36 / 36
第36話 戦力拡大
しおりを挟む
まったく昨日は散々な目にあった。未だに転んだ時に打った頭が痛い。そしてあの光景が頭から離れない…このままじゃ魔王としての威厳が無くなってしまう。
その時、エレーナが部屋に入ってくる。
「魔王様、ここから10km離れた地点でゴッドオブデケムが確認されました。相手はアポロンの恩恵者、ルシウスです。」
「かなり近いな。ケーレスは別の任務に出ているしここは我が親衛隊に任せるとしよう。」
その後すぐにレオの元へ親衛隊がやってくる。
「お呼びでしょうか、魔王様。」
「ああ、この近くでアポロンの恩恵者が現れた。今回の任務は奴の目的の解明とその排除だ。いいか、貴様らはこれからの我が軍の代表となり鑑となる存在だ。失敗は許されない。」
「御意。」
「では行け、我が番犬よ!」
「ユア・フィアット。」
ーーーアポロン・カテルワの野営地ーーー
「ジーンもアランもビビりすぎなんだよ。魔王だかなんだか知らねえけど燃やしちまえば終わりだろ。」
ルシウス。彼はアポロンの恩恵者でありアポロン・カテルワのリーダー。彼の放つ熱は獄炎よりも熱く燃える。
「ルシウス様、周辺の大まかな情報が取れました。そろそろ帰還致しましょう。」
「ご苦労さん、んじゃとっとと帰るぞ。」
荷物をまとめて野営地を後にする。
「御者はどこだ?」
「さあ?ここに止めておくよう言っといたのですが。」
「ったく使えねえ奴をよこすんじゃねえよ。ジェイク!ジェイクはどこだ!」
辺りにはルシウスの声だけが響く。風の音すらも聞こえないほどの静けさ。何かがおかしい…。
「どうなってんだ。」
するとその時、1発の銃声と共に隣にいた手下の首から勢いよく血が吹き出る。
「クソ!なんだ!?」
闇から出てきたのは邪悪な5人の影。
「魔王軍…!」
「我らはケルベロス。こそこそと嗅ぎ回るネズミ共を駆除しに来た番犬だ。」
「へっ、所詮は犬だ。丁度いい、魔王軍の強さ試してやるよ…。」
そう言ってはいるが、奴は内心脅えていた。ジーンはゴッドオブデケムの中でも上位の強さを持っている。なのにジーンは完膚なきまでにボコボコにされた。俺が勝てるのか?と不安に押しつぶされていた。
「アイン、我々はまだ貴様を認めていない。今ここで貴様の力と忠義を示してみろ。」
「御意。」
崖からアインが飛び降り、すっと静かに着地する。その姿は小柄なくせに堂々としており、尋常じゃない殺気を放っていた。
「お前か、アインとかいう冒険者は。ドニーの奴が言ってたのは本当だったのか。」
その名を聞いて驚愕する。
「ドニーだと…?生きているのか。」
「ああ、お前に裏切られてカンカンのようだぞ。」
「そうか…それは最高だなぁ!俺があいつを殺さないといけなくなっちまった。なんて最高な事なんだ!」
その狂った喜びにルシウスはドン引きしていた。
「ちっ、笑ってんじゃねえぞ!」
次の瞬間、ルシウスの体が真っ赤に光り出す。
「デイ・ソル!」
まさしく太陽のような燃えたぎる球体がアインに放たれる。
「パレント・レオ、コルプス・ロリカ。」
球体はアインに触れると瞬く間に爆散し、周囲の木々を大きく揺らした。
「バカが!正面からまともに食らうとは…やっぱ魔王軍は大したことねえな!」
煙が消え辺りが見え始めると、そこには無傷のアインが堂々と立っていた。
「は…?」
「太陽ってのは熱いものだろ?貴様のはお日様だ。ポカポカして眠くなってしまう。」
「ありえない!あれをまともに食らって生きてるなんて…どんな魔力量してやがんだよ!」
奴がもう一度技を放とうとする。すかさずアインが距離を詰める。
「うわあああ!来るなぁ!!」
まるで海を泳ぐカジキのようなスピードで奴の懐に潜り込むと、手に持っていた剣で奴の腹を豪快にかっさばいた。
「ぐああ…」
血飛沫をあげて奴はその場で倒れ死んだ。
事が片付くと他のみんなが駆け寄ってきた。
「やるじゃんかよ新入り!」
「ま、ジョーカーよりかは強いかな。」
「なんだよそれ!?」
そこへトッツォが話しかける。
「アイン、ようこそ親衛隊へ。君はもう立派な番犬だ。」
「光栄です。」
「それじゃあ、奴がここで何をしてたのか調べようか。」
部隊は大きなテントの中に入る。中に入るといくつかの物資や魔道具などが置かれていた。
「隊長、これ!」
リノが急ぐような声でそう言うと、他の者がリノのところへ集まる。
リノが指さすところには地図があり、ある場所に赤い丸がしてあった。
「こ、これは…!?」
その場所はリベルタス王国、ホープシティだった。
「奴らの目的はダビネスじゃない!リベルタス王国だ!」
「このままではシュナ様が危ない、急いで魔王様に連絡を!」
部隊は大急ぎで荷物をまとめ、撤収した。
その時、エレーナが部屋に入ってくる。
「魔王様、ここから10km離れた地点でゴッドオブデケムが確認されました。相手はアポロンの恩恵者、ルシウスです。」
「かなり近いな。ケーレスは別の任務に出ているしここは我が親衛隊に任せるとしよう。」
その後すぐにレオの元へ親衛隊がやってくる。
「お呼びでしょうか、魔王様。」
「ああ、この近くでアポロンの恩恵者が現れた。今回の任務は奴の目的の解明とその排除だ。いいか、貴様らはこれからの我が軍の代表となり鑑となる存在だ。失敗は許されない。」
「御意。」
「では行け、我が番犬よ!」
「ユア・フィアット。」
ーーーアポロン・カテルワの野営地ーーー
「ジーンもアランもビビりすぎなんだよ。魔王だかなんだか知らねえけど燃やしちまえば終わりだろ。」
ルシウス。彼はアポロンの恩恵者でありアポロン・カテルワのリーダー。彼の放つ熱は獄炎よりも熱く燃える。
「ルシウス様、周辺の大まかな情報が取れました。そろそろ帰還致しましょう。」
「ご苦労さん、んじゃとっとと帰るぞ。」
荷物をまとめて野営地を後にする。
「御者はどこだ?」
「さあ?ここに止めておくよう言っといたのですが。」
「ったく使えねえ奴をよこすんじゃねえよ。ジェイク!ジェイクはどこだ!」
辺りにはルシウスの声だけが響く。風の音すらも聞こえないほどの静けさ。何かがおかしい…。
「どうなってんだ。」
するとその時、1発の銃声と共に隣にいた手下の首から勢いよく血が吹き出る。
「クソ!なんだ!?」
闇から出てきたのは邪悪な5人の影。
「魔王軍…!」
「我らはケルベロス。こそこそと嗅ぎ回るネズミ共を駆除しに来た番犬だ。」
「へっ、所詮は犬だ。丁度いい、魔王軍の強さ試してやるよ…。」
そう言ってはいるが、奴は内心脅えていた。ジーンはゴッドオブデケムの中でも上位の強さを持っている。なのにジーンは完膚なきまでにボコボコにされた。俺が勝てるのか?と不安に押しつぶされていた。
「アイン、我々はまだ貴様を認めていない。今ここで貴様の力と忠義を示してみろ。」
「御意。」
崖からアインが飛び降り、すっと静かに着地する。その姿は小柄なくせに堂々としており、尋常じゃない殺気を放っていた。
「お前か、アインとかいう冒険者は。ドニーの奴が言ってたのは本当だったのか。」
その名を聞いて驚愕する。
「ドニーだと…?生きているのか。」
「ああ、お前に裏切られてカンカンのようだぞ。」
「そうか…それは最高だなぁ!俺があいつを殺さないといけなくなっちまった。なんて最高な事なんだ!」
その狂った喜びにルシウスはドン引きしていた。
「ちっ、笑ってんじゃねえぞ!」
次の瞬間、ルシウスの体が真っ赤に光り出す。
「デイ・ソル!」
まさしく太陽のような燃えたぎる球体がアインに放たれる。
「パレント・レオ、コルプス・ロリカ。」
球体はアインに触れると瞬く間に爆散し、周囲の木々を大きく揺らした。
「バカが!正面からまともに食らうとは…やっぱ魔王軍は大したことねえな!」
煙が消え辺りが見え始めると、そこには無傷のアインが堂々と立っていた。
「は…?」
「太陽ってのは熱いものだろ?貴様のはお日様だ。ポカポカして眠くなってしまう。」
「ありえない!あれをまともに食らって生きてるなんて…どんな魔力量してやがんだよ!」
奴がもう一度技を放とうとする。すかさずアインが距離を詰める。
「うわあああ!来るなぁ!!」
まるで海を泳ぐカジキのようなスピードで奴の懐に潜り込むと、手に持っていた剣で奴の腹を豪快にかっさばいた。
「ぐああ…」
血飛沫をあげて奴はその場で倒れ死んだ。
事が片付くと他のみんなが駆け寄ってきた。
「やるじゃんかよ新入り!」
「ま、ジョーカーよりかは強いかな。」
「なんだよそれ!?」
そこへトッツォが話しかける。
「アイン、ようこそ親衛隊へ。君はもう立派な番犬だ。」
「光栄です。」
「それじゃあ、奴がここで何をしてたのか調べようか。」
部隊は大きなテントの中に入る。中に入るといくつかの物資や魔道具などが置かれていた。
「隊長、これ!」
リノが急ぐような声でそう言うと、他の者がリノのところへ集まる。
リノが指さすところには地図があり、ある場所に赤い丸がしてあった。
「こ、これは…!?」
その場所はリベルタス王国、ホープシティだった。
「奴らの目的はダビネスじゃない!リベルタス王国だ!」
「このままではシュナ様が危ない、急いで魔王様に連絡を!」
部隊は大急ぎで荷物をまとめ、撤収した。
0
お気に入りに追加
21
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
Alastor-アラストル-
詩音
ファンタジー
神の剣『アラストル』によって一度滅びた世界。
小さな村で母と二人暮らす青年カインは、モンスター討伐を依頼された傭兵との出会いをきっかけに旅出つ。
仲間と出会い、世界の謎を解き、神の剣を追い求める物語。
異世界の大賢者が僕に取り憑いた件
黄昏人
ファンタジー
中学1年生の僕の頭に、異世界の大賢者と自称する霊?が住み着いてしまった。彼は魔法文明が栄える世界で最も尊敬されていた人物だという。しかし、考えを共有する形になった僕は、深く広い知識は認めるけど彼がそんな高尚な人物には思えない。とは言え、偉人と言われた人々もそんなものかもしれないけどね。
僕は彼に鍛えられて、ぽっちゃりだった体は引き締まったし、勉強も含めて能力は上がっていったし、そして魔法を使えるようになった。だけど、重要なのはそこでなくて、魔法に目覚めるための“処方”であり、異世界で使っている魔道具なんだよ。
“処方”によって、人は賢くなる。そして、魔道具によって機械はずっと効率が良くなるんだ。例えば、発電所は電子を引き出す魔道具でいわば永久機関として働く。自動車は電気を動力として回転の魔道具で動くのだ。これを、賢くなった人々が作り、使うわけだから、地球上の温暖化とエネルギーの問題も解決するよね。
そして、日本がさらに世界の仕組みがどんどん変わっていくのだけど、その中心に大賢者が取り憑いた僕がいるんだよ。僕はもう少しのんびりしたいのだけどね。
御機嫌ようそしてさようなら ~王太子妃の選んだ最悪の結末
Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。
生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。
全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。
ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。
時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。
ゆるふわ設定の短編です。
完結済みなので予約投稿しています。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
何故、わたくしだけが貴方の事を特別視していると思われるのですか?
ラララキヲ
ファンタジー
王家主催の夜会で婚約者以外の令嬢をエスコートした侯爵令息は、突然自分の婚約者である伯爵令嬢に婚約破棄を宣言した。
それを受けて婚約者の伯爵令嬢は自分の婚約者に聞き返す。
「返事……ですか?わたくしは何を言えばいいのでしょうか?」
侯爵令息の胸に抱かれる子爵令嬢も一緒になって婚約破棄を告げられた令嬢を責め立てる。しかし伯爵令嬢は首を傾げて問返す。
「何故わたくしが嫉妬すると思われるのですか?」
※この世界の貴族は『完全なピラミッド型』だと思って下さい……
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
いともたやすく人が死ぬ異世界に転移させられて
kusunoki
ファンタジー
クラスで「死神」と呼ばれ嫌われていたら、異世界にSSレア種族の一つ【死神】として転生させられてしまった。
……が"種族"が変わっていただけじゃなく、ついでに"性別"まで変わってしまっていた。
同時に転移してきた元クラスメイト達がすり寄ってくるので、とりあえず全力で避けながら自由に異世界で生きていくことにした。
ソード・ミーツ・ガール
NIWA
ファンタジー
"酔いどれ騎士" サイラスは亡国の騎士だ。
大切なモノは全て失った。
護るべき国は無く、守るべき家族も亡い。
そんな彼はある時、やはり自身と同じ様に全てを失った少女と出会う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる