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ちょっとだけ不思議
すねこすり? かっぱ?
しおりを挟むちょっとだけ不思議 すねこすり? かっぱ?
これは、全部七生が聞いた話です。
七生は日本でも小さな県の、つい最近くらいに過疎認定されたような町に住んでいます。まぁ、ぶっちゃけると香川県なんですけどね。
本当かどうなのか、一説には弘法大師さんが悪さをする狐を「鉄の橋ができるまで帰ってくるな」とかって喝を入れて四国から追い出したって話があるのですが。まぁそれも反故になっちゃいましたよね。瀬戸大橋ができた時点でとは思いますが。
ともあれ、狐さんの話はさしてありませんというか、七生が知る限りでは昔話に出てこない? 代わりに狸さんの話が多いかな。
そんな県の我が家よりももひとつ田舎に母方の祖母の末の妹さんが住んでいたのですが。これは、そんな大叔母がかなり前に話してくれたものです。
大叔母の経験譚ですね。
まだ若かった頃の大叔母がお呼ばれから嫁ぎ先に帰っていたときのこと。
もうすぐそこに旦那さんと舅さんが野良仕事をしているのが見えていたのに、どれだけ歩いても帰りつかなかったそうです。
途中の竹林かな? で、ぐるぐると回り続けてたどり着かない。そうこうしていると、舅さんか旦那さんが大叔母に気付いて、
「荷物を置いて歩いてこい」
と、叫んだそうです。
お呼ばれの時のお土産ですね。それを地面に置いて歩き出したら、家にたどり着けたそうです。
見えてるのに帰り着けないのがとても不安で怖かったらしいです。
当然、置いたお土産を後ほど確認したら、食い荒らされていたらしいですけどね。時間を置いてからですからそれを食べたのが大叔母を惑わしたナニモノなのか、ただの野生の生き物なのかは、わかりません。
その時の大叔母は、「狸に化かされた」と言っていましたね。そのせいで、狸とすねこすりが頭の中でひとつになってしまった感があります。すねこすりって脛を擦るけどふかふかしてるとかなんとかって聞きますしね。まぁ、狸の毛皮って硬そうですが。
もうひとつ。
父方の祖母は鹿児島に住んでいたのですが。これが七生にとってはですが、結構な山奥でして。
家から歩いて行ける奥の山の上からは桜島が見えるんですけどね。付き合ってというか付き合わされまして、山登りをした時の景色は結構爽快でしたね。ただし七生は高所恐怖症ですvv
そんな山で祖母が経験した話。
祖母は結構肝が太いというか、度胸が座っているというか。戦後妊娠中だというのに闇市に買い物に出かけた帰り、GHQの兵隊さんに声かけられて言葉もわからないのにそのままジープに乗せてもらって家に送ってもらったという経験があるひとなんですが。
当時、祖母はエビネ蘭に夢中で、その山に自生している株を取りに出かけたときのこと。
よく行っていた場所なので、道を間違えることはまずない場所なんだそうですが。
小川よりも細い流れを越えた時からピーピュルルルルルル………とかって高いか細い声が聞こえてくるなぁとは思っていたそうです。
目的の株を取って、さて帰るかと歩き始めましたが、いくら歩いても山を降りられなかったらしいです。
ぐるぐるぐるぐるヘトヘトになるまで歩いて歩いて、木の切り株があったのでそこに腰を下ろして一息ついてもう一度歩き出したら帰れたらしいですが。
そういえばその時には、甲高い声は聞こえなくなっていたとか。
祖母曰く、鳴き声の主は河童だそうで。
山で河童に騙された話なんですね、これが。
一説には河童は鹿児島が本拠地とかって誰かに聞いたような記憶があるようなないような。
いかにもだな~って体験よね。とは思いますけどね。
これはこの話のタイトルとは全く関係ないのですが。不思議だったこと。
これもまた伝聞なのでこちらに。
父方の従姉妹が経験したことです。
七生の父が亡くなって葬儀の時、従姉妹はこっそり父のデスマスクを写真に収めたそうです。父も可愛がっていましたし、従姉妹も懐いていましたので~と、母も祖母も何も言わなかったらしいです。七生は、従姉妹がこんな経験をしたんだと母に聞かされるまで知らなかったのですが。
で、まぁ、写メに収めてるだけなら問題もないよねって思ったんですけど。
知り合いに見せたらしいんですよ。
ちょっと不謹慎。
そうしたら、その次の日写メの父のデスマスクだけが全部消えていた---と。
その前後に撮っていた写真は全部残ってたのに、ポツポツと間を抜いたように白くなっていたらしいです。
母曰く、「恥ずかしかったんちゃうん?」ということですが。
以降従姉妹に何かあったってこともないようなので、怒ったわけではなくそうなんでしょうねぇ。
まだ心霊話には早い時期なので軽いのを三つでした。
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