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作戦決行
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「600……ちょうど10分だな」
組んでいた腕を解き、目を開いてブギはゆっくりと拳を構えた。
「ふぅぅ……行くぞ」
そう口にした瞬間、ブギは姿を消した。
「……」
一つでも判断を間違えれば即死……そんな緊張感から呼吸を忘れて硬直する身体へ新しい空気を取り込み吐き出す。
「来た!」
「ははは!さあ、どう対処する!」
笑顔のブギは私の前で大楯を構えるハンスへと右拳を振りかぶり、遠くへボールを投げるみたいに放った。
「くっ!」
目に止まらぬ速さで放たれるブギの右拳。だけど、大きく振りかぶるために放たれるまでの間にできた少しの間でハンスは身体を屈めて避けた。
「ははは!よく避けた!だが、次はどうかな?」
そんなハンスの顎めがけて今度は左拳を下から上へ大きく振り上げた。
「くっ!」
ブギの下からの攻撃に対してハンスは大盾を巧みに使い受け流した。
(ここまでは予想通り)
隣に立つワタルと頷き合い、タイミングを測る。
(攻撃パターンの共通点から動きが予想できた。でも、問題はここから)
私の予想が外れていたら作戦の全てが崩れ去る。分析結果から間違いはないと思う。だけど、万が一ということもある。
(お願い)
と心の中で祈る。あっていて下さいと。
「ははは!やるな!」
上機嫌に笑うブギは振り上げた拳の勢いのままに右足を軸にして身体を右回転させた。
(っ!)
当たった。私の予測が……私は驚きのあまりに、
「当たった!」
つい声に出してしまった。
「シールドバッシュ!」
私と同じく驚き顔のハンスはそれでも事前に打ち合わせた通りにブギへ向かって大盾を構えたまま体当たりした。
「ムッ!」
ハンスの体当たりで体勢を崩したブギは倒れまいと、
「ふん!」
と左足を前に出して踏ん張った。
(できた!)
それは明確な隙。体勢を立て直そうと私たちの方へ向き直った瞬間、
「聖なる光(ホーリーライト)!」
ブギとの距離を詰めた私は光魔法でブギの両目を潰した。
「ぐっ……がぁぁぁぁ!!」
凄まじい光量に一瞬目を閉じた後、開眼するとブギは両目を手で押さえて悲鳴をあげていた。
「らァァァァ!!」
そしてその懐へ瞬時に移動したワタルが右拳に持てる全魔力を集約させた一撃を心臓へと叩き込んだ。
「ぐふっ……」
組んでいた腕を解き、目を開いてブギはゆっくりと拳を構えた。
「ふぅぅ……行くぞ」
そう口にした瞬間、ブギは姿を消した。
「……」
一つでも判断を間違えれば即死……そんな緊張感から呼吸を忘れて硬直する身体へ新しい空気を取り込み吐き出す。
「来た!」
「ははは!さあ、どう対処する!」
笑顔のブギは私の前で大楯を構えるハンスへと右拳を振りかぶり、遠くへボールを投げるみたいに放った。
「くっ!」
目に止まらぬ速さで放たれるブギの右拳。だけど、大きく振りかぶるために放たれるまでの間にできた少しの間でハンスは身体を屈めて避けた。
「ははは!よく避けた!だが、次はどうかな?」
そんなハンスの顎めがけて今度は左拳を下から上へ大きく振り上げた。
「くっ!」
ブギの下からの攻撃に対してハンスは大盾を巧みに使い受け流した。
(ここまでは予想通り)
隣に立つワタルと頷き合い、タイミングを測る。
(攻撃パターンの共通点から動きが予想できた。でも、問題はここから)
私の予想が外れていたら作戦の全てが崩れ去る。分析結果から間違いはないと思う。だけど、万が一ということもある。
(お願い)
と心の中で祈る。あっていて下さいと。
「ははは!やるな!」
上機嫌に笑うブギは振り上げた拳の勢いのままに右足を軸にして身体を右回転させた。
(っ!)
当たった。私の予測が……私は驚きのあまりに、
「当たった!」
つい声に出してしまった。
「シールドバッシュ!」
私と同じく驚き顔のハンスはそれでも事前に打ち合わせた通りにブギへ向かって大盾を構えたまま体当たりした。
「ムッ!」
ハンスの体当たりで体勢を崩したブギは倒れまいと、
「ふん!」
と左足を前に出して踏ん張った。
(できた!)
それは明確な隙。体勢を立て直そうと私たちの方へ向き直った瞬間、
「聖なる光(ホーリーライト)!」
ブギとの距離を詰めた私は光魔法でブギの両目を潰した。
「ぐっ……がぁぁぁぁ!!」
凄まじい光量に一瞬目を閉じた後、開眼するとブギは両目を手で押さえて悲鳴をあげていた。
「らァァァァ!!」
そしてその懐へ瞬時に移動したワタルが右拳に持てる全魔力を集約させた一撃を心臓へと叩き込んだ。
「ぐふっ……」
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