40 / 44
帝国編
第2話 罠にかかるは百獣の王
しおりを挟む
緊張で空気が歪む中、まずジョーカーが先制攻撃をする。
バン!と1発放たれた弾丸は確実に奴の顔面を捉えていた。すると奴は飛んでくる弾丸に手をかざし、手から放つ電撃によって、その弾丸を止めたのだった。呆気なく力尽きた弾丸はカランカランと音を立てて地面に落ちた。
「ブリザード!」
「任せろ!」
そう言ってブリザードが地面を叩き壊し大きく揺らすと、その上を高く飛んでリノが奴に斬り掛かる。
「パレント・タケミカヅチ、グラディウス。パレント・レオ、ケレリタス・オーグメント。」
素早く、まるで空気の中を流れるように空中から奴の元へ近付く。奴はまだ地面が割れた影響で体勢が万全ではない。リノは大きく深呼吸すると、渾身のひと振りを奴に目掛けて放つ。
カキン!と甲高い音を立てる。奴は渾身のひと振りを全力で受け止めている。
「はああああ!!!」
だがリノの力が圧倒し、奴の受けを弾いた。
シャキーン!
飛び散る血しぶき。奴の左腕を斬り落としてみせた。
奴は冷静に落ちた腕を拾い、口を開いた。
「やっぱり強いね。でもこれじゃ勝てないよ。相手が僕だからね。」
「なんだ、ここに来て負け惜しみか?」
すると奴は馬鹿にするようにこう言った。
「負け惜しみ?僕は負けたんだよ。でも、僕を瞬殺できないなら君たちは勝てないよ。」
一方その頃、ケーレスは教会から出てきた皇帝を追い詰めていた。
「皇帝さん、みいつけた!」
ポコが早速奴の首を切り落とそうとした時だった。
パチンと奴が指を鳴らすと同時に、ゴゴーン!と激しい音を立てて、雷撃がケーレスを襲った。
瞬時にパックステップを踏み、全員難なく避ける。雷撃が来た方を見ると、そこには赤髪の男がいた。
そしてその男はビリビリと音を立てる雷を手に持つと、話し始めた。
「我の名はゼウス。貴様らには裁きの時が来た。」
「こやつかゼウスか。」
「ゼウス、後は頼んだぞ。私にはやることがあるんでな。」
そう言ってまた奴は逃げていった。
「僕が行ってくるよ!」
そう言いポコが奴の後を追おうとするが、雷がそれをさせんと妨害してきた。
「貴様らの敵は目の前にいるだろう。どこに行こうとしている。」
ポコは奴を逃がしたことにぷくぅとほっぺたを膨らませイラついていた。
「ゼウス、貴様には2つ選択肢をやろう。大人しくその首をよこすか、もしくは1つ目を断ったのを後悔しながら死んでいくかだ。」
ガルムがそう言うと、奴は体から雷を出しながら答えた。
「無論、3つ目の貴様らを殺すだ。」
その時、ローズは考え事をしていた。
(今ここにはゼウスがいて、最重要ターゲットは逃走。その他の敵兵はワシらが全て倒した。ではケルベロスは一体何と戦っておるのだ?応答しない理由が既に殺されているからだとしたらいくらなんでも殺すのが早すぎる。あの人数を短時間で殺すのは無理がある。つまり、あいつらは別の何かと戦っている…)
「すまんお前ら、ワシはちと別の場所へ行ってくる!」
そう言って急いで教会へと走って行った。
「おい!待て馬鹿ババア!ちっ、なんなのよあの女。5人だったのが3人になっちゃったじゃない。」
そして教会ではトッツォが奴に疑問をぶつけていた。
「何が言いたい?どういう意味だ。」
「そのまんまの意味さ。僕はね、弱いんだ。」
「とうとうイカれちまったんじゃねーか?そいつよぉ。」
「ゼウスの中ではね。」
その言葉でトッツォは全てを理解した。
「違う…ゼウスは、ゼウスは!1人じゃない!」
「せいかーい。」
どこからともなく声が聞こえたかと思うと、突如光とともに激しい痛みがケルベロス達を襲った。見ると全身血まみれになっていた。
そして浮遊しながら上から降りてきたのはもう1人のゼウス。
「こいつもゼウスだけど俺もゼウス。そうだなー、俺はゼウスの中だったら3位くらいかな。」
皆ただ痛みにもがき屈んで、奴らを見上げることしかできなかった。
そこへローズが急いで駆けつけてきた。
「ほーら、やっぱり合ってた。まんまと騙されたのぉ。」
そのゼウスはローズを見るなり目つきが変わった。
「君、強いでしょ。相当な魔力だよね。」
「ま、ワシはケーレスで1番強いからの。」
「1番なんだ。僕は3位だから、負けちゃうかもね。」
今、この教会という神聖な場所で神の魔力と悪魔の魔力がぶつかり合う。
バン!と1発放たれた弾丸は確実に奴の顔面を捉えていた。すると奴は飛んでくる弾丸に手をかざし、手から放つ電撃によって、その弾丸を止めたのだった。呆気なく力尽きた弾丸はカランカランと音を立てて地面に落ちた。
「ブリザード!」
「任せろ!」
そう言ってブリザードが地面を叩き壊し大きく揺らすと、その上を高く飛んでリノが奴に斬り掛かる。
「パレント・タケミカヅチ、グラディウス。パレント・レオ、ケレリタス・オーグメント。」
素早く、まるで空気の中を流れるように空中から奴の元へ近付く。奴はまだ地面が割れた影響で体勢が万全ではない。リノは大きく深呼吸すると、渾身のひと振りを奴に目掛けて放つ。
カキン!と甲高い音を立てる。奴は渾身のひと振りを全力で受け止めている。
「はああああ!!!」
だがリノの力が圧倒し、奴の受けを弾いた。
シャキーン!
飛び散る血しぶき。奴の左腕を斬り落としてみせた。
奴は冷静に落ちた腕を拾い、口を開いた。
「やっぱり強いね。でもこれじゃ勝てないよ。相手が僕だからね。」
「なんだ、ここに来て負け惜しみか?」
すると奴は馬鹿にするようにこう言った。
「負け惜しみ?僕は負けたんだよ。でも、僕を瞬殺できないなら君たちは勝てないよ。」
一方その頃、ケーレスは教会から出てきた皇帝を追い詰めていた。
「皇帝さん、みいつけた!」
ポコが早速奴の首を切り落とそうとした時だった。
パチンと奴が指を鳴らすと同時に、ゴゴーン!と激しい音を立てて、雷撃がケーレスを襲った。
瞬時にパックステップを踏み、全員難なく避ける。雷撃が来た方を見ると、そこには赤髪の男がいた。
そしてその男はビリビリと音を立てる雷を手に持つと、話し始めた。
「我の名はゼウス。貴様らには裁きの時が来た。」
「こやつかゼウスか。」
「ゼウス、後は頼んだぞ。私にはやることがあるんでな。」
そう言ってまた奴は逃げていった。
「僕が行ってくるよ!」
そう言いポコが奴の後を追おうとするが、雷がそれをさせんと妨害してきた。
「貴様らの敵は目の前にいるだろう。どこに行こうとしている。」
ポコは奴を逃がしたことにぷくぅとほっぺたを膨らませイラついていた。
「ゼウス、貴様には2つ選択肢をやろう。大人しくその首をよこすか、もしくは1つ目を断ったのを後悔しながら死んでいくかだ。」
ガルムがそう言うと、奴は体から雷を出しながら答えた。
「無論、3つ目の貴様らを殺すだ。」
その時、ローズは考え事をしていた。
(今ここにはゼウスがいて、最重要ターゲットは逃走。その他の敵兵はワシらが全て倒した。ではケルベロスは一体何と戦っておるのだ?応答しない理由が既に殺されているからだとしたらいくらなんでも殺すのが早すぎる。あの人数を短時間で殺すのは無理がある。つまり、あいつらは別の何かと戦っている…)
「すまんお前ら、ワシはちと別の場所へ行ってくる!」
そう言って急いで教会へと走って行った。
「おい!待て馬鹿ババア!ちっ、なんなのよあの女。5人だったのが3人になっちゃったじゃない。」
そして教会ではトッツォが奴に疑問をぶつけていた。
「何が言いたい?どういう意味だ。」
「そのまんまの意味さ。僕はね、弱いんだ。」
「とうとうイカれちまったんじゃねーか?そいつよぉ。」
「ゼウスの中ではね。」
その言葉でトッツォは全てを理解した。
「違う…ゼウスは、ゼウスは!1人じゃない!」
「せいかーい。」
どこからともなく声が聞こえたかと思うと、突如光とともに激しい痛みがケルベロス達を襲った。見ると全身血まみれになっていた。
そして浮遊しながら上から降りてきたのはもう1人のゼウス。
「こいつもゼウスだけど俺もゼウス。そうだなー、俺はゼウスの中だったら3位くらいかな。」
皆ただ痛みにもがき屈んで、奴らを見上げることしかできなかった。
そこへローズが急いで駆けつけてきた。
「ほーら、やっぱり合ってた。まんまと騙されたのぉ。」
そのゼウスはローズを見るなり目つきが変わった。
「君、強いでしょ。相当な魔力だよね。」
「ま、ワシはケーレスで1番強いからの。」
「1番なんだ。僕は3位だから、負けちゃうかもね。」
今、この教会という神聖な場所で神の魔力と悪魔の魔力がぶつかり合う。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

望んでいないのに転生してしまいました。
ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。
折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。
・・と、思っていたんだけど。
そう上手くはいかないもんだね。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

農民の少年は混沌竜と契約しました
アルセクト
ファンタジー
極々普通で特にこれといった長所もない少年は、魔法の存在する世界に住む小さな国の小さな村の小さな家の農家の跡取りとして過ごしていた
少年は15の者が皆行う『従魔召喚の儀』で生活に便利な虹亀を願ったはずがなんの間違えか世界最強の生物『竜』、更にその頂点である『混沌竜』が召喚された
これはそんな極々普通の少年と最強の生物である混沌竜が送るノンビリハチャメチャな物語
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる