聞いてりゃいいんだ"
クソ親父は笑った後にいつもそう言って愉快そうにパチンコへ行った。母ちゃんはそんなクソ親父が怖くて怯えていることが多かった。だから、大好きな母ちゃんが泣かなくてもいいように俺は守りたかった。だけど、いつもいつも小さかった俺は一発もらうと気絶しちまって……。
"私の背中を押してくれてありがとう"
旅を始めたばかりの頃、無表情だったサンからは想像もできない明るい笑顔だった。どんな心境の変化があったか分からない。ただあの時以降、サンは楽しそうにしていた。何かを話すたびに笑っていた。
「勇者ごときが……教皇様に近づくな!」
ハンスが相手にしていた5人の騎士のうち3人が同時に切り掛かってきた。
「きゃあああ!!」
逃げ惑う人達の間をすり抜けるようにして一瞬にして30メートルの距離を詰めて、
「身の程を弁えろ!」
ほぼ同時に3本の剣が頭上から振り下ろされた。その速度はかなりのもので、以前までの俺だったら目で追い切れずに切られていた。
「うるさい」
だけど、魔王軍四天王「暴乱」のブギとの戦闘を経験した今の俺には止まって見えた。
「な!?」
振り下ろされた剣が俺に直撃する前に3人の剣を砕いた。それからすぐさま3人のみぞおちに拳を深くめり込ませた。
「ぐはっ!」
3人の聖騎士はそれぞれ吐血しながら後方へと飛んでいった。
「な、なんという……聖教会最強の5騎士が一瞬にして3人も?!」
一連の出来事を見ていたオールバックのおっさんは足を止めて驚いていた。
「これが勇者の実力……素晴らしい!」
それからしばらくしておっさんは驚愕の顔のまま笑みを浮かべて拍手しながら、
「君が強いことはよくわかった。だが」
余裕の態度を崩さず
「分かっているのか?私が誰かを」
一歩前へと出た。得意気な顔で。高そうな修道服を、胸元の十字架を見せつけるように。そんなおっさんの様子や周りの奴らの反応からかなり立場の高いおっさんなんだと流石の俺でもわかった。
「知らねえよ。誰だよお前」
ただ今の俺にそんなこと関係ないと距離を詰めながらひと睨み。
「わ、私は聖教会21代教皇のマイヤ・ローウェンだ!人族国家群の中でも最高権力者の教皇だ!それ以上近づくな!無礼だぞ!」
そんな俺に対して慌て出したおっさんは後退りながら唾を飛ばしながら必死で喋り出した。
「悪いな。育ちがわりーから何言ってんのかわかんねえ。もっと俺にもわかるように言ってくれ……よ!」
おっさんとの距離を詰めた俺はサンの肩に置かれたおっさんの腕を拳で粉砕した。
「あっ……がぁぁぁ!!私の腕がぁぁ!!」
原型を留めない右腕を抑えてサンが離れたので震えるサンを抱きしめた。
「もう大丈夫だ」
と。すると、サンの震えは途端に落ち着き、俺の背中に腕を回して抱きしめ返してきた。
「あ、ありがとう」
消え入りそうな、か細い声で感謝された。
「おう」
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