婚姻破棄された私は第一王子にめとられる。

「エルナ・シュバイツ! 貴様との婚姻を破棄する!」

 突然言い渡された夫ーーヴァス・シュバイツ侯爵からの離縁要求。
 
 彼との間にもうけた息子ーーウィリアムは2歳を迎えたばかり。

 そんな私とウィリアムを嘲笑うヴァスと彼の側室であるヒメル。

 しかし、いつかこんな日が来るであろう事を予感していたエルナはウィリアムに別れを告げて屋敷を出て行こうとするが、そんなエルナに向かって「行かないで」と泣き叫ぶウィリアム。

(私と一緒に連れて行ったら絶対にしなくて良い苦労をさせてしまう)

 ドレスの裾を握りしめ、歩みを進めるエルナだったが……

「その耳障りな物も一緒に摘み出せ。耳障りで仕方ない」

 我が子に対しても容赦のないヴァス。

 その後もウィリアムについて罵詈雑言を浴びせ続ける。

 悔しい……言い返そうとするが、言葉が喉で詰まりうまく発せられず涙を流すエルナ。そんな彼女を心配してなくウィリアム。

 ヴァスに長年付き従う家老も見ていられず顔を逸らす。

 誰も止めるものはおらず、ただただ罵詈雑言に耐えるエルナ達のもとに救いの手が差し伸べられる。

「もう大丈夫」

 その人物は幼馴染で6年ぶりの再会となるオーフェン王国第一王子ーーゼルリス・オーフェンその人だった。

 婚姻破棄をきっかけに始まるエルナとゼルリスによるラブストーリー。
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